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釜めし春

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
元祖釜めし春

釜めし春(かまめし はる)は、東京都台東区浅草一丁目にある日本料理店である。1924年大正13年)創業[注釈 1]で、釜飯発祥の店として知られる[注釈 2]

歴史

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初代店主の矢野テル[注釈 3]は浅草で定食屋を営んでいたが、1923年(大正12年)9月1日の関東大震災で焼け出され、上野の山に避難した。そこでは、各自持ち寄った材料で炊き込みご飯を作り、炊き出しを行っていた。浅草の店を再興するにあたり、矢野は「釜さえあればご飯はたべられる」[1]と一人分の釜で炊いたご飯を提供することを考え、試行錯誤の末に一炊きの羽釜を開発した[2]岡田哲著『たべもの起源事典』によると、「関東大震災の後に浅草で店を開いた豊田正利が、一合の米に様々な具を入れ、小さな釜で炊いた釜めしを創作する」と記されている[6]

戦後は周囲の店に請われて調理法を教えたことから、浅草には釜飯を出す店が増えた。上野に2号店を出店したのも戦後間もなくのことである。当初の店名は「釜めし」であったが、登記の際に都合がよくなかったため『釜めし春』とし、初めて釜めしの名をメニューに入れたことから「元祖」の文字を添えた[2]。有名な、信越本線横川駅荻野屋の「峠の釜めし」が登場したのは昭和30年代に入ってからで、1958年(昭和33年)に発売を開始した[7]

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米は新潟県コシヒカリ宮城県ササニシキの特選米をブレンド[8]醤油みりんを合わせたタレとともに具材を入れて炊き込む[2]。具材の風味を損なうため、鰹節は使用していない[9]。一番人気は五目釜めしで[2]、具材には海老鶏肉椎茸タケノコ絹さやミツバを使用している[9]。五目釜めし、特上釜めし、かに釜めし、鶏釜めし、あさり釜めしなどの通年メニューのほか、春の竹の子釜めし、秋の松茸釜めし・釜めし、秋から冬にかけての牡蠣釜めしなど、季節の味も提供する[10]。米を生の状態から炊き上げることから調理に20分ほどを要するため、その間に一品料理を注文する客も多い[9]焼き鳥玉子焼、海老真薯ワンタンの皮で包んで揚げた「えび揚げしん丈」などを揃えている。

店舗

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雷門通りと新仲見世の間を南北に結ぶ公園通り沿いに位置し、最寄り駅はつくばエクスプレス浅草駅であるが、東武伊勢崎線地下鉄銀座線都営浅草線浅草駅、銀座線田原町駅からも徒歩5~6分ほどである。1階席と2階席があり、総席数は160席[3]戦後に、上野アメ横近くに支店を設けたが、2022年に閉店している。

脚注

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注釈

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  1. ^ 浅草観光連盟のウェブサイトでは大正15年(1925年)[1]、日食外食レストラン新聞には1926年創業[2]とあるが、公式ウェブサイトに拠った[3]
  2. ^ 講談社MOOK『釜めし読本』によると、横浜のお可免を「歴史の古さから見ても、おそらく釜めしの元祖と言っていいだろう」としているが、同店は1927年(昭和2年)開業であり[4]、釜めし春が先と考えられる。
  3. ^ 釜めし春三代目オーナー豊田隆の祖母にあたる[5]

出典

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  1. ^ a b 一釜ずつ炊いた元祖釜めしの味 釜めし春”. 浅草観光連盟 (2015年12月7日). 2024年10月21日閲覧。
  2. ^ a b c d e “外食史に残したいロングセラー探訪(36)元祖釜めし春 浅草本店「五目釜めし」”. 日食外食レストラン新聞 367: pp. 16. (2010年10月4日). https://news.nissyoku.co.jp/restaurant/tanakak20100106013648956 2024年10月21日閲覧。 
  3. ^ a b 元祖釜めし春
  4. ^ (日本釜めし研究会 2009, p. 20)
  5. ^ 飲食店先輩経営者からのメッセージ(株式会社コロンブスのたまご)
  6. ^ (岡田 2003, pp. 168–169)
  7. ^ (日本釜めし研究会 2009, pp. 100–102)
  8. ^ 釜めし春”. 浅草のれん会 (2017年4月1日). 2024年10月21日閲覧。
  9. ^ a b c “炊き込みご飯お店紹介「釜めし春」秘伝のたれ60余年”. 日食外食レストラン新聞 56: pp. 12. (1994年7月18日). https://news.nissyoku.co.jp/restaurant/grs-56-0012 2024年10月21日閲覧。 
  10. ^ 釜めし春”. 浅草うまいもの会. 2024年10月21日閲覧。

参考文献

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  • 岡田哲『たべもの起源事典』東京堂出版、2003年、168-169頁。ISBN 4-490-10616-5 
  • 日本釜めし研究会 編『釜めし読本』講談社MOOK、2009年。ISBN 978-4-06-379378-9 

外部リンク

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座標: 北緯35度42分42.8秒 東経139度47分37.7秒 / 北緯35.711889度 東経139.793806度 / 35.711889; 139.793806