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観世音菩薩普門品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

観世音菩薩普門品(かんぜおんぼさつふもんぼん)は、略して観音経(かんのんきょう)とも言われる。後半のみを唱えるときは、世尊偈(せそんげ)、観音経偈、普門品偈などとも言う。法華経のなかの第二十五品「観世音菩薩普門品」という一章のことである[1]。正式には、「妙法蓮華経観世音菩薩普門品(みょうほうれんげきょうかんぜおんぼさつふもんぼん)」という。日本では主に鳩摩羅什訳のものを用いる[2]

植木雅俊氏の「法華経とは何かその思想と背景」[3]:247Pにおいて、「この章には法華経に対する信受は全く言及されていない事に気づく、そのことからこの章は法華経とは全く関係なく独立して作られた経典であって、それがのちに法華経に取り込まれたと言う事が読み取れる。」とあるが普門品に法華経に対する信受が無い事が、別の経典であった証拠にはならない。観音経はそれ自体が危機回避を取り扱っており法華経に対する信受は求められない。また、独立した経典であったならばその経典が現存していなければ証拠にはならない。また、入蔵目録にある別行本らしきものが先行経典であるという証拠もない。また、普門品には、多宝如来が登場しており、法華経である事は明白である。さらに法華経より古い経典で観世音菩薩を扱ったものは発見されていない。

概要

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観音菩薩の力を信じ、慈悲の心を信じ、その名を唱えれば、観音菩薩に救われることが書かれた経文である。ここから南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)と唱えるとさまざまな功徳があると言われている[2]。経文中には念彼観音力(ねんぴかんのんりき)という一節が幾度も現れることから、観音菩薩を念じる重要さがわかる。また衆生を救済する際には、その姿を相手に応じて三十三の姿に変えて救う旨(三十三応現身)についても書かれている。この三十三という数字を基とし、西国三十三所などの観音霊場をめぐる巡礼が平安時代よりおこなわれるようなった[4]。法華経の中の一章であることから日蓮宗天台宗ではよく読誦されているが、禅宗真言宗でも勤行の中で読誦されている。

観音経の偈頌、すなわち『世尊偈』については、『添品法華経序文』(大興善寺沙門上行)によると、竺法護・鳩摩羅什訳の翻訳について、「欠品していた世尊偈を学者が協力して、法華経から別行していた漢訳から欠けた部分を補って、世に出したということで、これを誇りとする。私はその遺風を慕い仰いで則って規範とする。」[5]とある。

脚注

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  1. ^ zen-ryujo (1557309600). “観音経(妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈)の意味と現代語訳 - 禅の視点 - life -”. 禅の視点 - life -. 2022年7月27日閲覧。
  2. ^ a b 観音経(かんのんきょう)全文 現代語訳【明石の禅寺】大蔵院”. 見江山 大蔵院 (2022年2月19日). 2022年7月27日閲覧。
  3. ^ 法華経とは何か その思想と背景 -植木雅俊 著|中公新書|中央公論新社”. www.chuko.co.jp. 2024年12月23日閲覧。
  4. ^ 観音さまとは? 掛け軸の専門店 香遊オンライン 【送料無料・安心対応】”. www.kouyu.info. 2022年8月9日閲覧。
  5. ^ 「法華経と空思想(梶山雄一)東洋学術研究第38巻第2号」