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蛮書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

蛮書』(ばんしょ)は、の樊綽(はんしゃく)による雲南地誌。『雲南志』『雲南史記』などとも呼ばれる。全10巻。現行本は輯逸書である。

成立・テクスト

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南詔王の世隆は大礼国の皇帝を名乗り、咸通3年(862年)に安南に侵入した。南詔に対抗するために安南経略使として蔡襲が赴任した[1]。樊綽は蔡襲の幕僚であり、雲南各地の地理や風俗を記録し、10巻の書物にまとめた[2]。翌年、南詔は再び安南を攻撃して交趾を陥落させ、蔡襲は死んだが、樊綽は辛くも逃がれた[1]

『蛮書』は代にいったん失われ、代に四庫全書を編纂するとき『永楽大典』から輯逸したが、文義の通じない箇所が残った[3]

現代中国では向達『蛮書校注』(中華書局1962)、方国瑜主編『雲南史料叢刊』巻2所収の『雲南志』(雲南大学出版社1998)がある[4]

構成

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  1. 雲南界内途程
  2. 山川江源
  3. 六詔
  4. 名類
  5. 六𧸘[5]
  6. 雲南城鎮
  7. 雲南管内物産
  8. 蛮夷風俗
  9. 南蛮条教
  10. 南蛮疆界接連諸番夷国名

非漢族の言語に関する記載

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巻8の蛮夷風俗に白蛮(ペー族の祖先という)と東爨イ族の祖先という)の言葉を記している。

脚注

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  1. ^ a b 『資治通鑑』巻250・唐紀66・懿宗上
  2. ^ 『蛮書』巻10「臣去年正月二十九日、已録蛮界程途、及山川・城鎮・六詔始末・諸種名数・風俗・条教・土宜物産・六名𧸘号・連接諸蕃、共纂録成十巻、於安南郡州江口附襄州節度押衙張守忠進献。」
  3. ^ 『四庫全書総目提要』巻66・史部22・載記類『蛮書』10巻(永楽大典本)「今此本因録入『永楽大典』僅存文字。已多断爛、不尽可読、又世無別本可校。」
  4. ^ 方国瑜 編『雲南史料叢刊(第二卷)』雲南大学出版社、1998年。ISBN 7810258281http://www.ynup.com/product_detail.asp?product_id=19363 
  5. ^ 貝偏に僉

関連文献

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  • 武内剛、林謙一郎(編)「「蛮書」索引」『南方文化』第15巻、1988年、163-185頁。 

外部リンク

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