藤麿
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藤麿
性別 | 女性 |
---|---|
国籍 | 日本 |
姓 | 喜多川、きたがわ |
読み仮名 | ふじまる、きたがわ ふじまる |
修正ヘボン式ローマ字表記 | Fujimaru |
生年月日 | 不明な値 |
死亡年月日 | 1830 |
死没地 | 本庄市 |
職業 | 画家、浮世絵師 |
師匠 | 喜多川歌麿 |
コレクション所蔵者 | ミネアポリス美術館 |
作者の著作権状態 | 著作権保護期間満了 |
藤麿(ふじまる、生年不詳 - 文政13年〈1830年〉春[1])とは、江戸時代の浮世絵師。
来歴
[編集]喜多川歌麿の門人といわれている。姓不詳だが、後述する史料により内藤とも考えられる。名は維則。不二麻呂・紅霞斎・紫園・紫峰・紫霞斎・芳州・蓉山・酒仙など数多くの画号をもつ。ただし、肉筆美人画の落款は大半が「藤麿」で、「喜多川」の画姓が記された作品は報告されていない。武家の出身と言われる。錦絵や版本の挿絵はほとんど見られず、僅かに摺物「花見の踊り」(ボストン美術館所蔵)のみ確認されている。寛政から文政期(1789年 - 1830年)にかけて肉筆美人画を描く。現存作品数は50点ほどである。その画風は師の歌麿風に追随せずに、独自の雰囲気をかもし出している。歌麿弟子入り以前は南画を学んでいたと思われ、他にも窪俊満や歌川豊春との関係や、芸術を愛好した狂歌師らとの交流も指摘されている。文政8年(1825年)11月刊の『上野下野武蔵下総 当時諸家人名録』に「業和画 唐画 紫峰 号客山(蓉山の誤りか) 酒泉堂 武(蔵)本庄 内藤藤麿」とあり、文政初頭頃には本庄(現在の埼玉県本庄市)に来ていたとも推測され、当地で没した[2]。墓所は不明。
作品
[編集]作品名 | 技法 | 形状・員数 | 寸法(縦x横cm) | 所有者 | 年代 | 落款・印章 | 備考 |
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遊女立姿図 | 紙本着色 | 1幅 | 88.3x33.3 | 東京国立博物館 | 款記「藤麿筆」/「芳州」朱文方印・「印文不明」白文方印 | ||
美人春夏秋冬図 | 紙本 | 四幅対 | 浮世絵太田記念美術館 | ||||
雨中の芸妓図 | 絹本着色 | 1幅 | 浮世絵太田記念美術館 | ||||
見立六歌仙図 | 絹本着色 | 1幅 | たばこと塩の博物館 | ||||
大原女花見図 | 絹本着色 | 1幅 | たばこと塩の博物館 | ||||
俄雨図 | 絹本着色 | 1幅 | ニューオータニ美術館 | 1820年(文政3年) | 款記「文政庚辰秋仲 紫藤花」/「紫霞齋」朱文方印・「重」朱文円印 | ||
雨乞小町図 | 絹本着色 | 1幅 | ニューオータニ美術館 | 款記「紫藤麿筆」/「紫園」朱文方印・「藤麿」朱文円印 | |||
ほととぎすを見る親子図 | 絹本着色 | 1幅 | 千葉市美術館 | 款記「藤麿筆」/「酒仙」朱文方印・「藤麿」白文方印 | |||
御殿山花見之図 | 絹本着色 | 1幅 | 摘水軒記念文化振興財団(千葉市美術館寄託) | ||||
遊君立花図 | 絹本着色 | 1幅 | 奈良県立美術館 | ||||
母子採芒図 | 紙本着色 | 1幅 | 熊本県立美術館 | 1804-18年頃(文化期) | |||
鍬を持つ美人図 | 絹本着色 | 1幅 | 熊本県立美術館 | 款記「藤麿筆」/「芳州」朱文方印・白文方印(印文不明) | |||
見立六歌仙図 | 絹本着色 | 1幅 | 108.6x42.7 | ボストン美術館 | |||
時鳥を聞く茶摘女 | 絹本着色 | 1幅 | 89.5x32.6 | ボストン美術館 | 1804-18年頃(文化期) | ||
海老屋内春日野図 | 絹本着色 | 1幅 | 103.4x35.1 | ボストン美術館 | 1824年(文政7年) | 款記「文政甲申之春日 應嘱藤麿維則冩」/「紫霞斎」白文方印・「蓉山」朱文団扇形印 | 画賛「花のすがた 海老屋にうつす 女郎花 にほひを筆に かすかのゝ君 梅花」。画賛から描かれているのは、吉原海老屋の遊女春日野と見られる。 |
大原女図 | 絹本着色 | 1幅 | ウェストンコレクション(シカゴ) | 1804-18年頃(文化期) | 款記「藤麿筆」/「芳州」朱文方印・「紫之印」白文方印 | ||
美人戯戌図 | 絹本着色 | 1幅 | ウェストンコレクション(シカゴ) | 1824年(文政7年) | 款記「文政甲申之初夏紫峰老人藤麿」/「紫峰」朱文方印・「藤麿」朱文方印 | ||
海浜遊興図 | 絹本着色 | 1幅 | キヨッソーネ東洋美術館 | 1808-14年(文化5-11年) | |||
子をあやす女たち | 紙本着色 | 1幅 | 91.0x28.5 | ケルン市立東洋美術館 | 1804-18年頃(文化期) | 款記「藤麿画」/「芳州」朱文方印・「紫之印」白文方印[3] |
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年
- 楢崎宗重編 『肉筆浮世絵Ⅲ(化政~明治)』〈『日本の美術』250〉 至文堂、1987年
- 本庄市史編集室編 『本庄市史(通史編2)』「内藤紫峰」の項、 本庄市、1989年3月30日、pp.1059-1060
- 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(2) 東京国立博物館Ⅱ』 講談社 1995年 ※196 - 197頁
- 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(8) ニューオータニ美術館』 講談社 1995年 ※217頁
- 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(10) 千葉市美術館』 講談社 1995年 ※216頁
- 辻惟雄監修 『ボストン美術館肉筆浮世絵』(第三巻) 講談社、2000年 ※167 - 168頁
- 展覧会図録
- 『今西コレクション名品展Ⅰ』 熊本県立美術館 1991年
- 『今西コレクション名品展Ⅲ』 熊本県立美術館 1991年
- 『キヨッソーネ東洋美術館所蔵 浮世絵展』 神戸新聞社、2001年
- 『風俗画と肉筆浮世絵 たばこと塩の博物館所蔵肉筆絵画撰』 たばこと塩の博物館、2007年
- 永田生慈監修 日本経済新聞社企画・編集協力 『シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵─美の競艶』 小学館スクウェア、2015年4月20日、ISBN 978-4-7979-8573-3