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9x21mmギュルザ弾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
9x21mm ギュルザ弾
9x21mm PS/SP-10弾
9x21mm PS/SP-10弾
種類 拳銃
原開発国 ロシアの旗 ロシア
使用史
使用者・地域 ロシア連邦保安庁
ロシア軍
製造の歴史
設計者 ツニートチマッシ
生産期間 1990年代から現代
特徴
薬莢形状 リムレス・ストレート
弾丸 9.05 mm (0.356 in)
肩径 9.6 mm (0.38 in)
底面径 9.9 mm (0.39 in)
リム径 9.9 mm (0.39 in)
リム厚 1.2 mm (0.047 in)
薬莢長 20.9 mm (0.82 in)
全長 32.7 mm (1.29 in)
弾丸性能
弾頭重量/種類 初速 エネルギー
6.7 g (103 gr) /SP-10(7N29) 410 m/s (1,300 ft/s) 563 J (415 ft⋅lbf)
7.9 g (122 gr) /SP-11(7N28) 390 m/s (1,300 ft/s) 600 J (440 ft⋅lbf)
7.2 g (111 gr) /7BTZ 395 m/s (1,300 ft/s) 562 J (415 ft⋅lbf)
出典: [1]

9x21mm ギュルザ弾[1]は、SR-1[2]及びSR-2 «ヴェレスク»用の対ボディアーマー用拳銃弾として、ロシアの防衛関連企業TsNII TochMashで開発された弾薬である。 9x21mm IMI弾とは別物である。

開発経緯

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短機関銃自動拳銃の両方で使用することを意図した比較的強力なピストル用弾薬として、90年代初頭に開発が開始された。

開発段階で入手可能な弾薬と比較し、ボディアーマーを着用したターゲットに対し、より効果的な拳銃用弾薬を法施行関係者や軍事関係者向けに提供することが最終目標とされた。

この弾薬の開発には1993年よりロシア連邦保安庁から資金的な援助がなされ、開発された弾薬には「SP-10」(SP:特殊弾の意)という名称が付けられた。

SP-10は、FSBと他の法執行機関で使用されているSR-1 «ギュルザ»英語版SR-2 «ヴェレスク»に使用される弾薬として1996年に採用された。

オリジナルのSP-10弾の生産開始後、他の種類の弾薬も開発されることになり、非装甲目標や訓練用に適した鉛製弾芯を持つ通常のFMJ弾である「SP-11」、拡張弾頭(人体内で拡張し弾丸の運動エネルギーを消費し、人体内で留まることを意図したもの)を有する「SP-12」、徹甲曳光弾である「SP-13」が開発された。

2003年にはSP-12を除くこれらの弾薬はロシア軍に制式採用され、ロシア軍標準の命名法(GRAUインデックス)に則った名称が付けられた。

特徴

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SP-10については、ボディーアーマーを着用した人間に対して効果的な弾薬、すなわち非装甲、装甲目標の両方の効果的な弾薬として開発されたことから、弾丸が特徴的な構造となっている。

軍での制式採用を考慮し、国際条約に適合するため、軟組織に当たった際に弾丸が粉砕されたりせず、かつ一般的な弾丸と同様の重量とエネルギーを発揮することを意図して設計された。

弾丸の構造としては、直径6mmの鋼鉄製徹甲弾芯がジャケット(被甲)で覆われ、徹甲弾芯が弾丸先端から飛び出した構造となっており、ジャケットと弾芯の間にはポリエチレンが充填されている。

これは非装甲箇所(軟組織など)に着弾すると銃創が広がるようにジャケットと弾芯は一体となった状態で貫通し、装甲(ボディーアーマー)に着弾すると弾芯周りのジャケットが容易に外れて弾芯だけが貫通することを意図したため、このような構造となっている。(HVAP/APCRと類似の構造)

