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腎静脈

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
静脈: 腎静脈
腎臓を前面から見たところ。腎臓につながっている管が腎静脈で、左腎静脈(むかって右側)のすぐ上には上腸間膜動脈の起始がある。
1. 腎錐体
2. 葉間動脈
3. 腎動脈
4.
腎静脈
5. 腎門
6. 腎盂
7. 尿管
8. 小腎杯
9. 腎被膜
10. 下端
11. 上端
12. 葉間静脈
13. ネフロン
14. 腎洞
15. 大腎杯
16. 腎乳頭
17. 腎柱
英語 renal vein
ラテン語 venae renales
グレイの解剖学 書籍中の説明(英語)
血液の排出元    腎臓
起始
合流
動脈
MeSH Renal+Veins
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腎静脈(英:renal vein)は腎臓から還流する静脈で腎臓と下大静脈をつないでいる。

重複腎静脈と呼ばれる稀な場合を除いて、腎静脈は両側に1本ずつだけある[1]。左右の静脈の位置関係は以下の通り。

腎静脈は腎臓近くで2本に分かれており

  • 前半分からの血液を受ける"腎静脈前枝"
  • 後半分から血液を受ける"腎静脈後枝"

の2つがある。これらはさらに枝分かれしている。また、尿管からの静脈も一部受けていることがある。

非対称性

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下大静脈が体の中心より右に走っている関係で左腎静脈の方が右腎静脈より長い。逆に、右腎静脈は左の3分の1ほどの長さしかないので下大静脈と右腎がかなり接近している。そのため右腎の手術は左腎よりも複雑とされる。また、左右対称でないために左腎静脈は以下の静脈をも受けている[2]

右半身ではこうした静脈は直接下大静脈に流れ込んでいるのが普通である。ただし、通常右側にあるはずの下大静脈が左側にあるような変異(左下大静脈)などでは、右精巣静脈(右卵巣静脈)が右腎静脈に合流していることもある[3]

関連疾患

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腎静脈と関連する疾患としては、腎静脈血栓症(renal vein thrombosis :RVT)やナットクラッカー症候群(左腎静脈陥穿症候群)などがある。腎静脈血栓症は、大量のタンパク質が尿中に流出するネフローゼ症候群などに伴い、腎静脈に血栓ができるものである。ナットクラッカー症候群は、左腎静脈が腹部大動脈上腸間膜動脈によって押しつぶされて静脈圧が上昇することにより発症する。これは、腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれるような位置で走っていることによる。この位置関係がくるみ割りの道具(ナットクラッカー)に似ていることから、「ナットクラッカー症候群」と呼ばれるようになったという[4]

変異

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腎静脈の変異は少ないほうで、重複腎静脈で一番多いのは右に2本左に1本あるものである[5]。この他、左側に複数ある場合は大動脈を囲んでいることがある。

脚注

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  1. ^ article at GE's Medcyclopaedia
  2. ^ Dissector Answers - Kidney & Retroperitoneum
  3. ^ 村田栄子, 山田久美子, 天野博明 ほか、「構造系実習中に見いだされた左下大静脈の1例」 埼玉医科大学雑誌 2009 年 36 巻 1 号 p. 11-15, doi:10.24689/sms.36.1_11
  4. ^ ナットクラッカー現象について―初歩から始める超音波検査室
  5. ^ 『日本人のからだ』、285-286頁

参考文献

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画像

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関連項目

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外部リンク

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  • Anatomy figure: 40:06-05 at Human Anatomy Online, SUNY Downstate Medical Center - "Retroperitoneal structures on the posterior abdominal wall."