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超低密度リポタンパク質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

超低密度リポタンパク質(ちょうていみつどリポタンパクしつ、: Very-low-density lipoproteinVLDL)は、細胞外水分に対して密度が高い、肝臓で作られるリポタンパク質の一種である[1]。VLDLは、脂肪やコレステロールを血流の水性溶液中で移動できるようにするための5つの主要なリポタンパク質群(カイロミクロン、VLDL、中間密度リポタンパク質低密度リポタンパク質高密度リポタンパク質)の1つである。VLDLは、肝臓で、トリグリセリドコレステロール、およびアポリポタンパク質から組み立てられる。VLDLは血液中で低密度リポタンパク質(LDL)や中間密度リポタンパク質(IDL)に変換される。VLDL粒子の直径は30-80 nmである。VLDLは内因性生成物を輸送するのに対し、カイロミクロンは外因性(食物由来)生成物を輸送する。2010年代初頭、このリポタンパク質の脂質組成[2]とタンパク質組成[3]の両方が、非常に詳細に特徴付けられた。

機能

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超低密度リポタンパク質は、内因性のトリグリセリド、リン脂質、コレステロール、およびコレステリルエステル英語版を輸送する、体内における脂質の輸送機構として機能する。さらに、形態形成因子(モルフォゲン)のインディアン・ヘッジホッグ (タンパク質)英語版のような疎水性の細胞間メッセンジャーを長距離輸送するのにも役立つ[4]

体内循環における変化

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肝臓から放出された新生VLDLには、アポリポタンパク質B100英語版アポリポタンパク質C1英語版(apoC1)、アポリポタンパク質E(apoE)、コレステロール、コレステリルエステル、およびトリグリセリドが含まれている。それらは血液中を循環しながら、アポリポタンパク質C-II(apoC-II)と、高密度リポタンパク質(HDL)から提供された追加のapoEを受け取る。この時点で、新生VLDLは成熟VLDLとなる。 VLDLは、循環すると、体内の毛細血管床(脂肪、心筋、骨格筋)でリポタンパク質リパーゼ(LPL)と接触する。LPLは、貯蔵またはエネルギー生産のためにVLDLからトリグリセリドを除去する。ここで、VLDLはHDLと合流し、apoC-IIをHDLに戻す(ただし、apoEは残される)。HDLはまた、コレステリルエステル転送タンパク質英語版(CETP)を介して、リン脂質およびトリグリセリドと引き換えにコレステリルエステルをVLDLと交換する。LPLおよびCETPの酵素の作用によって、さらに多くのトリグリセリドがVLDLから取り除かれると、分子の組成が変化し、中間密度リポタンパク質(IDL)となる[5]

IDLの50%は、アポリポタンパク質B-100(apoB-100)とapoEを含むため、肝細胞の受容体に認識されエンドサイトーシスされる。残る50%のIDLはapoEを失っていて、それらのコレステロール含有量がトリグリセリド含有量よりも多くなると、apoB-100を主なアポリポタンパク質とするLDLとなる。LDLは、LDL受容体を介してエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、その内容物は貯蔵されるか、細胞膜構造に使用されるか、ステロイドホルモン胆汁酸など他の生成物に変換される[6]

参照項目

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  • 複合型高脂血症英語版- LDLとトリグリセリド濃度の上昇を特徴とする高コレステロール血症の一形態
  • 脂質像英語版 - コレステロールやトリグリセリドなどの脂質の異常を見つけるための血液検査法

脚注

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  1. ^ Gibbons GF, Wiggins D, Brown AM, Hebbachi AM (2004). “Synthesis and function of hepatic very-low-density lipoprotein.”. Biochem Soc Trans 32 (Pt 1): 59–64. doi:10.1042/bst0320059. PMID 14748713. https://semanticscholar.org/paper/e025cf94ddbb1005f1c5f4772a8d0f10b02aa5f7. 
  2. ^ Dashti M, Kulik W, Hoek F, Veerman EC, Peppelenbosch MP, Rezaee F (2011). “A phospholipidomic analysis of all defined human plasma lipoproteins.”. Sci. Rep. 1 (139): 139. doi:10.1038/srep00139. PMC 3216620. PMID 22355656. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3216620/. 
  3. ^ Dashty M, Motazacker MM, Levels J, de Vries M, Mahmoudi M, Peppelenbosch MP, Rezaee F (2014). “Proteome of human plasma very-low-density lipoprotein and low-density lipoprotein exhibits a link with coagulation and lipid metabolism.”. Thromb. Haemost. 111 (3): 518–530. doi:10.1160/TH13-02-0178. PMID 24500811. 
  4. ^ Queiroz KC, Tio RA, Zeebregts CJ, Bijlsma MF, Zijlstra F, Badlou B, de Vries M, Ferreira CV, Spek CA, Peppelenbosch MP, Rezaee F (2010). “Human plasma very-low density lipoprotein carries.”. J Proteome Res 9 (11): 6052–6059. doi:10.1021/pr100403q. PMID 20839884. 
  5. ^ Shelness GS, Sellers JA (2001). “Very-low-density lipoprotein assembly and secretion.”. Curr Opin Lipidol 12 (2): 151–157. doi:10.1097/00041433-200104000-00008. PMID 11264986. 
  6. ^ Shelness GS, Sellers JA (2000). “From cholesterol transport to signal transduction: low density lipoprotein receptor, very-low density lipoprotein receptor, and apolipoprotein E receptor-2.”. Biochim Biophys Acta 1529 (1–3): 287–298. doi:10.1016/S1388-1981(00)00155-4. PMID 11111096. 

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