984型レーダー
「ヴィクトリアス」搭載機の背後からの写真。 | |
種別 | 3次元レーダー |
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目的 | 捜索用 |
開発・運用史 | |
開発国 | イギリス |
就役年 | 1958年 |
製造数 | 3基 |
送信機 | |
形式 | マグネトロン×3基 |
周波数 | Sバンド |
送信尖頭電力 | 各送信管: 3 MW |
アンテナ | |
形式 | 電子走査式 |
直径・寸法 | 4.42×4.27 m |
ビーム幅 | 1.7° |
走査速度 |
電子走査: 16回/秒 機械走査: 6回/分 |
仰俯角 | 仰角25° |
探知性能 | |
探知距離 |
捜索: 150 nmi (280 km) 捕捉: 75 nmi (139 km) ※いずれも戦闘機大の目標に対して |
984型レーダー(英語: Type 984 radar)は、イギリスで開発された3次元レーダー。電磁レンズによるビーム走査という非常に野心的な設計を採用しており、アメリカのAN/SPS-2(試作のみ)と比せられる[1]。
本機は、高角測定を含めた戦闘機の管制を目的として開発された。1950年代当時、艦隊で標準的であった960型レーダーのほうが本機よりも探知距離では優れていたものの、電子防護能力で劣る上に、こちらは高角測定能力は備えていなかった。開発は1940年代末より海軍の研究機関であるAdmiralty Surface Weapons Establishmentで開始され、1950年にマルコーニ社に移管された[1]。
俯仰角方向の走査はペンシルビームを指向することによる電子走査としており、方位角方向の走査は、電子走査とともにアンテナの旋回による機械式を併用している。ビーム走査は電磁レンズによって行っており、レーダー送信機の前方にレンズ配列を置いたことから、サーチライトに似た非常に独特な外見のアンテナとなった。レーダー送信機としては、送信尖頭電力3メガワットのマグネトロンを3個使用している。アンテナには5つのスキャナが備えられており、ビーム幅1.7度のペンシル・ビーム5本を同時に生成することができる。これらのペンシル・ビームは5度ずつのセクター走査を毎秒16回行っている[1]。
本機は、1958年に空母「ヴィクトリアス」に搭載されて、運用を開始した。従来使用されてきた960型、982型、983型を統合して代替できる戦闘機管制レーダーとして、非常に好評であったが、独特の設計のためにシステムは大重量・複雑化したことから、同艦のほかには、空母「ハーミーズ」および「イーグル」に搭載されたのみとなった[1]。
参考文献
[編集]- ^ a b c d Norman Friedman (1981). Naval Radar. Naval Institute Press. ISBN 9780870219672
関連項目
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、984型レーダーに関するカテゴリがあります。
- AN/SPS-39 - ほぼ同時期に就役したアメリカ海軍の3次元レーダー。周波数走査(FRESCAN)方式を採用している。
- 996型レーダー - 1988年に就役したシーメンス・プレッシー社の3次元レーダー。周波数走査(FRESCAN)方式を採用している。