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風塵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
風塵が舞い上がる砂浜、インド チェンナイにて
車の後ろに立ち上る風塵(砂塵)、スーダンの砂漠にて

気象用語としての風塵(ふうじん)は、によって地表の(ちり)や空気中に舞い上がる現象。水平視程が目の高さではほとんど悪化しないものを「低い風塵」、目の高さでも非常に視程が悪いものを「高い風塵」という。気象観測の中でも大気現象の記録の対象[1][2]

解説

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乾燥地域以外でも、植生がなく乾燥する時期、強風に伴って土壌の粒子は舞い上がる。例えば日本の関東地方では、畑が収穫を終えた初冬に木枯らしの強風で砂塵が舞うことがある。このような事例は規模が小さく、黄砂のように遠くまでは運ばれない[3]

風の強さのほか、地表の乾燥度やそれを左右する土質も因子である[2]。ときに表土を移動させて農地の肥沃度に影響することがある[2]

強い風で塵や砂が高く巻き上げられ目の高さの水平視程が1キロメートル未満になったものを砂塵嵐といい、大気現象に加えて天気の記録の対象にもなっている[1]

屋外のイベントに影響を与えることもある。例えば、正月の箱根駅伝において湘南海岸付近で発生することがあり、強風そのものの影響と併せ、年によっては番狂わせを起こすことがある[4]

類似の用語

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風塵と同じような意味の口語として砂埃(すなぼこり)[5]、砂煙(すなけむり)[6]、土煙(つちけむり)[7]、地煙(じけむり)[8]、黄塵(おうじん)[9]などがある。

大気環境分野で用いるfugitive dust(飛散性粉塵、飛散性ダストなどと訳す)は大気汚染源に着目した呼び方で、大気に拡散される土壌の粒子などを指し、煙突などの中を流れる汚染源に対してこう呼ぶ[10][11]

地質学分野などで用いる鉱物ダスト(mineral dust、鉱物性ダスト、鉱物性粉塵、ミネラルダストなどとも)は、エアロゾル粒子の来源や組成に着目した呼び方。

強い風がシルト以下の大きさの塵を巻き上げると、遠くまで運ばれることがある。これを堆積物が風の営力(風成作用運搬作用)により運ばれるという観点から、風成塵(ふうせいじん、aeolian dust、風送ダスト、風成堆積物とも)という[12][13][14]

航空分野では、舞い上がる砂塵に視界を遮られた状態をブラウンアウトという。

出典

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  1. ^ a b 気象観測の手引き 平成10年9月』(pdf)気象庁、2007年12月、58-61,64-65頁https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/hpc.html 
  2. ^ a b c 平塚和夫「風塵」『平凡社『日本大百科全書(ニッポニカ)』』https://kotobank.jp/word/%E9%A2%A8%E5%A1%B5コトバンクより2024年3月23日閲覧 
  3. ^ 沙漠の事典 2009, p. 32「黄砂」(著者:三上正男)
  4. ^ 川崎勇二「箱根駅伝の近年の傾向に関する一考察」『中央学院大学人間・自然論叢』第38号、2014年7月1日、5頁、CRID 1050001202770081792 (注:この論文では「砂嵐」と記載)
  5. ^ 砂埃」『小学館『デジタル大辞泉』』https://kotobank.jp/word/%E7%A0%82%E5%9F%83コトバンクより2024年3月23日閲覧 
  6. ^ 砂煙」『小学館『デジタル大辞泉』』https://kotobank.jp/word/%E7%A0%82%E7%85%99コトバンクより2024年3月23日閲覧 
  7. ^ 土煙」『小学館『デジタル大辞泉』』https://kotobank.jp/word/%E5%9C%9F%E7%85%99コトバンクより2024年3月23日閲覧 
  8. ^ 地煙」『小学館『精選版日本国語大辞典』』https://kotobank.jp/word/%E5%9C%B0%E7%85%99コトバンクより2024年3月23日閲覧 
  9. ^ 黄塵」『小学館『デジタル大辞泉』』https://kotobank.jp/word/%E9%BB%84%E5%A1%B5コトバンクより2024年3月23日閲覧 
  10. ^ (英語) Fugitive Dust Control Self-inspection Handbook: How to Control Dust and Reduce Air Pollution. California Environmental Protection Agency. Air Resources Board. Compliance Assistance Program. (1992). https://books.google.com/books?id=pWdl6HG6R6UC 
  11. ^ (英語) Allegheny National Forest (N.F.), the Willow Creek All-terrain Vehicle Trail Expansion Project: Environmental Impact Statement. United States Forest Service. (2006). https://books.google.com/books?id=eJ82AQAAMAAJ&pg=PA70 
  12. ^ 松倉 2021, pp. 238, 244–246.
  13. ^ 土の百科事典 2014, p. 493「風成塵」(著者:東照雄)
  14. ^ 土の百科事典 2014, pp. 492–493「風成堆積物」(著者:東照雄)

参考文献

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関連項目

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