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遠位尿細管性アシドーシス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

遠位尿細管性アシドーシス(えんいにょうさいかんせいアシドーシス、英:distal renal tubular acidosis、dRTA)とは腎臓の遠位尿細管障害により起こる代謝性アシドーシスである。尿細管性アシドーシスの中では I型に分類されている[1]

原因

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病態

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遠位尿細管ではH+をアンモニアとともに NH4+として排泄し、HCO3−を再吸収している。そのため遠位尿細管が障害されると、H+の排泄とHCO3−の再吸収をすることができなくなる。

結果的に体内にH+が蓄積され、尿中にはHCO3−が排泄されることとなる。マイナスに荷電したHCO3−が排泄されることでその電荷に引き寄せられたNa+イオンとK+イオンが尿細管内に出てしまう。これにより低カリウム血症低ナトリウム血症となる。

カルシウムイオンCa2+は血液中では半数がアルブミンと結合しており、半数が無機イオンの形で存在している。アルブミンと結合したCa2+は、糸球体でサイズバリア・チャージバリアによって濾過されない。体内に蓄積されたH+は血中に存在するアルブミンと結合するが、もともと結合していたCa2+を血中に追い出す形で起こる。そのため、血中には無機Ca2+が増える。無機Ca2+は糸球体で濾過されるため、尿細管内に濾過されるCa2+の量が増加する。そのため、骨軟化症・腎石灰化などの症候が出現する。

治療

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アルカリとカリウムの補充が主となる。尿細管性アシドーシス自体には根本的な治療がないため、対症療法しかできない。また、クエン酸含有アルカリ液(Shohl液)は血液をアルカリ化し結石を防止する。

診療科

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脚注

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  1. ^ 冨田公夫、「尿細管性アシドーシスの分類と診断」『日本内科学会雑誌』 86巻 10号 1997年 p.1891-1896, doi:10.2169/naika.86.1891

参考文献

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外部リンク

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