親鸞、幻の如くなる一期
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『親鸞、幻の如くなる一期』(しんらん、まぼろしのごとくなるいちご、英題:Shinran, Life is impermanent like an illusion)は、大谷千正が作曲したプロローグ・全3幕5場・エピローグから成るグランド・オペラ。台本は花月真による。
概要
[編集]- 2001年に発案後、2007年から2011年にかけて作曲され、2011年9月11日、京都コンサートホール大ホールにて初演
- 演奏時間:約130分
物語の時代背景
[編集]登場人物
[編集]- ソリスト:親鸞(ハイ・バス)
- 恵信尼(メゾソプラノ)
- 後鳥羽上皇(バリトン)
- 伊賀局〈別名、亀菊〉(メゾソプラノ)
- 住蓮(テノール)
- 安楽〈別名、遵西〉(テノール)
- 松虫(ソプラノ・リリコ)
- 鈴虫(メゾソプラノ)
- 首切り役人(バリトン)
- 合唱:村人たち(混声8部合唱)
- 僧侶たち(男声合唱)
オーケストラ
[編集]2管編成
合唱
[編集]混声8部合唱・男声合唱
あらすじ
[編集]- 第I幕
- 法然の高弟、安楽・住蓮は、美男の上に大変な美声の持ち主。そのため、2人が開く念仏の会は、いつも人で溢れ、とりわけ女性の信者が多かった。
- 2人は1206年(建永元年)の暮れ、京都・鹿ヶ谷の草庵で、別時念仏(時間を定めて念仏を唱える)の会を催す。集まりは盛況で、その中には、後鳥羽上皇に寵愛されている松虫・鈴虫ほか、院の女官たちも数人紛れ込んでいた。老若男女が集い、スター僧侶の安楽・住蓮と、親鸞の礼讃に聞き惚れる。
- 伊賀局は、ひそかに親鸞に思いを寄せている。親鸞にうまく近づき、心の内を吐露するが、にべもなく断られ、恨みを抱く。
- やがて称名念仏の声が草庵から流れだし、夜は次第にふけてゆく…。
- 〈第1場〉鹿ヶ谷(物語の発端を提示) 華やかな法会の場面 - ダンス -
- 〈第2場〉夜半、草庵にて…(親鸞と伊賀局の関係を示す) 同夜、夜半にかけて
- 第II幕
- 鹿ヶ谷の念仏会が大醜聞に発展する。念仏会は、安楽・住蓮と松虫・鈴虫の密通のための隠れ蓑であったと伊賀局らが云うのである。松虫・鈴虫は、伊賀局に唆され、掟を破って鹿ヶ谷に外泊し、思い余って自ら剃髪してしまうのであった。この醜聞が後鳥羽上皇の耳に届く。伊賀局の執拗かつ巧妙な諫言に突き動かされて、ついに上皇は、念仏宗[要曖昧さ回避]に大鉄槌を下すことを決意する。
- 幕の最後では、追っ手の首切り役人が大音声で罪状を言い渡し、斬首を命じる最大の見せ場が展開する。
- 第III幕 蜉蝣(越後、親鸞の回想・怒り…)
- 後鳥羽の大鉄槌は、峻厳そのものであった。念仏僧の拷問が相次ぎ、弾圧は過酷なものとなった。
- 安楽と住蓮は死罪。親鸞は越後に配流。その他、高弟が死罪および流罪となった。親鸞は還俗させられ、念仏宗も全面的に禁止された。
- 第三幕は、親鸞の激しい苦悩のアリアで始まる…。やがて、時空を超えて、晩年の後鳥羽上皇が現れ、「無常講式」が親鸞のアリアと重なる。さらに、物語冒頭の晩年の恵信尼の歌が重なり、三重唱となり、次第に、後鳥羽、親鸞とその姿を消してゆく…。
- エピローグ
- 最後に、一人残った、年老いた恵信尼の、懐かしき夫の古き思い出話として、この事件が振り返られ、静かに幕となる…。「幻の如くなる一期…」。
- 終わりの合唱
楽譜
[編集]- オーケストラ・スコア:菊倍判、340p., 国際芸術連盟、2012年3月。 ISBN 978-4-906616-86-2。
音源
[編集]- 初演時実況録音盤:音源配信、JILA-STORE、2012年4月。