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縮小写像

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

縮小写像とは、距離空間 (M,d) における M からM への写像 f であり、ある定数 0 < k < 1 の実数が存在して

という条件が全ての x, yM について成り立つ写像である[1]完備距離空間上の縮小写像は、ただ一つの不動点を持つ[2]。この定理は縮小写像の原理などとして知られる[3][4]。さらに、完備距離空間上の縮小写像 f反復合成による点列 x, f (x), f (f (x)), f (f (f (x))), … はその不動点に収束する[2]。縮小写像の原理は、常微分方程式の解の存在と一意性の証明にも使われる[5]

縮小写像の m 個の組 f1, f2, …, fm が与えられたときに、ℝd 上の全てのコンパクト集合 Cハウスドルフ距離によって完備距離空間にすると、任意の XC について

で定義される写像 F: CC も縮小写像となる[6]F の不動点は K = f1(K) ∪ f2(K) ∪ … ∪ fm(K) を満たすコンパクト集合として拡張され、自己相似集合と呼ばれる[3]。したがって、どのコンパクト集合 X から出発しても、縮小写像の組 f1, f2, …, fm はただ一つの自己相似集合を持ち、さらに F の反復合成による列 X, F (X), F (F (X)), F (F (F (X))), … はその自己相似集合に収束する[7][8]

出典

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  1. ^ 荒井 2020, p. 119.
  2. ^ a b 荒井 2020, p. 120.
  3. ^ a b 山口・畑・木上 1993, p. 22.
  4. ^ 新井 2023, pp. 152–154.
  5. ^ 荒井 2020, p. 125.
  6. ^ 山口・畑・木上 1993, pp. 23–25.
  7. ^ 山口・畑・木上 1993, p. 25.
  8. ^ 新井 2023, p. 319.

参考文献

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  • 荒井 迅、2020、『常微分方程式の解法』初版、共立出版〈共立講座 数学探検 15〉 ISBN 978-4-320-11188-2
  • 山口 昌哉・畑 政義・木上 淳、1993、『フラクタルの数理』初版、岩波書店〈岩波講座 応用数学1 [対象7]〉 ISBN 4-00-010511-6
  • 新井 仁之、2023、『ルベーグ積分講義 ―ルベーグ積分と面積0の不思議な図形たち―』改訂版、日本評論社 ISBN 978-4-535-78945-6