聖母子 (マルティーニ)
イタリア語: Madonna col Bambino 英語: Madonna and Child | |
作者 | シモーネ・マルティーニ |
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製作年 | 1326年 |
種類 | 板上にテンペラと金 |
寸法 | 57.2 cm × 38.4 cm (22.5 in × 15.1 in) |
所蔵 | メトロポリタン美術館、ニューヨーク |
『聖母子』(せいぼし、伊: Madonna col Bambino、英: Madonna and Chilid)は、シエナ派の国際ゴシック様式の画家シモーネ・マルティーニが1326年に板上にテンペラと金で制作した絵画である。1969年にロバート・レーマンによりニューヨークのメトロポリタン美術館に寄贈され[1]、1975年以来、同美術館内のロバート・レーマン・コレクションに展示されている[2][3][4]。本作は本来、シエナの市民政府が総督邸で使用するために注文した5連祭壇画を構成していたが、後年、パラッツォ・プブリコ (市民宮殿)内礼拝堂の大きな祭壇画 (Altarpiece of the Cappella dei Signori) に組み込まれた[2][3] (1686年にこの祭壇画は解体された[4])。
作品
[編集]シモーネ・マルティーニは、聖母子を痛ましいほどの優しさで満たしている[4]。聖母マリアと幼子イエス・キリストは蛇行するような聖母の外套に包まれ、お互いの衣服を握っている。イエスの右手の曲げられた指と、聖母の手首に押し当てられた彼の右足の裏側は、この時期としては驚くほど見事な前面短縮法で描かれており、それは画家の自然主義的描写における到達点を示している[4]。
本作を含む5点の板絵は、上述のようにシエナの総督邸で使用するために委嘱された5連祭壇画を構成していた[2][3]。これら5点の板絵は、左から右に『聖アンサヌス』 (メトロポリタン美術館)、『聖ペテロ』 (ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード)、本作『聖母子』、『聖アンデレ』 (メトロポリタン美術館)、『聖ルカ』 (J・ポール・ゲティ美術館、ロサンゼルス) の順に並んでいた[4]。
5点の板絵は通常の祭壇画とは異なり、すべてが尖塔部分のない長方形で、それぞれに額縁があり[4]、かつ同じサイズとなっている[2][3][4] (伝統的なイタリアの祭壇画は、中央パネルが両翼パネルより3分の1ほど幅広い[4])。5点の板絵がつなぎ合わされた形跡はなく[4]、そのため、6か月の任期の総督が時折、総督邸以外の建物を使用した際にも容易に持ち運ぶことができた[2][3]。
祭壇画を構成していた5点
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『聖アンサヌス』 (メトロポリタン美術館、ニューヨーク)
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『聖ペテロ』 (ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード)
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『聖母子』 (メトロポリタン美術館、ニューヨーク)
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『聖アンデレ』 (メトロポリタン美術館、ニューヨーク)
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『聖ルカ』 (J・ポール・ゲティ美術館、ロサンゼルス)
脚注
[編集]参考文献
[編集]- マーク・ポリゾッティ発行人兼編集責任者『メトロポリタン美術館ガイド』、メトロポリタン美術館、2012年刊行 ISBN 978-4-904206-20-1