高槻資産家女性殺害事件
高槻資産家女性殺害事件 | |
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福島警察署内の留置場で被疑者Aが自殺を図り死亡した。 | |
場所 | 大阪府高槻市 |
日付 | 2021年(令和3年)7月22日 |
攻撃手段 | 手首を結束バンドで縛った上で、浴槽内で溺死させる |
攻撃側人数 | 1人 |
死亡者 | 1人 |
被害者 | 資産家女性 |
犯人 | A(逮捕当時28歳の男) |
動機 | 生命保険金及び遺産 |
対処 | 被疑者死亡のまま書類送検 |
管轄 | 大阪府福島警察署 |
高槻資産家女性殺害事件(たかつきしさんかじょせいさつがいじけん)は、2021年(令和3年)7月22日に大阪府高槻市で発生した保険金殺人事件である。
生命保険外交員だった男(逮捕当時28歳、以下「A」と表記)が、書類を偽造して養子縁組になった女性(当時54歳、以下「B」と表記)を殺害し、生命保険金(2社・計約1億5千万円)と遺産(約1億円)の詐取を謀ったとされる[1]。
概要
[編集]2021年2月14日、生命保険会社に勤務する外交員のAが都市銀行グループ会社の会社員であった資産家Bと養子縁組を結んだ[2]。しかし、このとき提出された書類は偽造されたものであった。
同年5月、Bが加入していた生命保険(5千万円分)の受取人を、AがBの実母から自身に変更した[1]。このとき提出された書類も偽造されたものであった。
同年7月、Bが手首を結束バンドで縛られ、自宅の浴槽内で溺死しているのが発見された[3]。22日には、包丁を持って歩くAの様子を防犯カメラが捉えており、Aが包丁でBを脅して押し入った疑いが持たれている[4]。
事件当日、Aは自身のスマホを東京都内の自宅に置いて大阪に向かっていた[5]。スマホの位置情報を利用して「大阪には行っていない」と足取りを偽装し、アリバイ工作を行ったとみられている。さらに、翌23日午前8時に、BのアドレスからAにメールが送られていた[5]。メールは予約送信機能を使って送られており、Bの生存を偽装して死亡推定日時をずらす狙いがあったとみられている。
翌23日、Bが加入していた生命保険(1億円分)の受取人を、AがBの実母から自身に変更した[1]。このとき提出された書類も偽造されたものであった。
同月26日、Bの親族らが自宅を訪ね、Bの遺体を発見した[2]。遺体の状況などから、大阪府警察は殺人事件とみて捜査を開始した[3]。
逮捕
[編集]2022年7月20日、養子縁組届を偽造・市役所に提出したとして、有印私文書偽造の疑いで大阪府警がAを逮捕した[2]。逮捕当時、Aは28歳であった。同年8月25日、Bを殺害した疑いなどで大阪府警がAを再逮捕したが黙秘していた[1]。
自殺
[編集]2022年9月1日午前7時頃、Aが大阪府福島警察署で拘留中に自殺を図った[6]。Aは巡回中の職員に首を吊っている状態で発見され病院に搬送されたが、同日22時21分に死亡が確認された[7]。福島警察署では8月29日の段階で自殺をほのめかす内容を記した便箋を回収していたという[8]。
福島警察署留置管理課の男性警部補ら3人がAの私物保管庫について、自殺の6日前にチェックしたとして点検簿を偽造していたことが判明した。大阪府警は12月14日、3人を虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検した[9]。
12月28日、大阪地検はAを被疑者死亡のため不起訴とした。同日、男性警部補ら福島署員3人も起訴猶予や嫌疑不十分のため不起訴とした[10]。
被疑者
[編集]本事件の被疑者である男Aは、2018年11月に外資系の大手生命保険会社に入社し、保険外交員として勤務していた[1]。Bとはこのときに出会い、1億円の保険契約を結んだ。しかし、顧客との間で「知らないうちに別の保険まで契約されていた」などの契約トラブルが相次ぎ、2020年6月に退社した。
2020年8月、東京都内の保険代理店に就職した[1]。このとき、Bと新たに5千万円の保険契約を結んだ。しかし、同年秋に、前社での契約トラブルをめぐって保険募集人の資格を取り消され、保険販売ができなくなった。2021年4月頃に退社した。
保険外交員時代は月収が100万円ほどで、東京都港区のタワーマンションに住み、高級すし店に通うなどの生活をしていた[1]。退社したため事件時の預貯金は少なくなっていたが、犯行後は遺産約1億円を相続し、ランボルギーニのスポーツカーに乗るなどしていた。大阪府警は、Aが生活水準を維持するために保険金や遺産目当てで事件を計画したとみている。
また、犯行後に、養子縁組を解消する許可を家庭裁判所に申し立てていたことが判明した[11]。民法では、養親が死亡した時点で養子であれば、その後に離縁しても遺産を相続できる。一方で、離縁すれば養親の親族を扶養する義務はなくなる。Bの母親が介護施設に入所しているため、その介護負担を回避する目的だったとみられている。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g “港区のタワマンに住む養子の男、周囲に「金に困っている」…生活水準の維持目的で女性殺害計画か”. 読売新聞オンライン (2022年8月27日). 2022年8月28日閲覧。
- ^ a b c “養子届偽造疑いで28歳男逮捕 54歳女性は他殺、保険金1.5億円”. 朝日新聞DIGITAL (2022年7月20日). 2022年8月28日閲覧。
- ^ a b “28歳養子、死亡女性の1億円相続 保険金殺人疑い再逮捕”. 産経ニュース (2022年8月25日). 2022年8月28日閲覧。
- ^ “大阪・高槻の保険金殺人 事件当日、包丁携行か 自宅・女性宅周辺”. 毎日新聞 (2022年8月27日). 2022年8月29日閲覧。
- ^ a b “大阪・高槻保険金殺人、養子の男はアリバイ工作のためスマホ自宅に残し来阪か”. 日刊スポーツ (2022年8月26日). 2022年8月29日閲覧。
- ^ “『留置施設内で自殺を図った』か…資産家女性殺害容疑の養子の男が心肺停止で病院搬送”. MBS NEWS (2022年9月1日). 2022年9月2日閲覧。
- ^ “高槻保険金殺人 自殺図った容疑者の男が死亡”. TBS NEWS DIG (2022年9月1日). 2022年9月2日閲覧。
- ^ “大阪・高槻女性殺害で逮捕の養子、警察署内で自殺 ほのめかす内容の便箋29日に回収も報告なし”. 日刊スポーツ. (2022年9月2日) 2022年9月2日閲覧。
- ^ “容疑者自殺、点検簿偽造容疑で福島署員3人を書類送検 大阪府警”. 毎日新聞. (2022年12月14日) 2022年12月28日閲覧。
- ^ “高槻女性殺害、自殺の容疑者を不起訴 虚偽報告書作成の署員も”. 産経新聞. (2022年12月28日) 2022年12月28日閲覧。
- ^ “「金に困っている」容疑者、資産家女性の死後に離縁申し立て…親族の介護回避目的か”. 読売新聞オンライン (2022年8月28日). 2022年8月30日閲覧。