雁皮紙
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雁皮紙(がんぴし)は、ジンチョウゲ科の植物である雁皮から作られる和紙である。自然界に自生しているものから材料を採取する[1]。
雁皮の成育は遅く栽培が難しいため、雁皮紙には野生のものの樹皮が用いられる。古代では斐紙や肥紙と呼ばれ、その美しさと風格から越前産のものは「紙の王」と評された。繊維は細く短いので緻密で緊密な紙となり、紙肌は滑らかで、赤クリームの自然色(鳥の子色)と独特の好ましい光沢を有している。丈夫で虫の害にも強いので、古来、貴重な文書や金札に用いられた。日本の羊皮紙と呼ばれることもある。
しかし、厚い雁皮紙は漉きにくく、水分を多量に吸収すると収縮して、紙面に小じわを生じる特性があるために太字用としては不適とされ、かな料紙・写経用紙・手紙などの細字用として使われるのが一般的である。平安時代には、厚さによって厚様(葉)・中様・薄様と言われ、やや厚目の雁皮紙を鳥の子紙と言って、越前産が最上とされた。雁皮は謄写版原紙用紙の原料として大量に使用されていたが、複写機が普及して以来急激にその使用量が減少した。ちなみに、鳥の子紙は雁皮と楮を混ぜたものである。
工芸品
[編集]人間国宝
[編集]関連項目
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ 加藤明『現代に生きる北陸の紙郷 : 加賀雁皮紙、加賀二俣和紙、越中和紙、越前和紙の産地と事業者のケース』JAIST Press〈文部科学省・科学技術戦略推進費・地域再生人材創出拠点形成プログラム石川伝統工芸イノベータ養成ユニット・ケースブックシリーズ6〉、2012年。hdl:10119/10319。ISBN 9784903092324 。2024年6月17日閲覧。
- ^ 人間国宝に七氏『朝日新聞』1968年(昭和43年)3月12日朝刊 12版 14面