衣蛸
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概要
[編集]その名前が示すようにタコの妖怪。外観は小さなタコと変わりないが、船が近づくと体を衣のように大きく広げ、人間も船も海の中へ沈めてしまうといわれ、人々に恐れられている[1]。
自分を捕らえようとする漁師をこのように襲うともいい、一説によれば体を広げたときの大きさは6畳ほどともいう。また、普段は貝殻の中に入って海の上を漂っているともいう[2]。
ちなみに実在のタコであり外洋で遊泳生活するムラサキダコも、足と足の間に膜を持ち、兵庫県竹野町の海岸などでは、地元民に「衣ダコ」の俗名で知られている[3]。またムラサキダコに縁の近いカイダコ類は、同様に外洋で遊泳生活をし、雌は腕から貝殻を分泌してその中に包まっており、この貝殻の中で卵を保育する。
脚注
[編集]- ^ a b 茂木徳郎 著「妖怪変化」、渡辺波光・岩間初郎会 編『宮城県史』 21巻、ぎょうせい、1987年、448頁。 NCID BN00973317。
- ^ 多田克己『幻想世界の住人たち』 IV、新紀元社〈Truth In Fantasy〉、1990年、155-156頁。ISBN 978-4-915146-44-2。
- ^ 本庄四郎『生きもの探訪記』北星社、2004年、48頁。ISBN 978-4-939145-04-9。