芒狗
芒狗(マンゴウ[1]、拼音: máng gǒu)は、2023年ごろに中国で流行した、マンゴーの種を乾燥させ、毛並みを整えた「ペット」である。「マンゴー(中国語: 芒果; 拼音: máng guǒ)」と「犬(中国語: 狗; 拼音: gǒu)」の言葉遊びであり、乾燥させて毛羽立たせた種の繊維を犬の毛並みになぞらえている[2]。
製法
[編集]マンゴーは核果であり、核にはひげのような繊維が付着している[3]。この「毛」は維管束であり、植物内部に水分と栄養素を輸送するはたらきを担っている[4]。芒狗は、この「毛」を整え、犬の毛のように見立てたものである[4][5]。芒狗をつくるためには、繊維を傷つけないように丁寧にマンゴーを食べ、種を洗い、乾燥させる必要がある[2][4]。この際、シャンプーやコンディショナーをつかって毛並みをよりふわふわしたものにしようと試みる者もいるが[5]、マンゴーの繊維にキューティクルは存在しないため、儀式的なもの以上の意味はない[4]。完成した芒狗に名前をつけたり、カラフルに染めたりする者もいる[2]。
歴史
[編集]中国のインターネットでは、芒狗の登場以前より、無生物をペットに見立てる遊びが流行していた[4]。2022年10月ごろより流行しはじめたペット・ロックはトレンドとなり、抖音ではペット用の石を販売するビジネスもあらわれた[4][6]。また、同年には、段ボール製の犬である紙盒狗を飼育することも流行になった[4][7]。芒狗は、こうした「何でもペットになる時代」のなかで生まれた流行である[2]。
犬や猫といったペットを飼うことは手間であることが、芒狗の流行に影響していると考えられている[4][5]。特に、寮に寄宿している学生にとって、生き物を飼育することは非常に難しく、中国農業大学心理素質教育センターの施鋼は「手が出せる範囲で、コストが低く、自分を癒やすこともできる方法を見つけたのであれば、それに対しいろいろなマイナスの意味を付け加える必要はない」と一定程度の肯定的評価をみせている[2]。
出典
[編集]- ^ “中国語音節表記ガイドライン[平凡社版](2011年8月1日公開)”. cn.heibonsha.co.jp. 2024年10月30日閲覧。
- ^ a b c d e 「マンゴーの種までペットに? 若者が「何でもペット化」するワケ」『人民網日本語版』2023年8月21日。2024年10月30日閲覧。
- ^ “Mango”. www.hort.purdue.edu. 2024年10月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “继养石头之后,年轻人开始养“芒狗””. news.cqnews.net. 2024年10月30日閲覧。
- ^ a b c CGTN. “Mango pit-made pet dog in fashion among young Chinese” (英語). news.cgtn.com. 2024年10月30日閲覧。
- ^ Chen, Chang (2024年9月11日). “Pet Rocks: A New Trend Captivating the Younger Generation” (英語). iChongqing. 2024年11月2日閲覧。
- ^ ““纸盒狗”风靡中国高校 年轻人偏爱“趣味社交””. m.gmw.cn. 2024年11月2日閲覧。