速読英単語
速読英単語(そくどくえいたんご)とは、Z会出版から発売されている大学受験向け英単語集のことである。通称速単(そくたん)。著者は元都立戸山高校教諭の風早寛。
概要
[編集]英単語をバラバラではなく、ストーリーのある長文の中で読み込み、またはCDで聞き取り、それから単語としての意味と用法も確認する、というコンセプトで構成されている[1]。
中学版、入門編、必修編、上級編の4シリーズがあり、派生版として『速読英熟語』も存在する。すべて対応CDが別売りであったが、中学版の改訂(2020年3月)以降に改訂・増補された版はwebからの無料音声ダウンロード・ストリーミングに対応している。[2]。中でも必修編は大学受験生の支持を集め、受験参考書サイトなどにおいても英単語集のなかで売り上げ1位を維持している[3]。2011年には『中学版 速読英単語』および対応CDを刊行。発刊から2012年で20周年となった[4]。2015年には入門編と必修編に対応する書き込み式単語ノートを発刊[5]。2018年には英単語アプリmikanに『速読英単語 (1)必修編[改訂第6版]』を組み込んだ「mikan速単」もリリースされた[6]。2019年には必修編に対応した長文読解問題が発刊された[7]。
学習参考書としては「ベストセラー[8]」であると見なされている。Z会社長の加藤文夫によると、「前後の文章も自然に頭に入るように工夫して」いるという[9]。
中学版
[編集]高校入試での使用を想定されている[10]。2020年に改訂された。[11]
入門編
[編集]高校1年生の春からの使用を想定されている。最新版は改訂第3版[12]。
必修編
[編集]1992年に初版が出版された[13]。入試で出題された英文を収録している。最新版は改訂第7版であり、2022年から音声の無料ダウンロードに対応しディクテーションページを追加した増補版に切り替わった(英文も2章分刷新された)。[14]。
上級編
[編集]1992年に初版が出版された[13]。使用対象レベルは主に東大、京大、早大、慶大、上智大などの難関大学の入試問題である[15]。未知の単語に対する「推測法」を解説したページが追加されている[15]。
発売日 | 版 | CD | |
---|---|---|---|
1 | 1992年3月21日 | 初版 | |
2 | 1994年 | 増訂版 | ○ |
3 | 1997年2月24日 | 増訂第2版 | × |
4 | 2003年3月20日 | 改訂第3版 | ○ |
5 | 2015年3月11日 | 改訂第4版 | ○ |
ウェブ配信サービス
[編集]1997年より、NTT及びNTTラーニングシステムズと協力してインターネットでの演習問題提供も実施した[16]。2009年からは携帯電話で理解度チェックができるサービスも提供された[8]。2015年2月からは高校生向けに「速単教室」というオンラインサービスが開始された[17]。
売り上げ
[編集]受験参考書サイトなどにおいても英単語集のなかで売り上げ1位を維持している[3]。2006年時点では、本書及び『英単語ターゲット1900』(旺文社)の売り上げだけで、学習要の英語単語帳の総売り上げの8割となっていた[18]。2007年時点では307万部発行されていた[19]。
類似書
[編集]- 『速読速聴・英単語』シリーズ - 松本茂(監修)、Z会 - CD附属
- 『速読英熟語』 - 岡田賢三(著)、Z会 - CD別売り
- 『話題別英単語リンガメタリカ』 - 中沢幸夫(著)、Z会 - CD別売り
- 『多読英語長文』 - 田井中義男、信田勇、岡本政治(著)、Z会 - CD別売り
- 『英文で覚える英単語ターゲットR』シリーズ - 坂本浩(1400) 宇佐美 光昭(1900)花本金吾(熟語)(著)、旺文社 - 音声DL
- 『英検 文で覚える英単熟語』シリーズ - 旺文社 - CD附属
- 『ソク単』(文春新書) - 晴山陽一(著)、文藝春秋 - 2006年10月に文藝春秋より出版された晴山陽一著『ソク単』が類似品に当たるとして翌11月に絶版扱いとなった[20][21]。Z会は「速読英単語」及び「速単」を商標登録している[21]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ “速単特設サイト”. Z会. 2022年6月6日閲覧。
- ^ “Z会書籍のCDが試聴できます”. Z会. 2018年4月20日閲覧。
- ^ a b 学参ドットコム
- ^ “【Z会の本】『速単』発刊20周年記念!通販限定キャンペーン”. News2uリリース (2012年3月27日). 2018年4月21日閲覧。
- ^ “【Z会の本】<英語>受験生の定番! 生きた単語力が身に付く「速単シリーズ」5点/「上級編[改訂第4版」「対応CD」「入門編分冊版」「(入門編・必修編)書き込み式単語ノート」を発刊しました。(プレスリリース)]”. News2uリリース (2015年4月2日). 2018年4月21日閲覧。
- ^ “【Z会】英単語アプリmikanに「速単」版が無料で登場!ベストセラー『速読英単語 (1)必修編[改訂第6版』のコンテンツを搭載(プレスリリース)]”. 朝日新聞. 2018年4月20日閲覧。
- ^ “速単の英文で学ぶ 長文問題”. z会. 2019年8月28日閲覧。
- ^ a b 「第1部新モデルへの挑戦(3)ゲーム機の中から授業(次代をひらく)」『日経新聞』地方経済面静岡、2009年11月18日、p. 6。
- ^ 「[社長に聞く]Z会社長・加藤文夫さん59 センター対策、ネット講座も=静岡」『読売新聞』2007年9月12日、朝刊、p. 34。
- ^ “速読英単語 中学版”. z会. 2019年8月28日閲覧。
- ^ “速読英単語 中学版[改訂版]”. Z会. 2022年6月6日閲覧。
- ^ “速読英単語 入門編[改訂第3版]”. Z会. 2022年6月6日閲覧。
- ^ a b 「英単語集は戦国時代 我こそは「豆単」「シケ単」の後継 【大阪】」『朝日新聞』1992年9月21日、夕刊、p.18。
- ^ “速読英単語 必修編[改訂第7版増補版]”. Z会. 2022年6月6日閲覧。
- ^ a b “速読英単語(2)上級編[改訂第4版]”. Z会. 2022年6月6日閲覧。
- ^ 「NTTなど、インターネットで電子教育サービス」『日経新聞』1997年5月27日、p. 11。
- ^ 「英単語暗記、ネットで後押し――旺文社、Z会(Theライバル)」『日経産業新聞』2016年1月14日、p. 15。
- ^ 「(トリビア・ランキング)大学受験用参考書 「ドラゴン桜」お薦め本も 【名古屋】 」『朝日新聞』2006年4月27日、夕刊、p.3。
- ^ 「「全受験生必携」消える?――参考書100年、曲がり角(スクープ)」『日本経済新聞』2005年1月10日、朝刊、p. 18。
- ^ “〈お詫び〉”. 文藝春秋. 2018年4月21日閲覧。
- ^ a b 「文芸春秋:商標無断使用で文春新書絶版」『毎日新聞』2006年12月22日、東京朝刊、p. 28。