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タデ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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サナエタデ節
Polygonum hydropiper
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: タデ科 Polygonaceae
: Persicarieae
: イヌタデ属 Persicaria
: サナエタデ節 Sect. Persicaria
学名
Sect. Persicaria Mill.[1]
英名
Smartweed

タデ(蓼)は、タデ科イヌタデ属学名: Persicaria)の一部[2]、より具体的にはサナエタデ節 (ペルシカリア節、sect. Persicaria) の総称である[3][4]。かつてイヌタデ属などはタデ属 (Polygonum s.l.) にまとめられていたが、Hedberg (1946) や続く研究者により、現在ではそれらは約8に分割される[5][6][1]。全て草本で、陸地生のものは一年草だが、水生のものには地下茎を引く多年草もある[4]

また、タデ科の一年草の中で穂状花序のものと定義することもある[7]。ただしタデ科内では、イヌタデ属サナエタデ節の他に、同属ミズヒキ節 sect. Tovaraイブキトラノオ属 Bistorta も花序は穂状である[8]

狭義にはサナエタデ節のヤナギタデ(柳蓼、Persicaria hydropiper (L.) Delarbre[9])を意味する[4][2]。本来の「タデ」はこので、「蓼食う虫」の蓼もこの種である[10]標準和名「ヤナギタデ」は、ヤナギに似ていることから。

形態・生態

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葉鞘は切形[8]花序は穂状[8]

分布

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温帯を中心にほぼ全世界に生息する[11]

系統関係

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イヌタデ属はサナエタデ節に加え、sect. TovaraEchinocaulonCephalophilon の計4節からなる[5][6][1](第5の節 sect. Rubrivena を加える説もあった[11][8]が否定され、オンタデ属に移された[1][6])。それらや近縁属との系統関係は次のとおり[5][6]

Persicarieae

チシマミチヤナギ属 Koenigia

オンタデ属 Aconogonon

イブキトラノオ属 Bistorta

イヌタデ属

タニソバ節 sect. Cephalophilon

ミズヒキ節 sect. Tovara

sect. Echinocaulon

サナエタデ節 sect. Persicaria

一方、分子系統により、サナエタデ節のエゾノミズタデ Persicaria amphibiaハリタデセブアノ語版 Persicaria bungeana を、それぞれ1種からなる新節 sect. AmphibiaTruelloides に分離する説が現れた[8]が、少なくとも sect. Amphibia はサナエタデ節内に位置するようである[6]

主な種

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サナエタデ節には約60が属す[11][8]日本には約20種を産する[4](以下のリストの大きな区分けは、生態・形態によるものであり、分類学的なものではない)。

そのほかの主な種:

このほか、和名に「タデ」を含む種が他の属に散在するが、系統的にはやや遠い(イヌタデ属からオンタデ属に移された sect. Rubrivena の種とは関係ない)。

人間との関わり

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利用

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食用にするのは北半球に広く分布するヤナギタデ(別名:真タデ)で[12]、特有の香りのある辛味を持ち薬味として用いられてきた[10]。辛味成分はポリゴジアールで、消化促進、食べあたりの予防、抗菌効果やがん細胞の抑制効果が知られている[12][10]

野菜としては、利用法により発芽した子葉である「芽タデ」と主に本葉である「笹タデ」に分けられる[13]。また、葉の色によって「べニタデ」(紅たで)や「アオタデ」(青たで)に分けられる[12][13]。ともに刺身つまに用いられるが、一般に白身魚には「べニタデ」、赤身魚には「アオタデ」を用いる[13]。調味料として葉をすりつぶしたものをりんご酢でのばした「タデ酢」がありアユ塩焼きなどに添えられる[10]。また、葉をすりつぶしたものに味噌味醂を加えたものは「タデ味噌」として白身魚に付けて焼く際に味付けに用いる[10]

ヨーロッパではヤナギタデは黄色の染料にも用いられる[10]

オオケタデは観賞用に栽培される。

文化

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  • 蓼食う虫も好き好き - ことわざ。他に草があるにも係わらず辛い蓼を食べる虫も居るように、人の好みは様々で、一般的には理解しがたい場合もあるということ。
  • 蓼虫辛きを知らず(りょうちゅうからきをしらず、蓼虫不知辛) - 王粲の詩「七哀詩」の一節から来た格言。
  • 谷崎潤一郎蓼喰ふ虫

脚注

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  1. ^ a b c d Li, Bo (2004), “Reinstatement of Persicaria sinica Migo (Polygonaceae, Persicarieae)”, Phytotaxa 161 (2): 148–156, doi:10.11646/phytotaxa.161.2.6 
  2. ^ a b 土屋和三 (2009), “タデ(蓼)”, 世界大百科事典, 2009年改定新版, 平凡社 
  3. ^ 籾山泰一 (1972), “タデ(蓼)”, 万有百科大事典 19 植物, 小学館 
  4. ^ a b c d 小林純子 (1987), “タデ(蓼)”, 日本大百科全書, 小学館 
  5. ^ a b c Kim, Sang-Tae; Donoghue, Michael J. (2008), “Molecular phylogeny of Persicaria (Persicarieae, Polygonaceae)”, Systematic Botany 33 (1): 77-86 
  6. ^ a b c d e Fan, Deng-Mei; Chen, Jia-Hui; et al. (2013), “Molecular phylogeny of Koenigia L. (Polygonaceae: Persicarieae): Implications for classification, character evolution and biogeography”, Molecular Phylogenetics and Evolution 69: 1093–1100, http://210.72.14.139:8080/bitstream/131C11/2691/1/V.69%201093-1100%202013.pdf 
  7. ^ “タデ”, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 REFERENCE GUIDE, 第2版改訂版, ティービーエス・ブリタニカ, (1993) 
  8. ^ a b c d e f Galasso, G.; Banfi, E.; et al. (2009), “Molecular phylogeny of Polygonum L. s.l. (Polygonoideae, Polygonaceae), focusing on European taxa: preliminary results and systematic considerations based on rbcL plastidial sequence data”, Atti della Società Italiana di Scienze Naturali e del Museo Civico di Storia Naturale di Milano 150: 113–148, http://www.researchgate.net/profile/Gabriele_Galasso/publication/257029473_Molecular_phylogeny_of_Polygonum_L._s.l._%28Polygonoideae_Polygonaceae%29_focusing_on_European_taxa_preliminary_results_and_systematic_considerations_based_on_rbcL_plastidial_sequence_data/file/60b7d5243dcbdf2e06.pdf 
  9. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2012年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月15日閲覧。
  10. ^ a b c d e f 100回記念号”. 農業・食品産業技術総合研究機構. 2022年7月12日閲覧。
  11. ^ a b c Persicaria (Linnaeus) Miller Flora of North America.
  12. ^ a b c 講談社編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年5月13日、112頁。ISBN 978-4-06-218342-0 
  13. ^ a b c ヤナギタデ”. 山科植物資料館. 2022年7月12日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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