音響伝送メディアによるIP伝送
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音響伝送メディアによるIP伝送(おんきょうでんそうめでぃあによるアイピーでんそう)は、モールス符号を用いた音響通信によってIP伝送を行う通信プロトコルである。
これは1996年のエイプリルフールにRFC 1926として発行されたジョークRFCである[1]。
概要
[編集]このRFCは、ノートパソコン(英: laptop computer)に搭載されている音波を媒体とした無線通信を行うためのハードウェア(スピーカーおよびマイクなど)を使って、モールス符号を使用してIPデータグラムを伝送するプロトコルを提案している。
また、文書の随所に通常のネットワーク用語と同じ略語となる独自の用語をちりばめて書かれている[2]。以下に例を挙げる。
略語 | 本RFCでの用語 | 一般的な用語 |
---|---|---|
ATM | Acoustical Transmission Media (音響伝送メディア) |
Asynchronous Transfer Mode |
(なし) | network beep order | network byte order (エンディアンを参照) |
AS | Acoustical Signature number (音響シグネチャ) |
Autonomous System number (自律システム (インターネット)を参照) |
LAN | Local Acoustical Network | Local area network |
プロトコル詳細
[編集]IPデータグラムはネットワーク・ビープ・オーダーで、4ビットごとに分割して、以下の表に従って文字に変換する。
フレーム開始信号として1文字の "b" (モールス符号:-・・・)を前置して、その後にIPデータグラムを変換した文字列を、一般的な欧文モールス符号で伝送する。
ビット | 文字 | モールス符号 |
---|---|---|
0000 | "i" | ・・ |
0001 | "t" | - |
0010 | "s" | ・・・ |
0011 | "a" | ・- |
0100 | "n" | -・ |
0101 | "h" | ・・・・ |
0110 | "d" | -・・ |
0111 | "r" | ・-・ |
1000 | "u" | ・・- |
1001 | "m" | -- |
1010 | "v" | ・・・- |
1011 | "f" | ・・-・ |
1100 | "w" | ・-- |
1101 | "l" | ・-・・ |
1110 | "k" | -・- |
1111 | "g" | --・ |
この時のモールス符号の音の周波数は、送信者の音響シグネチャ(AS番号)と呼ばれる。複数のローカル・アコースティック・ネットワーク(LAN)が共存できるように、LANごとに異なるAS番号を使用することを提案されている。
このRFCでは、以下の7つの標準的なAS番号を提案されている。
AS番号名 | 周波数 |
---|---|
"a" | 440ヘルツ |
"b" | 494ヘルツ |
"c" | 523ヘルツ |
"d" | 587ヘルツ |
"e" | 659ヘルツ |
"f" | 698ヘルツ |
"g" | 784ヘルツ |
通常の運用ではAS番号 "a" である 440 ヘルツを使用すること想定している。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ An Experimental Encapsulation of IP Datagrams on Top of ATM (英語). 1 April 1996. doi:10.17487/RFC1926. RFC 1926。
- ^ 城戸正博『ジョークなしでインターネット技術は語れない!ジョークRFCの本』ラトルズ、2002年4月20日、300頁。ISBN 4899770251。
関連項目
[編集]- A440 - ドレミファソラシドの、ラ(A)の音
- 音響シグネチャ― - 潜水艦などでの音響シグネチャ
- 鳥類キャリアによるIP
- 手旗信号システムによるIP伝送