類的存在
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類的存在(るいてきそんざい)とはカール・マルクス、モーゼス・ヘスらによって提唱された人間に対する概念。カール・マルクスが言うには、人間というのは相互の生産共同体において他人とともに共同生活を営む社会的存在であり、このような存在が類的存在と呼ぶべき存在であるということである。このような類的存在のような思想はマルクス以前より存在していたが、マルクス以前の学者によれば、人間の共同生活というのは愛を中核としてなしていたのに対し、マルクスは労働や生産が共同生活の中核をなしているという事が異なっているところである。モーゼス・ヘスも類的存在という概念を持っていたが、ヘスによれば類的存在というのは人間のみならずあらゆる生物が類的存在であるとのこと。ヘスによれば生物というのは生活活動の交換が、人間の行っている類的行為のようなものであるとのことである。生物というのはより大きな同一の有機体の個々の分肢として、相互に生活要素を共有し離れがたく結びついているとのこと。このことから生物にとっては生活の手段というのは生産的な生活活動の交換ということであり、このような生活を行う存在が類的存在というわけである[1]。
脚注
[編集]- ^ 畑孝一「ヘスとマルクスにおける人間観と労働観」『一橋論叢』第50巻第1号、日本評論新社、1963年6月、130-137頁、doi:10.15057/3210、ISSN 00182818、NAID 110007637576。
外部リンク
[編集]- 沢田幸治「類的存在と人間的解放の「完成」 -K.マルクス 『ユダヤ人問題によせて』 の検討-」『商経論叢』第45巻第2-3号、神奈川大学経済学会、2010年1月、79-94頁、ISSN 02868342、NAID 40017345086。
- 市川佳宏「「類的存在」概念にかんする一視角(一)」第51巻第4号、福島大学経済学会、1983年3月、ISSN 02878070、NAID 120001491836。
- 宮﨑隆志「『経済学・哲学草稿』における人間存在論 (鈴木敏正教授退職記念号)」『北海道大学大学院教育学研究院紀要』第116巻、北海道大学大学院教育学研究院、2012年、141-155頁、doi:10.14943/b.edu.116.141、ISSN 1882-1669、NAID 40019425655。