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裸殻翼足類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
裸殻翼足目から転送)
裸殻翼足類
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
亜綱 : 直腹足亜綱 Orthogastropoda
下綱 : 異鰓下綱 Heterobranchia
大目 : 真後鰓大目 Euopisthobranchia
: 翼足目 Pteropoda
亜目 : 裸殻翼足亜目 Gymnosomata
学名
Gymnosomata Blainville1824[1]
英名
Sea Angel

裸殻翼足類(らかくよくそくるい、学名 Gymnosomata)は、腹足綱翼足目(または真後鰓目)に属する分類群である。無殻翼足類とも。階級裸殻翼足亜目[2]。以前は裸殻翼足目とされた[3]

Gymnosomataとは、裸の (gymnos) 体 (soma) という意味である。和名は学名の翻訳ではなく、翼足類 Pteropoda のうち貝殻がないものという意味である。

特徴

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小さな軟体動物で、足は翼状の側足 (parapodia) と呼ばれる付属器官物へ進化し、貝殻は消失している。どちらの進化も大洋を自由に遊泳するのに適している。

伝統的な体系では後鰓類(多系統群)に分類されていたが、のちに後鰓類は解体され真後鰓類に属するようになった。同じ真後鰓類に属する有殻翼足類 (Thecosomata) とよく似ており、有殻翼足類は真有殻翼足類 (Euthecosomata) と擬有殻翼足類 (Pseudothecosomata) の2亜目(または小目)に区別され、裸殻翼足亜目とともに翼足目に分類される[1][4][5]。有殻翼足類はもっと長く幅広い側足を持ち、ほとんどの種に貝殻があり、Sea Butterfly(海の蝶)と呼ばれている。

ゼラチン質で、ほとんど透明で、非常に小さい。側足をゆっくり打って、20mより浅い海を優雅に泳いでいる。通常はゆっくり泳いでいるが、驚くべき速度で泳ぐこともできる。雌雄同体で、体内で受精する。卵はゼラチン状の塊で産み落とされ、孵化するまで水上を漂う。孵化して数日で未発達の貝殻が消失する。

最大の種は5cmに達するダイオウハダカカメガイ Clione limacina である。クリオネとして知られるハダカカメガイ Clione elegantissima北極海に分布。暖かい水域に分布する種はハダカカメガイよりはるかに小さい。

有殻翼足類のみを捕食する種も何種かいる。これらの種は、軟体動物に共通の歯舌を備えた口をもち、頭足類の吸盤に似た触手で獲物をつかむことができる。さらに、側足と呼ばれる「翼」で、より大きな「翼」を持つ有殻翼足亜目よりも非常に速く泳ぐことができる。これらの種以外のほとんどの種は、動物プランクトンを常食にする。

南極海に分布するナンキョクハダカカメガイ Clione antarctica は、微量の忌避物質 pteroenone を合成することで捕食者から身を守っている。同種の局所的な存在密度は異常であり、最大で1m3あたり300匹になることもある。捕食者がナンキョクハダカカメガイを食べないので、端脚目等その中に住む動物もいる。

分類

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出典

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  1. ^ a b MolluscaBase eds. (2024). MolluscaBase. Gymnosomata. Accessed through: World Register of Marine Species at: https://marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=164 on 2024-11-25.
  2. ^ 奥谷喬司わが国近海に見られる浮遊性巻貝類-VII. 裸殻翼足類」『うみうし通信』No.94、2017年3月、8–9頁(2017年8月改訂版)、2024年11月26日閲覧。
  3. ^ 西脇三郎・小池啓一「軟体動物腹足類の新分類体系と上位分類群の和名」『群馬大学教育学部紀要 自然科学編』第49巻、群馬大学教育学部、2001年、79-97頁。
  4. ^ 奥谷喬司「わが国近海に見られる浮遊性巻貝類-VI. 有殻翼足類・ミジンウキマイマイ科及び擬有殻翼足類」『うみうし通信』No.94、2016年12月、4–5頁(2017年8月改訂版)、2024年11月26日閲覧。
  5. ^ 西田和記『ウミウシの生態観察図鑑:食餌、飼育記録から繁殖まで 知られざる生存戦略を知る』誠文堂新光社、2024年。