那須烏山市立図書館
那須烏山市立図書館 Nasukarasuyama City Library | |
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施設情報 | |
正式名称 | 那須烏山市立図書館 |
専門分野 | 総合 |
事業主体 | 那須烏山市 |
管理運営 | 図書館流通センター[1] |
延床面積 | 3,059.52[2] m2 |
開館 | 2005年10月1日[3] |
所在地 | |
統計・組織情報 | |
蔵書数 | 220,677冊(2022年3月31日[4]時点) |
貸出数 | 152,991冊(2021年度[5]) |
来館者数 | 52,710人(2021年度[6]) |
年運営費 | 41,693千円(2022年度[7]) |
条例 | 那須烏山市立図書館設置及び管理条例(平成17年那須烏山市条例第150号)[3] |
職員数 | 13人(2022年現在)[4] |
公式サイト | https://lib-nasukarasuyama.jp/ |
地図 | |
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館 |
那須烏山市立図書館(なすからすやましりつとしょかん)は、栃木県那須烏山市にある公立図書館。中央一丁目にある烏山図書館と田野倉にある南那須図書館から成る。指定管理者制度を導入しており、図書館流通センターが管理運営する[1]。
歴史
[編集]幻の烏山文庫
[編集]二宮文庫(栃木県立図書館の前身)資料の中に、那須郡烏山町の「烏山文庫」から届いたはがきが1枚残されている[8]。このはがきは1915年(大正4年)12月3日付で、御大典記念に有志で烏山文庫を作ったものの、経験が不足しているため、資料収集の参考にしたいので、二宮文庫の図書目録を送ってほしいという内容が記されている[8]。これに対する二宮文庫からの返答は残っておらず、烏山文庫の詳細も不明である[8]。1922年(大正11年)の統計によると、栃木県には青年団が設立した文庫が39か所あったといい、烏山文庫もそうした簡易的な図書館の1つであったと見られる[8]。これらの図書館の蔵書は400 - 500冊程度であった[8]。
烏山青年団図書館(1946-1950)
[編集]第二次世界大戦の終結から間もない時期に、烏山町青年団の大島正らは各種の文化活動を行う烏山町青年文化連盟を立ち上げた[9]。その中の1つに読書会活動があり、これを発展させる形で、福田政治が中心となって図書館設置運動を展開した[9]。この運動により、町内の各家庭から図書や雑誌4,400冊と、若干の資金が集まり、1946年(昭和21年)に小森百貨店2階を借用した「烏山青年団図書館」として開館するに至った[10][11]。青年団図書館は場所を転々としながら利用者数を伸ばしていき[9]、烏山保育園の一角に置かれた時期もある[11]。また、烏山町議会議員全員と懇談会を持ったり、町民への資金提供を呼び掛けたりして、新館建設を目指した[9]。その結果、95,000円の寄付を獲得し[9][11]、1948年(昭和23年)11月3日に[11]、烏山町役場の裏手に22坪(≒72.7 m2)の新図書館を建設、開館した[9]。『栃木県の図書館』は、この時点を創立としている[12]。館長には、町議会議員になっていた福田政治が就任し、全青年団員が宿直しながら運営した[9]。図書館を運営する女性事務員への手当を支給するため、閲覧料を徴収していた[11]。
烏山町公民館図書部から烏山町立図書館へ(1951-2003)
[編集]1950年(昭和25年)に図書館法が施行されると、青年団図書館は一切を烏山町に寄贈し、1951年(昭和26年)からは烏山町公民館図書部として運営されるようになった[9][11]。1957年(昭和32年)には烏山藩士の子孫から寄贈された藩政期の史料3,500点から成る「平野文庫」を設置した[9][11]。公民館図書部ながら、1963年(昭和38年)頃に栃木県公共図書館協議会へ、1968年(昭和43年)には全国公共図書館協議会へ加盟した[13]。この間、烏山町1925番地の1に移転している[13]。
1971年(昭和46年)、烏山小学校が愛宕台に移転したことで空いた旧校舎が教育委員会に転用されることになり、図書部もそこへ移り[13]、同時に町内の地区公民館にあった蔵書をすべて烏山町中央公民館に集めた[9][13]。1975年(昭和50年)3月に烏山町立図書館設置条例と烏山町立図書館規則を整え、烏山町立図書館が正式に設置された[13]。同年度の蔵書数は14,628冊で、独立した図書館の建設がこの年から構想された[13]。1977年(昭和52年)5月には、6900万円をかけて建設した新図書館が開館した[9]。同年7月には同じ敷地に郷土資料館も開館した[13]。
南那須町立図書館の創設から那須烏山市立図書館へ(2003-)
[編集]2003年(平成15年)4月1日[14]、南那須町立図書館が開館した[15]。2000年代に開館した図書館としては、栃木県第1号である[15]。
2005年(平成17年)1月12日の南那須町・烏山町合併協議会で、南那須町立図書館と烏山町立図書館の取り扱いについて話し合われ、「現行のとおり新市に引継ぐもの」とされた[16]。当時の両館はどちらも1人5冊まで14日間の貸出が可能であり、休館日は月曜日と第3日曜日であった[16]。開館時間は烏山町立図書館が10時から18時であったのに対し、南那須町立図書館は9時から19時(11月から3月は18時まで、土日は17時までに短縮)と違いがあり、南那須町立図書館では図書以外にAV資料の貸出も実施していた[16]。同年10月1日に、南那須町と烏山町が合併して那須烏山市が発足し[17]、那須烏山市立図書館も発足した[3]。
