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雲鷹丸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
雲鷹丸
東京海洋大学品川キャンパス(旧・東京水産大学)で保存されている本船(2017年10月、公道から撮影)
基本情報
船種 二層重甲板・三檣バーク型帆船、鋼製[1]
所有者 農商務省水産講習所
建造所 大阪鉄工所桜島造船所
経歴
発注 1908年5月[2]
進水 1909年2月21日[2]
竣工 1909年5月12日[1]
就航 1909年5月12日[1]
引退 1929年8月[1]
現況 展帆訓練で使用後、復元され保存中
要目
総トン数 444.25総トン[2]
排水量 277.91トン[2]
全長 41.51m[3](136'-2"[4])
全幅 8.55m[3](28'-6"[4])
喫水 3.7m[1]
機関方式 レシプロ式補助機関[5](汽機:三聯成(さんれいせい)、汽缶:スコッチ型2基)[1]
出力 303馬力[2]
速力 最大12.5ノット、巡航速力8.5ノット(汽走時巡航速力)[1]
搭載人員 士官ベッド15床、属員ベッド26床、学生ベッド40床[1]
積載能力 石炭100トン、鯨油タンク22トン[1]
テンプレートを表示
船首(2014年4月)
船尾(2014年4月)

雲鷹丸(うんようまる)は日本船舶であり、漁業練習船および漁業調査船として使用された、3本マスト帆船である。

1909年(明治42年)5月から1929年(昭和4年)8月まで20年間にわたり36回の航海を行うとともに、捕鯨実習をはじめ、漁業調査、学生実習、漁撈技術・漁具開発等に貢献をし、漁獲物処理では船上でのカニ缶詰製造に成功し、後の大型蟹工船の先駆けとなった[5]1962年(昭和37年)に東京海洋大学品川キャンパスに移設され、1998年(平成10年)12月11日に国の登録有形文化財として登録された[6][5]

歴史

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東京水産大(東京海洋大の前身)の前身である農商務省水産講習所の初代練習船・快鷹丸が韓国慶尚北道迎日湾にて難破したため、1909年に大阪鉄工所桜島造船所[7]で、2代目練習船として雲鷹丸が建造された[8]。南北の海に計36次の航海を行った米国式遠洋捕鯨船バーク型帆船で、カムチャッカ漁場開拓とカニ工船事業の開発に活躍した[8]

1923年関東大震災発生時、雲鷹丸は月島三号岸壁に停泊していた。舷側に漂流してくる焼船からの類焼を防ぎつつ、船上に降り注ぐ火の塊を消しながら市民500余人を救助した[2]1926年に工船組合と、カムチャッカ東岸で蟹刺網漁業及び缶詰製造試験を行い、東カムチャッカ沖合漁場開発の端緒を開いた[2]

1928年、白鷹丸にバトンを渡し、現役を退き廃船となった[2]

1932年に、船内の一部を補修改装して操帆訓練船として再び活用されることとなった[2]。操帆実習は戦時中まで続けられた。

1962年に、東京水産大学七十周年記念事業の一環として、越中島から現在の品川校舎に移設され[2]1969年から1970年にかけて、復元整備事業が行われ[2]、大学構内に復元された[8]。1998年12月11日に国の登録有形文化財に登録された[1]

特徴

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建造当時一世を風靡し世界の海を駆け巡ったパーク型米国式捕鯨船を型どった船であり、この型としては現存する最後の一隻である[2]。 国産鋼製船舶としては現存最古である[9]

2012年時点で羽田モノレール首都高羽田線[1]敷地のすぐ外側の運河沿いの遊歩道から望む事が出来る。

平成の大改修

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昭和45年(1970年)の本格的な修復工事後に行われてきた補修工事が、平成7年(1995年)以降行われておらず、点検調査の結果、各所の痛みが激しくなってきており、早急な補修が必要であることが判明した[1]

2012年2月から2014年3月の期間で、3千万円を目標に東京海洋大学が修復費用の募金活動を行っている。[1]

アクセス

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所在地は陸上である。東京海洋大学品川キャンパスの校内の南東部、敷地内の天王洲アイル側の天王洲運河の天王洲水門付近。

  • 鉄道羽田モノレール天王洲アイル駅より浜松町駅方面に徒歩約5分、運河沿いの遊歩道から斜め後ろからの姿が望める。
  • 鉄道JR山手線品川駅より徒歩約15分の東京海洋大学品川キャンパス正門からさらに徒歩10分 ※オープンキャンパスなどの一般開放日に学内に入場可能。傷みが激しいため船内への立ち入りは禁止されている。

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 登録有形文化財「雲鷹丸」修復募金のお願い”. 東京海洋大学 (2012年2月14日). 2012年2月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 雲鷹丸について”. 東京海洋大学. 2012年2月15日閲覧。
  3. ^ a b 雲鷹丸(パンフレット)p.8”. 社団法人楽水会 (1998年7月). 2012年5月16日閲覧。
  4. ^ a b 雲鷹丸(パンフレット)p.2”. 社団法人楽水会 (1998年7月). 2012年5月16日閲覧。
  5. ^ a b c 登録有形文化財「雲鷹丸」”. 東京海洋大学 (2011年10月14日). 2012年2月14日閲覧。
  6. ^ 平成10年12月25日文部省告示第188号
  7. ^ 大阪鉄工所桜島造船所があった場所は、2001年開園のユニバーサル・スタジオ・ジャパンになっている。
  8. ^ a b c 雲鷹丸”. 海事普及協会. 2012年2月14日閲覧。
  9. ^ 登録有形文化財(建造物)東京水産大学雲鷹丸”. 文化庁 (1998年12月11日). 2012年2月17日閲覧。

参考文献

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  • 大塚一志「雲鷹丸(1909-1928)の漁業実習と調査航海について」『東京海洋大学研究報告』第6巻、東京海洋大学、2010年2月、7-11頁、ISSN 21890951CRID 10500012025671600642023年6月28日閲覧 

外部リンク

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座標: 北緯35度37分30.47秒 東経139度44分57.02秒 / 北緯35.6251306度 東経139.7491722度 / 35.6251306; 139.7491722