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非攻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

非攻(ひこう)とは、春秋戦国時代の中国において、諸子百家のひとり墨子による非戦論平和主義の主張である。兼愛交利、勤倹節約説より導き出された墨家の基本思想(墨家十論)のひとつ。

非攻説の提唱

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墨子は、当時の戦争による社会の荒廃や殺戮による世の悲惨を批判し、政治の目的は人びとの幸福にあるが、戦争は略奪・盗賊的行為であり、人びとに何の利益も幸福ももたらさない。他国を奪取して利益を得たとしても、蓄積された財貨を破壊する行為であることには変わらず、多くの人命も失われると説き、戦争では失うものの方がはるかに多いとして、他国への侵攻を否定する主張を展開した。『墨子』は墨子による直著とみられており、そこでは「人一人を殺せば不義(正義に反する)といい、死刑になる。この説に従うなら、十人を殺せば十の不義で死刑十回分に相当し、百人を殺せば百の不義で死刑百回分に相当する。このことは天下の権力者は皆知っていてその非を鳴らし、不義としている。ところが、(戦争で)大いに不義を働いて他国を攻めると、それを非とすることを知らず、正義と誉める。それが正義に反することを知らないのだ」と訴えている。

不落の守城術

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しかし、墨子は自衛のための戦争まで否定しているわけではない。そのため墨家は土木冶金などの面で技術の開発と活用に力を入れ、人間観察も重視して「不落」とよばれるほどの守城術を編み出した。他国に侵攻され、助けを求める城があれば自ら助けにおもむいて防衛に参加し、撃退にも成功している。

関連項目

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参考文献

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  • 貝塚茂樹『諸子百家 -中国古代の思想家たち-』岩波書店〈岩波新書〉、1961年12月25日。ISBN 4004130476 

外部リンク

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