超漢字
超漢字(ちょうかんじ)とは、パーソナルメディア株式会社が開発・販売する、BTRON3仕様のAT互換機用オペレーティングシステム。正確かつ厳密に説明すると、オペレーティングシステムは「B-right/V」で、標準搭載のフォント・ワープロ・表計算ソフトなどを含めた全体が「超漢字」である。
2014年(平成26年)現在の最新製品バージョンは「超漢字V」。最新パッチは2009年6月11日リリースのB-right/V R4.540。
OSとしての特徴
[編集]BTRON3仕様に準拠。
標準搭載ソフトウェア
[編集]小物ソフトウェア
[編集]「実身データを使って何かをするためのソフト」をアプリケーションといい、それ以外を小物ソフトウェアと呼ぶ。
- 電子マニュアル
- 郵便番号辞書
- 電子手帳ソフト
- システム環境設定
- ユーザ環境設定
- ネットワーク設定
- ダイヤルアップ接続
- 電卓
- 時計
- 画面印刷
- ユーザ辞書
- 印刷管理
- FD複製
- ディスク修復
- トレー
- キー配列変更
- 初期設定ガイダンス
- バックアップ
ハイパーリンク構造
[編集]他の一般的なOSがディレクトリを用いたツリー構造のファイル管理をしているのに対し、BTRON仕様OSは、ユーザーが触れる範囲は全てハイパーリンクで繋がった、ネットワーク構造のファイル管理を行っている。
ファイルシステム自体がハイパーテキストになっていること、すべてのファイルを「開いた仮身」と呼ばれるプレビューモードにできることから、超漢字内のコンテンツは、動的に編集されるウェブページのような状態になっている。そのため、この利点を生かして、これをそのまま他のOSからも閲覧できるHTMLに変換するソフトウェアが、パーソナルメディアから発売されている。
- 超漢字ウェブコンバータ
- 外部のウェブサーバに転送し、そこにHTMLを生成する。
- 超漢字ウェブサーバ
- 手元のパソコン自体をサーバにし、外部からのアクセスに応じてリアルタイムでHTMLに変換して送り出す。
電子辞書ソフト
[編集]事実上すべての漢字を扱える強みを生かして、パーソナルメディア純正の辞書ソフトが販売されている。
- 超漢字広辞苑
- 岩波書店の『広辞苑』を、外字を使わずに電子化。
- 超漢字康煕字典
- 漢字字体の典拠とされる『康熙字典』を画像として収録。文字の検索もできる。
- 超漢字岩波新漢語辞典
- 11800字収録の漢和辞典。外字は不使用。一部文字は筆順も表示する。
搭載している文字種
[編集]- JIS第1 - 第4水準、補助漢字
- 韓国漢字、ハングル
- 中国簡体字、簡体字拡張、繁体字
- 点字(六点点字および八点点字)
- iモード絵文字
- GT明朝
- 諸橋大漢和辞典収録文字
- ラテン文字
- アラビア文字
- 各国記号、IPA発音記号
- 変体仮名
- その他記号・文字類
ただしOSとしてアラビア文字の「右から左」などの書字方向には対応していない。また合字などの処理についても、言語・字種によって対処の仕方が異なる。そのためそういった言語は「文字」単位での使用に限られ、「文章」としての利用は現時点ではまだ実用段階にないと言える。
対応機種
[編集]超漢字4までは基本的にはPC/AT互換機で動作するが、相性問題などによりうまく起動しない、あるいは一部機能が使用できないなどの現象がある。超漢字ウェブサイトからダウンロードできる「動作確認ディスク」を用いることで事前に検証できる。
パーソナルメディアの書籍「はじめてみよう体験版で超漢字」は超漢字4の体験版が付録になっているが、パーソナルメディアの書籍の紹介ページに、「※付録 CD-ROM は、本書発行当時2003年12月~2005年頃のWindowsが動作するパソコンでの動作確認はされておりますが、2012年現在の仕様のパソコン上では、ほぼご利用いただけません。」という注意書きがある。[1]
超漢字Vからは、VMware Playerが動作環境となった。
インストール
[編集]超漢字4までは、それ自体がOSであるため、Windowsアプリケーションとして使用することはできなかった(ただし、Windows上でAT互換機をエミュレートするソフトを用いれば可能)。
そのため、超漢字用のパソコンを1台用意するか、ハードディスクのパーティションを分割して「登録」(インストール)する必要がある。超漢字4の場合、今使っているパソコンのハードディスクを、初期化せずにそのままパーティション分割するSystem Selector2というソフトウェアがパッケージに同梱されている。
最新バージョンである超漢字Vでは、VMware Player[2] (またはVMware Workstation)上での動作を前提とする事になったため、今までは実現できなかった以下の機能が可能となった。
- 他のWindowsアプリケーションとウィンドウを切り替えて、同一マシン上で並行作業ができる。
- クリップボードを経由する事により、他のWindowsアプリケーションとの文字列複写ができる。
- Windows共有フォルダを経由する事によるファイルの共有。
- Windows用のプリンタドライバを使用した印刷。
- VMware Player(またはVMware Workstation)を介したWindows周辺機器の利用。
前身の製品
[編集]- BTRON-1B/V1 ~ V3:初のBTRON仕様に準拠したOS。
- B-right/V:超漢字のOSと同名。1998年7月18日発売[3]。BTORON3仕様に準拠。
脚注
[編集]- ^ “「はじめてみよう体験版で超漢字」付録CD-ROMの使い方・ご注意”. パーソナルメディア株式会社. 2015年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年10月24日閲覧。
- ^ 標準添付の製品は英語版であることに注意。
- ^ 『TRONWARE VOL.53』第9巻第5号、パーソナルメディア、1998年10月10日、2頁、ISBN 4-89362-163-7。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 超漢字ウェブサイト
- パーソナルメディア
- 超漢字・BTRON(パーソナルメディア)(超漢字体験版が付属する書籍等の紹介)
- btronクラブ(パーソナルメディア)
- トロンプロジェクト(社団法人トロン協会)
- 「超漢字」を体験させてほしい(ウェブアーカイブ)