B火薬
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B火薬(Poudre B)は最初の無煙火薬である。フランス語で白い粉を意味するブランシュから英語でB火薬と呼ばれるようになった。発明者の名前を取ってビエーユ火薬とも呼ばれる。
1886年にポール・ヴィエイユ(Paul Vieille)というフランスの化学者によって発明された。 当時、ニトロセルロースは新型火薬として期待されながらも不安定で、火薬として使えなかったが、ポールによって初めて安定化させることに成功した。製法は、ニトロセルロースにエタノールとエーテルを加えて柔らかくして一緒にこねて、捏ねた物を薄いシートに丸めて、裁断するか、型によって押し出して形成した。
黒色火薬(当時のフランスではPoudre N(NはNoir=黒の意)と呼ばれていた)より強力で、煙の量が少ないことから、B火薬は使用者に大きな戦術的な有利さをもたらした。後にフランス政府によって採用され、フランス軍はルベルM1886ライフルというこの火薬を使用した新しい8mmカートリッジとライフルを導入した。
B火薬は初速の向上、射程の増加、携行弾薬量の増加をもたらした。
しかし、揮発性の溶媒が蒸発してしまったB火薬は不安定になる傾向があったため、多くの事故が起きた。1890年代にコルダイトなどのより安全な無煙火薬が出現すると使用されなくなった。たとえば、フランスで、1907年に戦艦イエナ、1911年に戦艦リベルテでB火薬の自然発火と思われる爆発事故がおきている。