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閉鎖神経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
神経: 閉鎖神経
閉鎖神経の周囲構造、右 股関節側より。閉鎖神経: Obturator nerveとして右上に示されている。
右下肢の神経。正面から見た図。この図においては閉鎖神経前枝(Aneterior division of obturator)が右上に示されている。
ラテン語 nervus obturatorius
支配 大腿の内側コンパートメント英語版
起始
分岐
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ヒト閉鎖神経(へいさしんけい、: Obturator nerve)は、腰神経叢の第2、3、4腰神経の腹側分枝から発生する。この神経は運動神経として、大腿の内転筋群を支配し、大腿内側の感覚を支配する。

構造

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閉鎖神経、L2英語版、L3、L4脊髄神経根英語版の腹側部分を起始とする[1]大腰筋の線維に沿って下降し、その内側縁、骨盤分界線英語版近傍で骨盤内に出る。その後、総腸骨動脈英語版の後方を下行して、内腸骨動脈英語版および静脈の外側を通り、小骨盤英語版の側壁に沿って、閉鎖動脈英語版・静脈の前上方を通り、閉鎖孔英語版の上部に至る。

ここで閉鎖神経は、閉鎖管英語版を通って骨盤外に出て前枝英語版後枝英語版に分かれるが、これらの枝は、最初は外閉鎖筋の線維の一部によって、下は短内転筋によって分離される[2]

副閉鎖神経は、一般人口の約8%~29%に存在する可能性がある[3]

分枝

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機能

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この神経は、大腿内側の皮膚の感覚神経支配を担っている。

この神経はまた、下肢英語版の内転筋(外閉鎖筋長内転筋短内転筋大内転筋薄筋)および恥骨筋の運動神経支配を担っている[4]。名称は類似しているが、内閉鎖筋の神経支配を担っていないことは注目に値する[5]

臨床的意義

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膝の手術や尿路の手術の際に、他の麻酔法と併用して閉鎖神経ブロックが行われることがある[6]

画像

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脚注

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出典

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  1. ^ Weiss, Lyn; Silver, Julie K.; Lennard, Ted A.; Weiss, Jay M. (2007-01-01), Weiss, Lyn; Silver, Julie K.; Lennard, Ted A. et al., eds., “Chapter 6 - Nerves” (英語), Easy Injections (Philadelphia: Butterworth-Heinemann): pp. 105–155, ISBN 978-0-7506-7527-7, http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/B9780750675277100065 2021年1月6日閲覧。 
  2. ^ The Obturator Nerve - Course - Motor - Sensory - TeachMeAnatomy”. 2024年7月3日閲覧。
  3. ^ Turgut, Mehmet; Protas, Matthew; Gardner, Brady; Oskoui̇an, Rod J.; Loukas, Marios; Tubbs, R. Shane (2017-12-15). “The accessory obturator nerve: an anatomical study with literature analysis”. Anatomy 11 (3): 121–127. doi:10.2399/ana.17.043. https://dergipark.org.tr/en/pub/anatomy/issue/34659/385960. 
  4. ^ Moore, K.L., & Agur, A.M. (2007). Essential Clinical Anatomy: Third Edition. Baltimore: Lippincott Williams & Wilkins. 336. ISBN 978-0-7817-6274-8
  5. ^ Moore, K.L., & Agur, A.M. (2007). Essential Clinical Anatomy: Third Edition. Baltimore: Lippincott Williams & Wilkins. 345. ISBN 978-0-7817-6274-8
  6. ^ Rea, Paul (2015-01-01), Rea, Paul, ed., “Chapter 3 - Lower Limb Nerve Supply” (英語), Essential Clinically Applied Anatomy of the Peripheral Nervous System in the Limbs (Academic Press): pp. 101–177, doi:10.1016/b978-0-12-803062-2.00003-6, ISBN 978-0-12-803062-2, http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/B9780128030622000036 2021年1月6日閲覧。 
  7. ^ 伊藤隆 1983, p. 477.

参考文献

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この記事にはパブリックドメインであるグレイ解剖学第20版(1918年)953ページ本文が含まれています。

関連文献

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  • Reg Anesth Pain Med. 2009;34:33-9 - 閉鎖神経の解剖
  • Biomed Res Int. 2017;2017:7023750 - 超音波ガイド下神経ブロック法のまとめ
  • Reg Anesth Pain Med. 2017;42:357-61 - 近位法による閉鎖神経ブロックの薬液の広がりについて(解剖体)
  • J Anesth. 2022;36:383-9 - 閉鎖神経ブロックの薬液の広がりについて(生体)

関連項目

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外部リンク

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  1. ^ 伊藤隆 1983, p. 477.