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酢酸ブチル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
酢酸ブチル
Skeletal formula of butyl acetate
Ball-and-stick model of the butyl acetate molecule{{{画像alt1}}}
識別情報
略称 BuAcO
CAS登録番号 123-86-4 チェック
PubChem 31272
ChemSpider 29012 チェック
UNII 464P5N1905 チェック
EC番号 204-658-1
国連/北米番号 1123
KEGG C12304 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL284391 チェック
RTECS番号 AF7350000
特性
化学式 C6H12O2
モル質量 116.16 g mol−1
外観 無色の液体
匂い Fruity
密度 0.8825 g/cm3 (20 °C)[1]
融点

−78 °C, 195 K, -108 °F [1]

沸点

126.1 °C, 399 K, 259 °F (at 760 mmHg[1])

への溶解度 0.68 g/100 mL (20 °C)[1]
溶解度 EtOHと混和
アセトンCHCl3に溶ける[1]
log POW 1.82[1]
蒸気圧
  • 0.1 kPa (−19 °C)
  • 1.66 kPa (24 °C)[1]
  • 44.5 kPa (100 °C)[2]
kH 0.281 L·atm/mol
磁化率 −77.47·10−6 cm3/mol
熱伝導率
  • 0.143 W/m·K (0 °C)
  • 0.136 W/m·K (25 °C)
  • 0.130 W/m·K (50 °C)
  • 0.116 W/m·K (100 °C)[1]
屈折率 (nD) 1.3941 (20 °C)[1]
粘度
  • 1.002 cP (0 °C)
  • 0.685 cP (25 °C)
  • 0.5 cP (50 °C)
  • 0.305 cP (100 °C)[1]
構造
双極子モーメント 1.87 D (24 °C)[1]
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −609.6 kJ/mol[2]
標準燃焼熱 ΔcHo 3467 kJ/mol[2]
標準定圧モル比熱, Cpo 225.11 J/mol·K[2]
危険性
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(低毒性)[5]
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H226, H336[5]
Pフレーズ P261[5]
主な危険性 可燃性
NFPA 704
3
2
0
引火点 22 °C (72 °F; 295 K) [3]
発火点 370 °C (698 °F; 643 K) [3]
許容曝露限界 TWA 150 ppm (710 mg/m3)[3]
最低致死濃度 LCLo 14,079 ppm (ネコ, 72分)
13,872 ppm (モルモット, 4時間)[4]
半数致死量 LD50 10768 mg/kg (ラット, 経口)[3]
半数致死濃度 LC50 160 ppm (ラット, 4時間)
2000 ppm (ラット, 4時間)
391 ppm (ラット, 4時間)
1242 ppm (マウス, 2時間)[4]
関連する物質
関連する酢酸エステル 酢酸エチル
酢酸プロピル
酢酸アミル
関連物質 ブタノール
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酢酸ブチル(さくさんブチル、butyl acetate、酢酸 n-ブチル)はラッカーの製造などに用いられる化学物質である。

特徴

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バナナ様の甘い芳香を持つ無色の液体で、多くの果物に微量芳香成分として含まれ、他の物質と組み合わさって特徴的な香りを作っている。例えばリンゴ、特にレッド・デリシャスの香りの一部はこの物質である。他に酢酸イソブチル酢酸tert-ブチル酢酸sec-ブチルの3種類の構造異性体を持つ。

用途

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香料(食品添加)
  • キャンディ、アイスクリーム、チーズなどに果物の香りを付ける物質を製造する原料として使われる。
香料以外
  • 溶剤(溶媒)や中間原料として、塗料の希釈、硝酸繊維素原料、人造真珠用塗料、天然ゴム、医薬品、接着剤などの製造などにも使用される。OECDに報告されている1999年における生産量は1万トン以上である[6]

製造方法

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硫酸触媒の存在下にて、酢酸とn-ブタノールから酢酸ブチルを合成し、脱低沸蒸留後、脱高沸蒸留する。

安全性

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日本の消防法では危険物第4類・第2石油類に分類される[7]。動物実験での半数致死量(LD50)は、ラットへの経口投与で14g/kg、ウサギへの経皮投与で5g/kg以上[8]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k Lide, David R., ed (2009). CRC Handbook of Chemistry and Physics (90th ed.). Boca Raton, Florida: CRC Press. ISBN 978-1-4200-9084-0 
  2. ^ a b c d Acetic acid, butyl ester in Linstrom, P.J.; Mallard, W.G. (eds.) NIST Chemistry WebBook, NIST Standard Reference Database Number 69. National Institute of Standards and Technology, Gaithersburg MD. http://webbook.nist.gov (retrieved 2014-06-28)
  3. ^ a b c d MSDS of n-Butyl acetate”. fishersci.ca. Fisher Scientific. 2014年6月28日閲覧。
  4. ^ a b n-Butyl acetate”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH). 2024年12月24日閲覧。
  5. ^ a b c Sigma-Aldrich Co., Butyl acetate. Retrieved on 2014-06-28.
  6. ^ 化学物質の環境リスク評価第1巻 (PDF) (環境省)
  7. ^ 製品安全データシート (PDF) (協和発酵ケミカル)
  8. ^ 『合成香料 化学と商品知識』印藤元一著 2005年増補改訂 化学工業日報社 ISBN 4-87326-460-X