菱亜鉛鉱
菱亜鉛鉱 | |
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分類 | 炭酸塩鉱物 |
シュツルンツ分類 | 5.AB.05 |
Dana Classification | 14.1.1.6 |
化学式 | ZnCO3 |
結晶系 | 三方晶系 |
対称 | 3 2/m |
単位格子 |
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モル質量 | 125.40 gm |
晶癖 | 結晶状は珍しく、一般的にぶどう状、腎臓形、球晶状、鍾乳石状 |
双晶 | 存在しない |
へき開 | 完全 |
断口 | 不規則、貝殻状 |
粘靱性 | 小さい |
モース硬度 | 4.5 |
光沢 | ガラス光沢、まれに真珠光沢 |
色 | |
条痕 | 白色 |
透明度 | Translucent |
比重 | 4.4 - 4.5 |
光学性 | 一軸性負 |
屈折率 |
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複屈折 | δ = 0.223 - 0.227 |
蛍光 | 紫外線下で蛍光のパールグリーンか、パールブルー |
文献 | [1][2][3] |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
菱亜鉛鉱(りょうあえんこう、英: smithsonite[4]、スミソナイト)は、鉱物(炭酸塩鉱物)の一種。化学組成は ZnCO3(炭酸亜鉛)、結晶系は三方晶系。方解石グループの鉱物。
smithsonite の名前は、1832年に鉱物学者の François Sulpice Beudant によって、菱亜鉛鉱を最初に見分けたジェームズ・スミソンにちなんで命名された[2][5]。
産出地
[編集]この節の加筆が望まれています。 |
亜鉛が埋蔵され、風化や酸化還元反応が行われる地域で二次鉱物として産出する。また、まれに亜鉛を含んだ炭酸塩岩の中でも産出する。
一般的に、異極鉱、珪亜鉛鉱、水亜鉛土、白鉛鉱、孔雀石、藍銅鉱、水亜鉛銅鉱、硫酸鉛鉱などとともに産出する[3]。
どこか特定の地域に偏在しているわけではなく、世界各地で産出される。後述の通り、色にバリエーションがある鉱物であるが、産地によって鉱物の色が異なる。[6]
例えば、以下の国で産出される。
アメリカ合衆国、メキシコ、イタリア、オーストリア、ドイツ、ベルギー、フランス、スペイン、イギリス、アルジェリア、チュニジア、ナミビア、オーストラリア、中国、日本。[6]
性質・特徴
[編集]様々な色のものが存在する菱面体晶鉱物で、よく形成された結晶が見られることはごくまれである。代表的な形状は、ぶどう状、皮膜状の形である。モース硬度は4.5で、比重は4.4 - 4.5。方解石グループ特有の三方向に完全な劈開は弱くなっている。塩酸などの酸によく溶けて二酸化炭素を放出する。
菱マンガン鉱、菱鉄鉱と固溶体を形成する[3]。純粋なものは無色・白色だが、亜鉛イオンが大きいため、結晶構造に隙が生じ、銅(緑、青緑)、カドミウム(黄)、コバルト(ピンク)などのイオンが入り込んで多彩な色彩を呈する。
異極鉱と類似しており、2種類の異なる鉱物であると理解されるまでは、歴史的に同じものとして鑑定されていた。これらの2種は外観が非常に似ており、カラミンという名称は、いまだに両方に使われており、時に混乱を引き起こす。
用途・加工法
[編集]亜鉛鉱石の一つ。
ギャラリー
[編集]-
ピンク色のもの(シナロア州、6.8 x 5.8 x 3.3 cm)
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僅かに桃色の二価マンガンを含む結晶(ツメブ産出、6.8 x 4.6 x 3.7 cm)
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ドロマイトに発生した二価銅を含む菱亜鉛鉱(ツメブ産出、4.4 x 4 x 3 cm)
脚注
[編集]- ^ Smithsonite (英語), MinDat.org, 2011年11月17日閲覧。
- ^ a b Smithsonite (英語), WebMineral.com, 2011年11月17日閲覧。
- ^ a b c “Handbook of mineralogy” (PDF) (英語). 2011年11月17日閲覧。
- ^ 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年、113頁。ISBN 4-8181-8401-2。
- ^ “SI NMNH Centennial - Smithsonite” (英語). Smithsonian Institution Libraries. 2010年12月8日閲覧。
- ^ a b “Smithsonite Value, Price, and Jewelry Information”. 国際宝石学会 (IGS). 2022年11月23日閲覧。
参考文献
[編集]- Tom Hughes, Suzanne Liebetrau, and Gloria Staebler, eds. (2010). Smithsonite: Think Zinc! Denver, CO: Lithographie ISBN 978-0979099861.
- Ewing, Heather P. (2007). The Lost World of James Smithson: Science, Revolution, and the Birth of the Smithsonian. London and New York: Bloomsbury. ISBN 978-1596910294(ヘザー・ユーイング 著、松本栄寿・小浜清子 訳『スミソニアン博物館の誕生 : ジェームズ・スミソンと18世紀啓蒙思想』雄松堂書店、2010年。ISBN 978-4-8419-0572-4。)
- 松原聰、宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会〈国立科学博物館叢書〉、2006年、116頁。ISBN 4-486-03157-1、ISBN-13:978-4-486-03157-4。
- 青木正博『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』誠文堂新光社、2011年、91頁。ISBN 978-4-416-21104-5。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- “A Chemical Analysis of some Calamines. By James Smithson.” (英語). From Smithson to Smithsonian. Smithsonian Institution Libraries. 2011年11月17日閲覧。
- 福岡正人. “Calcite〔方解石〕グループ”. 地球資源論研究室. 広島大学大学院総合科学研究科. 2003年1月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月17日閲覧。
- “菱亜鉛鉱”. 地質標本館. 産業技術総合研究所地質調査総合センター. 2011年11月17日閲覧。