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1,2-ブタンジオール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1,2-ブタンジオール
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識別情報
CAS登録番号 584-03-2
PubChem 11429
特性
化学式 C4H10O2
モル質量 90.12 g mol−1
密度 1.0023 g/cm3 (20 °C)
融点

-50 °C[注 1]

沸点

195 - 196.9 °C

への溶解度 混和
危険性
引火点 90 °C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

1,2-ブタンジオール (1,2-Butanediol) は、化学式 HOCH2(HO)CHCH2CH3 で表される有機化合物である。vic-diol (グリコール) に分類される。2位の炭素がキラル中心であるため、1,2-ブタンジオールには1対の鏡像異性体、すなわち、(S)-1,2-ブタンジオールと(R)-1,2-ブタンジオールとが存在し、これらはいずれも光学活性を有する。ただし、通常は光学分割されずに、これらの等量混合物であるラセミ体の状態で用いられる。なお、1,2-ブタンジオールのラセミ体は、常温常圧において、無色の液体として存在する。

製造

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1,2-ブタンジオールは、1,2-エポキシブタン英語版水和により工業的に製造されている[1][2]

1,2-ブタンジオールは、ブタジエンからの 1,4-ブタンジオール製造の際の副産物である[3]。また、デンプンやソルビトールなどの糖のエチレングリコールプロピレングリコールへの接触水素化分解の副産物でもある[4]

1,2-ブタンジオールは、1859年にアドルフ・ヴュルツによって最初に述べられた[5]

応用

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1,2-ブタンジオールに関して、ポリエステル 樹脂および可塑剤の製造の特許が取得されている[2][3]。1,2-ブタンジオールは、いくつかのアミノ酸の前駆体であるα-ケト酪酸の工業生産のための潜在的な原料である[6]

危険性

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ラットに経口投与した場合のLD50は、16 (g/kg)であった[1]

注釈

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  1. ^ 融点に対する -50 °Cの数値は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry から採られた。また、Hazardous Substances Data Bank とOECD Screening Information Dataset で使用されている。他の資料では -114 °C から -30 °C が報告されている。

脚注

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  1. ^ a b "Butanediols, Butenediol, and Butynediol", Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Weinheim: Wiley-VCH, 2005, doi:10.1002/14356007.a04_455
  2. ^ a b 1,2-Butanediol, SIDS Initial Assessment Report, Geneva: United Nations Environment Programme, (February 1995), http://www.inchem.org/documents/sids/sids/584032.pdf .
  3. ^ a b US 4596886, Hasegawa, Ryuichi & Kohji Hayashi, "Polyester containing impure 1,2-butanediol", assigned to Mitsubishi Monsanto Chemical Company .
  4. ^ US 4966658, Berg, Lloyd, "Recovery of ethylene glycol from butanediol isomers by azeotropic distillation" . US 5423955, Berg, Lloyd, "Separation of propylene glycol from 1,2-butanediol by azeotropic distillation" .
  5. ^ Wurtz, A. (1859), “none”, Ann. Chim. Phys. 55: 400 .
  6. ^ US 5155263, Imanari, Makoto; Hiroshi Iwane & Masashi Suzuki et al., "Process for preparing α-ketobutyric acid", assigned to Mitsubishi Petrochemical Co., Ltd. .