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造園作品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

造園作品(ぞうえんさくひん)とは、造園家が造る造園空間としての創作物

日本造園学会では隔年で日本造園学会賞の作品部門と造園作品選集を選出している。造園作品選集は<設計部門>と<計画部門>とがあり、設計部門はつぎの作品区分となっている。

  1. 自然風景地および庭園
  2. 都市公園
  3. 教育施設医療福祉施設文化施設等のランドスケープ
  4. 集合住宅宿泊施設等のランドスケープ
  5. 商業施設業務施設等のランドスケープ
  6. 展示博覧会等のランドスケープ作品)
  7. エイジング
  8. 海外・エイジング

上記の「ランドスケープ」とは、該当作品各施設建築物)の敷地で、外空間/アウトテリア・エクステリア空間のデザイニング/ランドスケープデザインを指している。

このほかマルモ出版や建築資料研究社などの造園関連図書を多く扱う出版社では、造園作家の造園作品集などを幾つか刊行している。

進士五十八は著書『東京の緑』(東京都造園建設業協同組合、1977年)において「造園作品」と「造園空間」を区別して考えるべきだとしている。進土によれば額縁の中に収めた立体絵画が造園作品であり、造園作品の中に利用者が多数入り込むとその良さは半減するが造園空間はこの逆に人間のいる風景で、多数の利用者が入り込むことで活気が生じ好ましい雰囲気が醸成するとした。この二つの違いを、典型的には私園と公園の差や、和洋の違い、観賞式の室町期の庭に対する廻遊式の江戸期との違いとも対応しているとした[1]

関連項目

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脚注

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  1. ^ 進士(1977)『各空間構成の相違として考察すると,「作品」は定位置からの高い注視密度に耐えうるためか造形的構成が緻密で次第に芸術性や高踏的な美の追及へとエスカレートしやすい。「空間」は多方面からの眺望が前提なので各部分は余り注視されない。むしろ変化に重きが置かれ,全体的編成と各種利用目的に対する空間分割のバランスが重視される。これはまた,精巧に組みたてられた細部をつないで出来上がった庭と全体構成(全体のフレーム)が構成されていて細部が後から続く庭との違いとも言える。…中略…よい立地環境の中で,よい材料を用いて,よい技術者を集めて,しかもただひたすらに造形的な美を構成するのは容易であろう。…中略…「作品づくり」に対して「空間づくり」をまとめるには美しさが弱いだけ大変だとも言える。…中略…多目的の機能を満たしながら有機的な空間を構成しなければならないのである。』

参考文献

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  • 竹田直樹,八木健太郎『彫刻シンポジウムにおけるランドスケープデザインを試みた共同制作について』「環境芸術 : 環境芸術学会論文集(3)」, 2003年10月
  • 相田諭希典『第38回東京都公園協会賞受賞論文 長岡安平の造園作品に関する調査』「都市公園」 (162), 2003年9月号
  • 立山富士彦『「より良い造園作品つくり」を目指して(<特集>公共造園における設計監理のあり方)』「ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture」 60(1), 1996年8月号
  • 鈴木誠『造園作品選集刊行委員会(<特集>学会活動の70年をふりかえって 企画の活動)』「ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture」 58(4),1995年3月号
  • 鈴木昌道『庭園の構成原理の研究に基づく一連の造園作品(学会賞受賞者業績要旨)』「造園雑誌」 45(1), 1981年8月号