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音響伝送メディアによるIP伝送

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

音響伝送メディアによるIP伝送(おんきょうでんそうめでぃあによるアイピーでんそう)は、モールス符号を用いた音響通信によってIP伝送を行う通信プロトコルである。

これは1996年のエイプリルフールRFC 1926として発行されたジョークRFCである[1]

概要

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このRFCは、ノートパソコン(: laptop computer)に搭載されている音波を媒体とした無線通信を行うためのハードウェア(スピーカーおよびマイクなど)を使って、モールス符号を使用してIPデータグラムを伝送するプロトコルを提案している。

また、文書の随所に通常のネットワーク用語と同じ略語となる独自の用語をちりばめて書かれている[2]。以下に例を挙げる。

略語 本RFCでの用語 一般的な用語
ATM Acoustical Transmission Media
(音響伝送メディア)
Asynchronous Transfer Mode
(なし) network beep order network byte order (エンディアンを参照)
AS Acoustical Signature number
(音響シグネチャ)
Autonomous System number
自律システム (インターネット)を参照)
LAN Local Acoustical Network Local area network

プロトコル詳細

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IPデータグラムはネットワーク・ビープ・オーダーで、4ビットごとに分割して、以下の表に従って文字に変換する。

フレーム開始信号として1文字の "b" (モールス符号:-・・・)を前置して、その後にIPデータグラムを変換した文字列を、一般的な欧文モールス符号で伝送する。

4ビットの変換表
ビット 文字 モールス符号
0000 "i" ・・
0001 "t"
0010 "s" ・・・
0011 "a" ・-
0100 "n" -・
0101 "h" ・・・・
0110 "d" -・・
0111 "r" ・-・
1000 "u" ・・-
1001 "m" --
1010 "v" ・・・-
1011 "f" ・・-・
1100 "w" ・--
1101 "l" ・-・・
1110 "k" -・-
1111 "g" --・

この時のモールス符号の音の周波数は、送信者の音響シグネチャ(AS番号)と呼ばれる。複数のローカル・アコースティック・ネットワーク(LAN)が共存できるように、LANごとに異なるAS番号を使用することを提案されている。

このRFCでは、以下の7つの標準的なAS番号を提案されている。

標準的なAS番号一覧
AS番号名 周波数
"a" 440ヘルツ
"b" 494ヘルツ
"c" 523ヘルツ
"d" 587ヘルツ
"e" 659ヘルツ
"f" 698ヘルツ
"g" 784ヘルツ

通常の運用ではAS番号 "a" である 440 ヘルツを使用すること想定している。

脚注

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出典

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  1. ^ An Experimental Encapsulation of IP Datagrams on Top of ATM (英語). 1 April 1996. doi:10.17487/RFC1926. RFC 1926
  2. ^ 城戸正博『ジョークなしでインターネット技術は語れない!ジョークRFCの本』ラトルズ、2002年4月20日、300頁。ISBN 4899770251 

関連項目

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