黒木香
プロフィール | |
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愛称 | 横浜国立大出のAV嬢 |
生年月日 | 1965年1月21日 |
現年齢 | 59歳 |
出身地 | 日本・神奈川県横浜市 |
血液型 | A型 |
公称サイズ[いつ?] | |
身長 / 体重 | 161 cm / ― kg |
スリーサイズ | 83 - 53 - 86 cm |
活動 | |
ジャンル | アダルトビデオ |
出演期間 | 1986年 |
備考 | 『SMっぽいの好き』が大当たりして一躍有名になり、イタリアのチチョリーナとも共演、独特の語りと頭の回転の良さから、TVでもレギュラー出演した |
他の活動 | タレント |
黒木 香(くろき かおる、1965年1月21日[1] - )は、日本の元AV女優。その個性からテレビ番組に多数出演した。
ジェンダーについて研究している村瀬ひろみは、自身の論文において、彼女について男女ともに人気があったことと、女性に関してはフェミニストで研究者の上野千鶴子は古典近代的と指摘された彼女に対する女性人気について、性的自己形成の根底で価値観を変えられない女性から共感を呼ぶ存在だったことを推測している[2]。
経歴
[編集]神奈川県横浜市出身。女子学院中学校・高等学校卒業後、横浜国立大学に入学し[3] 教育学部美術学科でイタリア美術を専攻。在籍中の1986年にイタリア留学の費用を工面するため、自らアダルトビデオ (AV) に出演。『SMぽいの好き』(クリスタル映像)でデビューした。当時のAVは男性(男優)が女性(女優)をリードする内容が殆どだったが、同作は黒木が監督・男優の村西を挑発するという斬新な演出がとられた。これが異例の大ヒットを記録し、一般にもその名を知られる。当時は女子大学生のAV出演は世間で知られておらず、特に大学名を公開した現役の国立大学の学生の出演は異例であった[4]。
ゴールデンタイムのテレビ番組にも多数出演した。「良家の令嬢」でありながら卑猥な言葉を連呼し、16歳以降剃毛していないと自ら語るわき毛を大胆に露出して人気となった。活動はAVに留まらず、テレビドラマやバラエティ番組、また討論番組のテレビ朝日『朝まで生テレビ!』にもパネリストとして出演したこともある[5]。元来セクシー路線の女性タレントは女性層から嫌われることが多かったが、黒木のキャラクターは男性ファンのみならず、女性たちからも支持された。
一人称は「わたくし」で、「わたくし思いますに……でございます」と丁寧な言葉遣い[3] で、早口で積極的な話し方であったが、内容は言葉の端々に性交に関することを織り交ぜた。一躍有名になり多忙が続くなどして通学が困難になり長期欠席状態が続き、横浜国立大学を除籍[6] となる。
村西とおるとは恋愛関係にあった[1][3][7]。村西が実質的な経営者だったダイヤモンド映像の系列会社・ビックマンの取締役にもなり、村西が渋谷に出店した高級焼肉店「香貴苑」(後に閉店)のママにもなったが[8]、村西とも別れたあと業界を引退。
1994年、宿泊していたホテルの2階ベランダから転落した[7]。酒に酔っての事故だったが[7]、週刊誌には自殺未遂だと書き立てられた[7]。
プライバシー・肖像権侵害の民事訴訟
[編集]2004年4月、引退後の雑誌での消息記事や出演アダルトビデオ作品の再版がプライバシーおよび肖像権の侵害に当たるとして、出版社の講談社・光文社・小学館・徳間書店・双葉社[9]、およびDVD販売会社のオブテイン・フューチャー社[10] に対して損害賠償などを求める民事訴訟を起こした[9][10]。
このうち徳間書店(一審判決時点の社名は「芝ホールディングス」、『アサヒ芸能』の発行元)に対しては2006年5月に一審で勝訴したことが報じられている[11][12][13][14]。
また、小学館(『女性セブン』および『週刊ポスト』の発行元)に対しては、2007年4月に一審で勝訴[15][16]、2007年11月に二審でも勝訴し[17]、損害賠償額の増額を求める黒木側の上告が2008年1月に棄却されて二審判決が確定したこと[18] が報じられている。
作品
[編集]アダルトビデオ
[編集]主演作品は上記3作のみ。他助演、部分出演作品多数
カセット
[編集]- マドンナメイトカセット 黒木香 変態少女かな日記(1987年9月1日、二見書房)
出演
[編集]テレビドラマ
[編集]- 必殺スペシャル・新春 決定版!大奥、春日野局の秘密 主水、露天風呂で初仕事(ABCテレビ) - おえい役