2012年(平成24年)度に指定管理者制度導入し[18]、大高商事・大新東ヒューマンサービス・藤井産業共同事業体が指定管理者となった[19]。指定管理者による運営に移行したことで、貸出冊数やイベント数の増加、職員の司書比率の上昇などの効果があった[19]。
2017年(平成29年)1月、那須烏山市は公共施設等総合管理計画の原案を公表し、パブリックコメントを実施した[20]。原案では烏山図書館を南那須図書館に統合し、図書館窓口等の代替機能の設置を検討する旨が記されていたが、烏山図書館の廃止に対する反対意見が寄せられたことから、南那須図書館へ統合する方針を維持しつつも、烏山図書館の代替機能を複合・多機能型施設の中に設置する旨の表現に改めた[20]。2017年(平成29年)度からの第2期指定管理の管理者は、大高商事・シダックス大新東ヒューマンサービス・藤井産業共同体が務めた[21]。
2022年(令和4年)度からの第3期指定管理では、図書館流通センターに指定管理者が変更された[1]。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して[22]、2022年(令和4年)9月1日、那須烏山市電子図書館の運用を開始した[23]。
各館
[編集]烏山図書館
[編集]那須烏山市立烏山図書館(なすからすやましりつからすやまとしょかん)は、那須烏山市中央一丁目18-39(北緯36度39分33.42秒 東経140度09分05.27秒 / 北緯36.6592833度 東経140.1514639度)にある[24]。1946年(昭和21年)に開館した「烏山青年団図書館」を起源とし[10][11]、1975年(昭和50年)3月に条例に基づく正式な図書館となった[13]。1977年(昭和52年)築の本館(延床面積812.06 m2)と1980年(昭和55年)築の学習室(481.46 m2)から成る[25]。2022年(令和4年)4月現在の館長は小林由実、職員数は6人[26]。2022年(令和4年)3月31日現在の蔵書数は73,061冊、2021年(令和3年)度の貸出冊数は48,464冊[27]。
同じ敷地にあり、同じ年に建設された烏山郷土資料館[13]は、施設の老朽化を理由に2016年(平成28年)4月から閉館しており[28]、烏山図書館も施設の廃止が検討されている[20]。廃止になった場合、複合・多機能型施設を新築し、その中に図書館の代替施設が設けられる予定である[20]。
南那須図書館
[編集]那須烏山市立南那須図書館(なすからすやましりつみなみなすとしょかん)は、那須烏山市田野倉65-1(北緯36度39分33.17秒 東経140度05分56.71秒 / 北緯36.6592139度 東経140.0990861度)にある[24]。2003年(平成15年)4月に開館した[29]。建物は同年築で、延床面積は1,766.0 m2である[25]。2022年(令和4年)4月現在の館長は池田尚子、職員数は7人[26]。2022年(令和4年)3月31日現在の蔵書数は147,616冊、2021年(令和3年)度の貸出冊数は104,527冊[27]。
絵本や紙芝居の所蔵が多く、ビデオ・CDも保有する[29]。児童書架は子供の身長に合わせ、最上段は本の表紙が見えるように配架する[30]。
おはなし会・人形劇・パネルシアターなどの行事があり[29]、子供向けの行事は「おはなしのへや」で開かれる[30]。指定管理者制度を導入した2012年(平成24年)度から「図書館まつり」を開催している[31]。これまでに、しおり・バッジ・マグネット・かぼちゃランタンなどの制作体験、おはなし会[31]、ジオパーク推進団体「プチェーロ」によるワークショップ[32] などの催しがあった。
図書館付近には、ソメイヨシノ約100本からなる桜並木がある[33]。
利用案内
[編集]以下の情報は2023年2月現在のものです[34]。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
- 開館時間:9時30分から19時まで
- 休館日:月曜日、特別館内整理日、年末年始
- 貸出制限:那須烏山市に在住・通勤・通学する者またはさくら市・那須郡那珂川町・塩谷郡高根沢町に居住する者
- 貸出可能冊数:図書=10冊、視聴覚資料=3点
- 貸出可能期間:図書=2週間、視聴覚資料=1週間
- 予約、リクエスト、レファレンスサービス、複写可能。
- セルフ端末(貸出機)、インターネット端末、視聴覚コーナー(南那須図書館のみ)あり。
電子図書館
[編集]2022年(令和4年)9月1日にサービスを開始し、3冊まで14日間(延長は1回可能)借りることができる[35]。利用条件は那須烏山市立図書館の利用者カード保持者のうち、那須烏山市に在住・通勤・通学する者である[36]。しおりを付ける機能や、音声読み上げ機能が搭載され、貸出期限が過ぎると自動的に返却される[36]。開始当初は約8,000タイトルが貸出可能であった[22]。
脚注
[編集]- ^ a b c “那須烏山市立図書館指定管理者の指定について”. まちづくり・観光・産業. 那須烏山市生涯学習課生涯学習グループ. 2023年2月23日閲覧。
- ^ 総合政策課 編 2017, p. 5, 60.
