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青柳卓雄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
あおやぎ たくお
青柳 卓雄
生誕 1936年2月14日
日本の旗 日本 新潟県新発田市
死没 (2020-04-18) 2020年4月18日(84歳没)
研究機関 日本光電工業
主な業績 パルスオキシメーターの発明に寄与
プロジェクト:人物伝
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青柳 卓雄(あおやぎ たくお、1936年2月14日[1] - 2020年4月18日)は、日本の医療工学者。新潟県新発田市生まれ、同県三島町(現・長岡市三島地区)育ち[2][3]日本光電工業でのパルスオキシメーターの原理の発見と装置の発明で知られる。

経歴

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1936年2月14日、新潟県新発田市にて、数学および電気工学の教師の父・紋七と専業主婦だった母・タツのもとに生まれ、2男2女の4人の兄弟姉妹の次男である[4]

1954年に新潟県立長岡高等学校を、1958年に新潟大学工学部電気工学科を卒業[3]

卒業研究担当の恩師(淀川寛)の推薦で島津製作所に入社した[1][5]。当初は中央研究所の電子工学研究室に配属され、特に半導体応用電子機器の開発に従事した。関連してスペクトル分析機器をはじめ多くの医用計測機器に触れ、関連の基礎的的知見と技術的キャリアを蓄積した。公刊自叙伝『パルスオキシメトリの誕生から未来へ』には島津製作所時代の一節が割かれており、私的な背景を含め研究生活の経緯が吐露されている。

1971年に日本光電工業に移り、医療機器の開発に従事する。前記の自叙伝には、往時の日本光電の初代社長の理念に心打たれ、転職を決意したと書かれている。

1972年、現代医療に必須となった「パルスオキシメトリ」の原理を発見した。続いて「パルスオキシメーター」の実用機を試作し、限定的試用販売した[5][6](詳細はパルスオキシメーターを参照)。

1974年4月26日に基本特許を出願したが、その後まもなく社命により研究職を離れ、デスクワークで10年余りを過ごしている。その後は研究職に復帰し、基本アイデアの性能改善や新規応用分野の研究に取り組んだ(この経緯は自叙伝や『麻酔の偉人たち』<総合医学社>などに詳しい記述がある)。

1987年に麻酔医学や血液化学、関連計測装置の権威であるカルフォルニア大学のJohn W. Severinghaus教授が来日。調査を踏まえ「Pulse Oximetry」の原理発見者が日本人の青柳卓雄であることを学会発表された(「History of Blood Gas Analysis Ⅶ. Pulse Oximetry」)。

1993年、当該研究により東京大学博士号(工学)を授与[7]

2000年、パルスオキシメーター発明の功績により科学技術庁長官賞を受賞。

2002年に紫綬褒章を受章した[1]

2013年、ノーベル医学生理学賞の候補に推薦されていたことが明かされた[8]

2015年、日本人として初めて「IEEE Medal for Innovations in Healthcare Technology」を受賞。

2020年4月18日、老衰のため死去[9]。84歳没。青柳の死去は国外でも大きく報じられた。米有力紙であるニューヨーク・タイムズ[4]ワシントン・ポスト[10]ウォール・ストリート・ジャーナル[11]の3紙が追悼記事を配信。駐日アメリカ大使館も公式ツイッターアカウントにて報道を引用する形で追悼文を投稿した[12]

2020年12月、「第4回日本医療研究開発大賞/内閣総理大臣賞」を(没後のため)日本光電が受賞。

2021年10月、米国麻酔科学会から栄誉賞「Honorary Member Award」を受賞。Journal of Anesthesia誌から国内外の学究15名の追悼論文集(全39頁)が公刊された(「Tribute to Dr. Takuo Aoyagi, inventor of pulse oximetry」)[13]

出典

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  1. ^ a b c 青柳卓雄「パルスオキシメトリの誕生とその後」『日本生体医工学』第49巻第2号、日本生体医工学会、313-315頁、2020年5月22日閲覧 
  2. ^ “採血せず光で測定「パルスオキシメーター」 長岡出身の故青柳卓雄さん 進化続け世界へ普及”. 新潟日報. (2020年7月24日) 
  3. ^ a b 特集 コロナ禍の医療を支えるパルスオキシメータの原理 ~発明者・青柳卓雄博士の功績~”. 新潟大学季刊広報誌「六華」38号. 新潟大学. pp. 8-9 (2021年11月1日). 2021年11月29日閲覧。
  4. ^ a b Schwartz, John; Hida, Hikari (2020年5月1日). “Takuo Aoyagi, an Inventor of the Pulse Oximeter, Dies at 84” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2020/05/01/science/takuo-aoyagi-an-inventor-of-the-pulse-oximeter-dies-at-84.html 2020年5月12日閲覧。 
  5. ^ a b 2015年|プレスリリース|日本光電”. www.nihonkohden.co.jp. 2020年4月23日閲覧。
  6. ^ 日本で生まれた医療機器- パルスオキシメーター早分かり知恵袋 | コニカミノルタ
  7. ^ 青柳卓雄, 「生体組織透過光の脈動に基づく血中吸光物質濃度の無侵襲測定(脈波分光法)の研究」 東京大学 博士論文, 1993年, 乙第11517号, NAID 500000119697
  8. ^ 東京新聞2022年3月3日夕刊5面「血中の酸素を光で測定」
  9. ^ “パルスオキシメーターを発明、青柳卓雄さん死去”. 朝日新聞. (2020年4月23日). https://www.asahi.com/articles/ASN4R74VJN4RULBJ00D.html 2020年4月23日閲覧。 
  10. ^ Takuo Aoyagi, whose pulse oximeter helps hospitals fight coronavirus, dies at 84”. The Washington Post. 2020年5月12日閲覧。
  11. ^ Hagerty, James R. (2020年5月8日). “Takuo Aoyagi Found Way to Monitor Oxygen Levels in Blood” (英語). Wall Street Journal. ISSN 0099-9660. https://www.wsj.com/articles/takuo-aoyagi-found-way-to-monitor-oxygen-levels-in-blood-11588946400 2020年5月12日閲覧。 
  12. ^ アメリカ大使館 (2020年5月1日). “多くの人々の命を救い、#新型コロナウイルス の診断や治療に重要なツールである、パルスオキシメーターを発明した青柳卓雄氏のご冥福をお祈りいたします。”. @usembassytokyo. 2020年5月12日閲覧。
  13. ^ Miyasaka, Katsuyuki; Shelley, Kirk; Takahashi, Shosuke; Kubota, Hironami; Ito, Kazumasa; Yoshiya, Ikuto; Yamanishi, Akio; Cooper, Jeffrey B. et al. (2021-10). “Tribute to Dr. Takuo Aoyagi, inventor of pulse oximetry”. Journal of Anesthesia 35 (5): 671–709. doi:10.1007/s00540-021-02967-z. ISSN 1438-8359. PMC 8327306. PMID 34338865. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34338865/. 

外部リンク

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関連項目

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