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高度道路交通システム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
高度交通システムから転送)
ITSグラフィカルユーザインタフェースは、高速道路ネットワークとそのデータポイントを表示する。

高度道路交通システム(こうどどうろこうつうシステム、Intelligent Transport Systems、ITS)は、IT (Information Technology) を利用して交通の輸送効率や快適性の向上に寄与する一連のシステム群を指す総称名[1][2]である。高度交通システム(こうどこうつうシステム)とも。道路交通鉄道海運航空などの交通が対象となる。

概説

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高度道路交通システム(ITS)は情報通信やエレクトロニクスといった新技術を活用して交通システムのインテリジェント化を図り安全・円滑・快適な交通環境を実現するシステムである[3]

各種のシステムがITSには含まれる。例えば、バスロケーションシステムe-Callカーシェアリングにおける自動車の予約、タクシーワイパー稼働状況をもとにした局地気象情報の提供など多岐にわたる。

各国の取り組み

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欧州

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ヨーロッパでは1984年に欧州委員会が研究開発プロジェクトに助成金を交付するフレームワークプログラムを開始[3]。1985年からはバイオ・医療技術、通信技術、エネルギー、運輸技術などの9分野について市場指向性が強いEUREKAプログラムが開始された[3]。1991年にはERTICOが設立された[3]

米国

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アメリカでは1990年にITS Americaが設立された[3]。同年、アメリカ合衆国運輸長官のサミュエル・K・スキナーが議会でITSの重要性を訴えてITSの技術開発が国家プロジェクトに位置づけられた[3]。1991年には総合陸上輸送効率化法(ISTEA)が成立した[3]

日本

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日本では1994年に道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会(VERTIS)が設立された[3]

日本においては、以下の9つの開発分野に分けるシステム分類がある[4]

  1. ナビゲーションシステムの高度化
  2. 自動料金収受システム
  3. 安全運転の支援
    • AHS(高速道路を中心とした安全運転の支援システム)
    • DSSS(一般道路を中心とした安全運転の支援システム)
    • 先進安全自動車(ASV、車両を中心とした安全運転の支援システム)
  4. 交通管理の最適化
    • UTMS(交通信号機を核とする警察版のITS)
    • 駐車場案内システム
  5. 道路管理の効率化
  6. 公共交通の支援
  7. 商用車の効率化
    • 共同配送
    • ロケーション管理システム
  8. 歩行者等の支援
  9. 緊急車両の運行支援

国際標準化とITS世界会議

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国際標準化

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1990年代にITSの技術が世界的に広がりをもち始めたことから国際標準化が課題となった[3]国際標準化機構(ISO)にはワーキンググループが設置されており各国が議長国を分担している[3]

ITS世界会議

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三つのITS団体(欧州:ERTICO、アメリカ:ITS America、アジア太平洋: ITS Japan)が毎年共同で開催する唯一の世界会議であり、技術開発、政策、市場動向など様々な観点を情報交換し、交通問題の解決やビジネスチャンスの創出を目的とした会議である。

研究の発表、展示などで構成され通常の開催期間は4〜5日間程度である。

1994年(第1回フランス・パリ)からITS世界会議が開催されている。日本での開催は、2004年名古屋市、2013年の東京都で、東京ビッグサイト東京国際フォーラムなどで展示公開が行われた。

欧州、アジア太平洋、米州の順番で開催される。

開催地
回数 開催都市 開催国 会期 参加国/地域 参加者 出展数 セッション数 論文数
1 1994 パリ フランス 11月30日-12月3日 11 2,200 74 94 483
2 1995 横浜 日本 11月9日-11月11日 38 3,400 49 59 469
3 1996 オーランド アメリカ 10月14日-10月18日 37 5,000 150 153 797
4 1997 ベルリン ドイツ 10月21日-10月24日 43 5,000 189 121 594
5 1998 ソウル 韓国 10月12日-10月16日 50 23,960 85 104 768
6 1999 トロント カナダ 11月8日-11月12日 58 4,661 152 123 540
7 2000 トリノ イタリア 11月6日-11月9日 53 7,300 197 144 611
8 2001 シドニー オーストラリア 9月30日-10月4日 46 3,818 166 110 500
9 2002 シカゴ アメリカ 10月14日-10月17日 42 4,376 239 129 512
10 2003 マドリード スペイン 11月16日-11月20日 75 6,300 233 167 727
11 2004 名古屋 日本 10月18日-10月24日 53 61,394 250 92 763
12 2005 サンフランシスコ アメリカ 11月6日-11月10日 55 7,130 163 136 710
13 2006 ロンドン イギリス 10月8日-10月12日 75 7,262 243 143 899
14 2007 北京 中国 10月9日-10月13日 52 42,000 163 107 851
15 2008 ニューヨーク アメリカ 11月16日-11月20日 66 8,057 250 300 1,021
16 2009 ストックホルム スウェーデン 9月21日-9月25日 64 8,512 254 118 811
17 2010 釜山 韓国 10月25日-10月29日 84 38,700 213 223 1,037
18 2011 オーランド アメリカ 10月16日-10月20日 59 6,510 210 210 1,037
19 2012 ウィーン オーストリア 10月22日-10月26日 91 9,952 345 304 871
20 2013 東京 日本 10月14日-10月18日 65 20,691 238 250 1,000
21 2014 デトロイト アメリカ 9月7日-9月11日 65 9,100 330
22 2015 ボルドー フランス 10月5日-10月9日 102 12,249 433 250
23 2016 メルボルン オーストラリア 10月10日-10月14日 73 11,496 278
24 2017 モントリオール カナダ 10月29日-11月2日 54 6,000 301
25 2018 コペンハーゲン デンマーク 9月17日-9月21日 96 10,000 400
26 2019 シンガポール シンガポール 10月21日-10月25日 95 14,700 321 214
2020[注 1]
27 2021 ハンブルク ドイツ 10月11日-10月15日 66 13,200 198 210
28 2022 ロサンゼルス アメリカ 9月18日-9月22日 64 6,500 211
29 2023 リスボン ポルトガル

脚注

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注釈

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  1. ^ 2020年はロサンゼルスで開催が予定されていたが中止され、2022年に振替開催となった。

出典

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  1. ^ 電子情報通信学会高度交通システム研究会
  2. ^ 情報処理学会高度交通システム研究会
  3. ^ a b c d e f g h i j 小塚一宏. “ITS (高度道路交通システム) の国内外の動向” (PDF). 豊田中央研究所. 2018年5月3日閲覧。
  4. ^ 浅井建爾 2001, p. 209.

参考文献

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  • 浅井建爾『道と路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2001年11月10日。ISBN 4-534-03315-X 

関連項目

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外部リンク

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