上記の特徴が効果的に機能するためには、弾着時の弾速が高速であることが必要であるので、初速を最大化するために弾丸9x19mmFMJ弾に比べる軽量に作られている。

ただ、弾丸が軽量であるということは、弾速が比較的速やかに失われることから、有効射程は限定的である。

弾道学的には9x19mmパラベラム弾の強装弾に近い特徴を持っているが、弾丸が鉛に比べて低比重な素材でありながら通常の9x19mm弾の弾丸により近い重量を達成するために、弾丸の長さを伸ばす必要があり、伸びた弾丸を格納するために9x19mm弾に比べ長い薬莢となっている。[3]

性能

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SP-10は6.7gの弾丸を初速410m/s、銃口エネルギー635Jで打ち出し、50mの距離で1.2mmのチタン板を貫通した上で30層のケブラーも貫通すると報告されている。

SR-1 拳銃から射出した場合、最大50メートル以上の範囲でクラス3のボディーアーマーを確実に貫通することができると言われている。

種類

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各弾種の特徴
名称 GRAU 重量 初期初速 初期エネルギー 説明
RG052 なし 6.7g 415〜420 m/s 635〜640J 鋭い弾芯を備えた1992年の試作装甲貫通弾。
RG054 なし 6.7g 420 m/s 640J RG052の弾芯を変更した2番目の試作。のちにSP-10に改名される。
PS

SP-10

7N29 6.7g 400〜420 m/s 635J 1996年に開発された熱強化スチール製の弾芯とポリエチレン製の被膜、バイメタル製の薬莢を備えた装甲貫通弾。弾芯の先が被膜から飛び出ており、着弾時のエネルギー損失を減らすことでより高い貫通効果を持たせている。弾頭は黒くペイントされている。
SP-10T なし 6.8g 不明 不明 SP-10の曳光弾仕様。SR-2用に1997年に開発された。
SP-10UZ なし 6.6g 不明 不明 SP-10の圧力を強化した試験弾仕様。工場にて銃器の閉鎖機構の強度を試験するために使用される。
SP-10U なし 6.7g なし なし SP-10の訓練弾仕様。発砲機能はなく弾頭は固定されている。
P

SP-11

7N28 7.5g 380〜400 m/s 635J 1997年に開発されたリードコアとバイメタル製の薬莢を備えた通常弾。実弾射撃訓練やアーマーを装着していない目標に使用される。
SP-12 なし 5.7g 400〜425 m/s 600J 1996年に開発された低跳弾性拡張弾仕様。
BT

SP-13

7BT3 7.3g 395〜400 m/s 635J 2000年に開発されたスチール製弾芯とバイメタル製の薬莢を備えた装甲貫通曳光弾。SP-10と同じく被膜から飛び出た弾芯によって高い貫通力があるが、SP-10よりもわずかに精度が劣る。弾頭は緑色にペイントされている。
PP 7N42 不明 不明 不明 バイメタル製の薬莢と潰れた特殊な形状の弾頭を備えた高貫通弾。この弾頭の形状と弾頭から飛び出た弾芯からアーマーを効率的に破壊することができる。
SP-17 なし 不明 不明 不明 2008年に開発された低貫通弾。
不明 7U4 不明 不明 不明 ARMY-2019で公開された装薬を減らしさらに初速を落とした低速弾。

画像

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使用銃

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脚注

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  1. ^ 弾薬の名称が「ギュルザ」ではなく、9x21mmという同一寸法の弾薬が他にも存在し、それらと区別を付けるために付けられたものである。なお、この弾薬を採用したSR-1拳銃には輸出版を含めた幾つかのバリエーション・改良型が存在し、輸出版に"Гюрза"(Gyurza):東方クサリヘビ(Vipera lebetina)の意)というモデルがある。
  2. ^ セルジュコフ拳銃(SPS)としても知られる。
  3. ^ 9x21 SP-10 SP-11 SP-12” (英語). Modern Firearms. 2021年8月10日閲覧。

関連項目

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