- ^ a b c “那須烏山市立図書館設置及び管理条例”. 那須烏山市 (2017年3月1日). 2023年2月23日閲覧。
- ^ a b 栃木県公共図書館協会 編 2022, p. 7.
- ^ 栃木県公共図書館協会 編 2022, p. 19.
- ^ 栃木県公共図書館協会 編 2022, p. 17.
- ^ 栃木県公共図書館協会 編 2022, p. 9.
- ^ a b c d e 舟越 1992, p. 156.
- ^ a b c d e f g h i j k 舟越 1992, p. 162.
- ^ a b 舟越 1992, p. 162, 165.
- ^ a b c d e f g h 烏山町史編集委員会 編 1978, p. 881.
- ^ 栃木県公共図書館協会 編 2022, p. 1.
- ^ a b c d e f g h i 烏山町史編集委員会 編 1978, p. 882.
- ^ 栃木県公共図書館協会 編 2022, p. 2.
- ^ a b 前澤 2021, p. 242.
- ^ a b c 南那須町・烏山町合併協議会 (2005年1月12日). “南那須町・烏山町合併協議会第5回会議資料”. インターネット資料収集保存事業WARP. 国立国会図書館. 2023年2月23日閲覧。
- ^ “新加入都市紹介 栃木県 那須烏山市(なすからすやま)”. 本部通信. 全国都市監査委員会. 2023年2月23日閲覧。
- ^ 前澤 2021, p. 243.
- ^ a b “指定管理業務 事業評価書”. 那須烏山市 (2017年). 2023年2月23日閲覧。
- ^ a b c d “那須烏山市公共施設等総合管理計画(原案)平成29年1・2月実施”. 那須烏山市総合政策課秘書政策グループ (2021年12月14日). 2023年2月23日閲覧。
- ^ “指定管理業務 事業評価書”. 那須烏山市 (2021年). 2023年2月23日閲覧。
- ^ a b “定例記者会見資料”. 那須烏山市. 2023年2月23日閲覧。
- ^ 那須烏山市総合政策課 編 2022, p. 2.
- ^ a b “施設案内・アクセス”. 那須烏山市立図書館. 2023年2月23日閲覧。
- ^ a b 総合政策課 編 2017, p. 60.
- ^ a b 栃木県公共図書館協会 編 2022, pp. 6–7.
- ^ a b 栃木県公共図書館協会 編 2022, p. 10, 19.
- ^ “烏山郷土資料館(閉館)”. 那須烏山市生涯学習課文化財グループ (2011年7月5日). 2023年2月23日閲覧。
- ^ a b c “那須烏山市立南那須図書館”. 笑顔いっぱい. 栃木県. 2023年2月23日閲覧。
- ^ a b とちまるくん (2014年2月7日). “『元気ニコニコとちまる隊』が「南那須図書館」に参上!”. 栃木県. 2023年2月23日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b “第2回 図書館まつり”. CRT栃木放送 とっておき!那須烏山. 栃木放送. 2023年2月23日閲覧。
- ^ “トピックス・イベント情報”. 那須烏山市ジオパーク構想. 那須烏山ジオパーク構想推進協議会. 2023年2月23日閲覧。
- ^ “那須烏山(南那須) 南那須図書館”. みんなの那須ポータルサイト. 2023年2月23日閲覧。
- ^ “ご利用案内”. 那須烏山市立図書館. 2023年2月23日閲覧。
- ^ 那須烏山市総合政策課 編 2022, pp. 2–3.
- ^ a b 那須烏山市総合政策課 編 2022, p. 3.
参考文献
[編集]- 烏山町史編集委員会 編『烏山町史』烏山町、1978年3月1日、978頁。doi:10.11501/9641412。 NCID BN10341932。全国書誌番号:78010053
- 栃木県公共図書館協会 編『栃木県内の図書館 2022(令和4年度)』栃木県公共図書館協会、2022年11月 。
- 那須烏山市総合政策課 編『広報なすからすやま2022年10月号』那須烏山市総合政策課〈No.205〉、18頁 。
- 舟越進 著「栃木県」、社団法人日本図書館協会 編『近代日本図書館のあゆみ 地方篇―日本図書館協会創立百年記念』社団法人日本図書館協会、1992年3月26日、152-166頁。ISBN 4-8204-9123-7。
- 前澤慎也 著「地方篇9 栃木県」、公益社団法人日本図書館協会『日本の図書館の歩み:1993-2017』編集委員会 編『日本の図書館の歩み 1993-2017』公益社団法人日本図書館協会、2021年3月31日、241-245頁。ISBN 978-4-8204-2008-8。
- 総合政策課 編『那須烏山市公共施設等総合管理計画(原案)』栃木県那須烏山市、2017年1月、118頁。