馬油
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馬油(バーユ、マーユ[1][2])は、馬の皮下脂肪を原料とする動物性油脂のことである。主に食用の馬を解体する際に腹や首の部位から採取される[3]。オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸などを多く含んでおり[1]、古くから皮膚治療の民間薬に用いられてきたが、医薬品のような効能・効果は認められていない[3]。
概要
[編集]馬肉の生産量が全国1位の熊本県をはじめとする生産地では、地域資源である馬油から基礎化粧品や石鹸、シャンプーなど様々な製品が実用化されている[4]。
馬油はヒトの皮脂とよく似た性質を持ち、浸透性、保湿・保護の効果が確認できるため、皮膚の健康を維持する目的での外用剤に適している[5]。通常は固形だが、融点が30-43℃と低く、夏期は外気温で容易に液体化するので、外用剤として利用する際には冷蔵保存が必要である[3][6]。
現存する最古の中国医学書と言われている『黄帝内経』や明の本草学研究書である『本草綱目』には、「皮膚のひびわれを改善する」との効能が書かれていることから、2015年ごろには中国人旅行客の間で日本製の馬油の人気が高まり、いわゆる爆買いのターゲットにもなっている[7]。
脚注
[編集]- ^ a b 『化粧品成分用語事典 2012』(改訂・完全版)中央書院、2012年8月、20-21頁。ISBN 9784885140440。全国書誌番号:22122427 。
- ^ 道浦俊彦 (2014年12月18日). “新・ことば事情 5618「『馬油』の読み方」”. 読売テレビ. 2015年5月16日閲覧。
- ^ a b c “QandA 馬油”. 株式会社 薬師堂. 2015年5月17日閲覧。『馬油のどの成分が人体に対して効果を発揮しているのか、化学的に完全な解明をすることが困難なため、医薬品としては未だ認められておらず、「ソンバーユ(尊馬油)」は皮膚保護用の化粧品に分類されています。』と書かれているので、「医薬品のような効能・効果は認められていない」という書き方は誤解を招く書き方で正確には、「(漢方薬は全般的に)化学的に完全な解明をすることが困難なため、医薬品として認められていない」
- ^ 産学連携による障害者の自立を目指した取組み ~高品位馬油の製造と販売~ (PDF) 『関西・中四国支部 第1回研究・事例発表会 予稿集』 2008年12月4日, 産学連携学会
- ^ 呉貴郷, 藤重昇永, 市丸雄平、「馬油による皮膚の保湿効果の検討」 『西日本皮膚科』 2004年 66巻 6号 p.621-624, doi:10.2336/nishinihonhifu.66.621, 日本皮膚科学会西部支部
- ^ “第23回<脂肪のかたさが畜種によって違う理由> 日本獣医畜産大学畜産食品工学科肉学教室”. 岡山大学 農学部 食肉品質研究会. 2015年6月6日閲覧。
- ^ “なぜ「馬油」はこれほど中国人に人気なの?=中国メディア”. サーチナ (2015年8月10日). 2016年8月19日閲覧。