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非択滅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

非択滅(ひちゃくめつ、: apratisaṅkhyānirodhaアプラティサンキヤーニローダ)とは、仏教において、正しい知恵によらないの止滅[1]のこと。説一切有部五位七十五法のうち、無為法の一つに数えられる[2]説一切有部の説では、二心の併起を認めない(五位#概要のうち、節「説一切有部における法、心の性質」を参照)ために考えられる特異な(ダルマ)[3]

つまり、ある瞬間に「眼識」(「見ようとする」のことで、六識のひとつ。「三科」、「意識」も参照)が、ある「」をとらえたとすると、その「」と同時に現在に生起してきた他の「色」「声」「香」「味」「触」(この5つを五境という。「五位」も参照)は、その心の対象とならないまま、次の瞬間には過去へ去ってしまう[4]。そうすると、心相続の上に生起してそれらをとらえるべき(上述の五境に対応する、眼識、耳識、鼻識、舌識、身識の)五識は現在の対象にむかってしかはたらかず(「三科#十八界」「五位」も参照)、現在に生起する因を得ることができない[1]。その場合、それら五識には「非択滅」という一種のダルマとのかかわりが生じたと考える[1]

脚注

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出典

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  1. ^ a b c 櫻部・上山 2006, p. 109.
  2. ^ 中村 2002, p. 96.
  3. ^ 櫻部・上山 2006, p. 108.
  4. ^ 櫻部・上山 2006, p. 108~109.

参考文献

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  • 櫻部建上山春平『存在の分析<アビダルマ>―仏教の思想〈2〉』角川書店角川ソフィア文庫〉、2006年。ISBN 4-04-198502-1 (初出:『仏教の思想』第2巻 角川書店、1969年)
  • 中村元『龍樹』講談社学術文庫、2002年。ISBN 4-06-159548-2