- 必殺スペシャル・春一番 仕事人、京都へ行く 闇討人の謎の首領!(ABCテレビ) - お香役
- ドラマ23「ピンク色のメイドさん」(1989年、TBS)
映画
[編集]- TOKYO-POP(1988年)
バラエティ
[編集]- 新春かくし芸大会(フジテレビ)
- オールナイトフジ(フジテレビ)
- おとなのえほん(サンテレビ)
- 鶴瓶上岡パペポTV(よみうりテレビ、1987年6月2日放送)
- ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!(日本テレビ)
声優
[編集]著書
[編集]単著
[編集]- 『フルーツ白書』ワニブックス、1987年9月15日。ISBN 978-4847010477。
- 『自堕落にもほどがある』ネスコ、1987年10月。ISBN 978-4890367207。
- 『女と男の間には―黒木香対談集』飛鳥新社、1987年12月。ISBN 978-4870310421。
- 『爆笑対談集 パブロフの犬のよだれ―欲望の条件反射』ライトプレス出版社、1988年1月。ISBN 978-4947633026。
共著
[編集]- 伊藤比呂美『性の構造 : うれしい変態 たのしい淫乱』作品社、1987年6月25日。ISBN 978-4878931338。
ミニアルバム
[編集]黒木香を演じた人物
[編集]脚注
[編集]- ^ a b 『CREA』1994年6月号のインタビュー記事(井田真木子著「旬の自画像」「フォーカスな人たち」に再録)には、実際は1961年6月2日生まれであることを読み取れる記述がある。
- ^ 村瀬ひろみ「仕組まれた〈セクシュアリティ〉―黒木香論の地平から―」『現代生命論研究』第9巻、国際日本文化研究センター、1996年1月31日、218-219頁、doi:10.15055/00005910。
- ^ a b c BUBKAダイヤモンド 消えたアイドルは今500連発. コアマガジン. (2010-08-28). p. 145. ISBN 978-4-86252-898-8
- ^ AV女優は、家族や友人たちには内緒で出演していた者が多く、家族や友人たちに知られる事を恐れて詳細なプロフィールを公表しないことが多い。
- ^ 鈴⽊嘉⼀ (1993年8月10日). “(連載)[TV40年](135)朝まで⽣テレビ!=下 企画にこだわり”. 読売新聞東京夕刊: p. 9
- ^ 『週刊新潮』1990年8月16・23日号で本人が明かしている。
- ^ a b c d 玖保樹鈴 (2019年10月22日). “伝説のAV女優・黒木香は「全裸監督」ヒットに何を思うのか…過去には出版社相手の裁判も”. 弁護士ドットコムニュース. 弁護士ドットコム. 2020年3月9日閲覧。
- ^ 本橋信宏「村西とおるを奪い合ったAV女優たち」『新潮45』2006年6月号
- ^ a b “元⼥優の⿊⽊⾹さん、出版社などを提訴”. 朝日新聞東京朝刊: p. 37. (2004年12月21日)
- ^ a b “「⿊⽊⾹」さん、出版5社など提訴 過去に出演のビデオを無断で販売”. 読売新聞東京朝刊: p. 33. (2004年12月21日)
- ^ “⿊⽊⾹さんの訴えを認める プライバシー訴訟”. 朝日新聞東京朝刊: p. 38. (2006年5月24日)
- ^ “損賠訴訟:⿊⽊⾹さん勝訴”. 毎日新聞東京朝刊: p. 26. (2006年5月24日)
- ^ “雑誌に性⽣活掲載 出版社に賠償命令 ⿊⽊⾹さん訴え”. 産経新聞東京朝刊: p. 30. (2006年5月24日)
- ^ “黒木香さんの記事「プライバシー侵害」220万賠償命令”. 夕刊フジ. (2006年5月24日). オリジナルの2017年9月8日時点におけるアーカイブ。 2018年8月26日閲覧。
- ^ “プライバシー侵害訴訟 ⿊⽊⾹さん勝訴 ⼩学館に賠償命令/東京地裁”. 読売新聞東京朝刊: p. 33. (2007年4月14日)
- ^ “損賠訴訟:「あの⼈は今」報道、敗訴 ⿊⽊⾹さん巡り、⼩学館に賠償命令―東京地裁”. 毎日新聞東京朝刊: p. 24. (2007年4月14日)
- ^ “⿊⽊⾹さん、2審も勝訴”. 産経新聞東京朝刊: p. 26. (2017年11月16日)
- ^ “⼩学館側の賠償確定”. 中国新聞朝刊: p. 社会面. (2008年1月18日)
- ^ 安田理央『日本AV全史』(2023年、ケンエレブックス)391‐429頁「日本AV年表」
- ^ “黒木香 = Kaoru Kuroki* – 小娘日和”. Discogs. 2018年12月24日閲覧。