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量子センシング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
量子センサから転送)

量子センシング(りょうしセンシング、英語: quantum sensing)とは、量子効果を利用して物理量を計測する手法。

概要

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量子センシングは量子効果を利用して物理量を計測する手法であり、量子そのものを計測するわけではない。従来の計測手法よりも量子効果を利用することにより高感度化が期待できる[1][2][3]。極低温に冷却する必要がある機種も存在する。

主な方法

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センサー全般に言えることだが、どの方法を採用すべきかは、使用する状況、ダイナミックレンジ等の測定対象を考慮して決めるものであり、どの方法が優れていると一概に述べることはできない。使用する系・装置の外側にある測定対象を考慮する必要がある点は、量子計算と大きく異なる。例えば、量子もつれの生成は、量子コヒーレンスをもつ量子ビットを用意することよりも難易度が高く、複雑な装置を必要とするため、感度向上のために量子ビット数を増やせば良い場合や小型化・集積化の必要がある場合には不利になることもある。

主な種類

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超伝導量子干渉素子(SQUID)

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ジョセフソン接合を含む環状超伝導体を用いたセンサーであり、超伝導材料を用いるため、センサーを極低温にする必要がある。大学病院などで、脳磁計として実際に使用されている。

ダイヤモンド窒素-空孔中心

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NVセンターと呼ばれるダイヤモンド中の窒素(N)と空孔(V)のペアを使用するセンサーである。室温で動作し、ベクトル場の測定も可能である。また、微量の試料のNMR測定(nano-NMR)を行うこともできる。

国内では、東京工業大学[5]や 京都大学[6]などで、この種類のセンサーの開発が行われている。

原子ガス

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ルビジウム等の原子ガスを用いたセンサーである。室温動作させる方式とレーザー冷却等を用いて低温で動作させる方式が存在する。

国内では、学習院大学[7]にてレーザー冷却を用いたガスセンサーの開発が行われている。

主な用途

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脚注

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  1. ^ ダイヤモンドによる単一プロトン核スピン磁気共鳴センシング” (PDF). 2019年1月3日閲覧。
  2. ^ 超極微量試料の化学構造を決定できる量子センシングNMR”. 筑波大学量子科学技術研究開発機構科学技術振興機構 (2017年6月2日). 2019年1月3日閲覧。
  3. ^ Degen, C. L.; Reinhard, F.; Cappellaro, P. (2017). “Quantum sensing”. Rev Mod Phys 89 (3): 035002. arXiv:1611.02427. doi:10.1103/RevModPhys.89.035002. 
  4. ^ a b c “NTTにおける量子情報処理技術への取り組み ~量子センシング~” (PDF). SCATLINE 104: 2-7. http://www.scat.or.jp/scatline/scatline104/pdf/scat104_seminar_01.pdf 2019年1月3日閲覧。. 
  5. ^ 東京工業大学 波多野・岩崎研究室”. 2019年2月10日閲覧。
  6. ^ 京都大学 水落研究室”. 2019年2月10日閲覧。
  7. ^ 学習院大学 平野研究室”. 2019年2月10日閲覧。

参考文献

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  • 早瀬潤子、「21aBK-7 ダイヤモンドNV中心の生成制御と量子センシング」『日本物理学会講演概要集』71.1巻 (2016) セッションID:21aBK-7、日本物理学会, doi:10.11316/jpsgaiyo.71.1.0_729
  • 竹内繁樹. "急進展する量子情報技術: 量子コンピュータと量子センシング." 学士会会報 2018.2 (2018): 65-69, NAID 40021493730.
  • 岩崎孝之, et al. "若手研究者の挑戦 (第 20 回) 光検出磁気共鳴法を用いたワイドギャップパワーデバイスの量子センシング." Optronics: 光技術コーディネートジャーナル 36.8 (2017): 111-115, NAID 40021310396.

関連項目

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外部リンク

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