裸殻翼足類
裸殻翼足類 | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Gymnosomata Blainville, 1824[1] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Sea Angel | ||||||||||||||||||||||||
科 | ||||||||||||||||||||||||
裸殻翼足類(らかくよくそくるい、学名 Gymnosomata)は、腹足綱翼足目(または真後鰓目)に属する分類群である。無殻翼足類とも。階級は裸殻翼足亜目[2]。以前は裸殻翼足目とされた[3]。
Gymnosomataとは、裸の (gymnos) 体 (soma) という意味である。和名は学名の翻訳ではなく、翼足類 Pteropoda のうち貝殻がないものという意味である。
特徴
[編集]小さな軟体動物で、足は翼状の側足 (parapodia) と呼ばれる付属器官物へ進化し、貝殻は消失している。どちらの進化も大洋を自由に遊泳するのに適している。
伝統的な体系では後鰓類(多系統群)に分類されていたが、のちに後鰓類は解体され真後鰓類に属するようになった。同じ真後鰓類に属する有殻翼足類 (Thecosomata) とよく似ており、有殻翼足類は真有殻翼足類 (Euthecosomata) と擬有殻翼足類 (Pseudothecosomata) の2亜目(または小目)に区別され、裸殻翼足亜目とともに翼足目に分類される[1][4][5]。有殻翼足類はもっと長く幅広い側足を持ち、ほとんどの種に貝殻があり、Sea Butterfly(海の蝶)と呼ばれている。
ゼラチン質で、ほとんど透明で、非常に小さい。側足をゆっくり打って、20mより浅い海を優雅に泳いでいる。通常はゆっくり泳いでいるが、驚くべき速度で泳ぐこともできる。雌雄同体で、体内で受精する。卵はゼラチン状の塊で産み落とされ、孵化するまで水上を漂う。孵化して数日で未発達の貝殻が消失する。
最大の種は5cmに達するダイオウハダカカメガイ Clione limacina である。クリオネとして知られるハダカカメガイ Clione elegantissima は北極海に分布。暖かい水域に分布する種はハダカカメガイよりはるかに小さい。
有殻翼足類のみを捕食する種も何種かいる。これらの種は、軟体動物に共通の歯舌を備えた口をもち、頭足類の吸盤に似た触手で獲物をつかむことができる。さらに、側足と呼ばれる「翼」で、より大きな「翼」を持つ有殻翼足亜目よりも非常に速く泳ぐことができる。これらの種以外のほとんどの種は、動物プランクトンを常食にする。
南極海に分布するナンキョクハダカカメガイ Clione antarctica は、微量の忌避物質 pteroenone を合成することで捕食者から身を守っている。同種の局所的な存在密度は異常であり、最大で1m3あたり300匹になることもある。捕食者がナンキョクハダカカメガイを食べないので、端脚目等その中に住む動物もいる。
分類
[編集]- ハダカカメガイ上科 Clionoidea Rafinesque, 1815
- ハダカカメガイ科 Clionidae Rafinesque, 1815
- ハダカカメガイ亜科 Clioninae Rafinesque, 1815
- ハダカカメガイ属 Clione Pallas, 1774
- ダイオウハダカカメガイ Clione limacina (Phipps, 1774)
- ハダカカメガイ Clione elegantissima Dall, 1871
- ナンキョクハダカカメガイ Clione antarcticaSmith, 1902
- ダルマハダカカメガイ Clione okhotensisYamazaki & Kuwahara, 2017
- イクオハダカカメガイ属 Paedoclione Danforth, 1907
- イクオハダカカメガイ Paedoclione doliiformis Danforth, 1907
- Paraclione Tesch, 1903
- Paraclione longicaudata (Souleyet, 1852)
- ハダカカメガイ属 Clione Pallas, 1774
- ジュウモンジハダカカメガイ亜科 Thliptodontinae Kwietniewski, 1902
- Thliptodon Boas, 1886
- ジュウモンジハダカカメガイ Thliptodon diaphanus (Meisenheimer, 1903)
- ヒョウタンハダカカメガイ Thliptodon akatukai (Tokioka, 1950)
- Thliptodon Boas, 1886
- ハダカカメガイ亜科 Clioninae Rafinesque, 1815
- タルガタハダカカメガイ科(クリオプシス科) Cliopsidae O. G. Costa, 1873
- タルガタハダカカメガイ属 Cliopsis Troschel, 1854
- タルガタハダカカメガイ Cliopsis krohni (Troschel, 1854)
- タルガタハダカカメガイ属 Cliopsis Troschel, 1854
- ノトブランケア科 Notobranchaeidae Pelseneer, 1886
- Notobranchaea Pelseneer, 1886
- Notobranchaea inopinata Pelseneer, 1887
- Notobranchaea Pelseneer, 1886
- ニュウモデルマ科 Pneumodermatidae Latreille, 1825
- ニュウモデルマ属 Pneumoderma de Roissy, 1805
- Pneumoderma atlanticum (Oken, 1815)
- ヤサガタハダカカメガイ属 Pneumodermopsis Bronn in Bronn & Keferstein, 1862
- トヨオカハダカカメガイ Pneumodermopsis ciliata (Gegenbaur, 1855)
- ヤサガタハダカカメガイ Pneumodermopsis canephora (Pruvot-Fol, 1924)
- キノサキハダカカメガイ Pneumodermopsis paucidens (Boas, 1886)
- ニュウモデルマ属 Pneumoderma de Roissy, 1805
- ハダカカメガイ科 Clionidae Rafinesque, 1815
- マメツブハダカカメガイ上科 Hydromyloidea Pruvot-Fol, 1942
- マメツブハダカカメガイ科 Hydromylidae Pruvot-Fol, 1942
- マメツブハダカカメガイ属 Hydromyles Gistel, 1848
- マメツブハダカカメガイ Hydromyles globulosa (Rang, 1825)
- マメツブハダカカメガイ属 Hydromyles Gistel, 1848
- Laginiopsidae Pruvot-Fol, 1922
- Laginiopsis Pruvot-Fol, 1922
- Laginiopsis triloba Pruvot-Fol, 1922
- Laginiopsis Pruvot-Fol, 1922
- マメツブハダカカメガイ科 Hydromylidae Pruvot-Fol, 1942
出典
[編集]- ^ a b MolluscaBase eds. (2024). MolluscaBase. Gymnosomata. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=164 on 2024-11-25.
- ^ 奥谷喬司「わが国近海に見られる浮遊性巻貝類-VII. 裸殻翼足類」『うみうし通信』No.94、2017年3月、8–9頁(2017年8月改訂版)、2024年11月26日閲覧。
- ^ 西脇三郎・小池啓一「軟体動物腹足類の新分類体系と上位分類群の和名」『群馬大学教育学部紀要 自然科学編』第49巻、群馬大学教育学部、2001年、79-97頁。
- ^ 奥谷喬司「わが国近海に見られる浮遊性巻貝類-VI. 有殻翼足類・ミジンウキマイマイ科及び擬有殻翼足類」『うみうし通信』No.94、2016年12月、4–5頁(2017年8月改訂版)、2024年11月26日閲覧。
- ^ 西田和記『ウミウシの生態観察図鑑:食餌、飼育記録から繁殖まで 知られざる生存戦略を知る』誠文堂新光社、2024年。