CHOKKA
CHOKKA(チョッカ)とは、破綻した平成電電が提供していた電話サービスの名称で、同社の登録商標(日本国第4819793号ほか全5件。ロゴは日本第4860699号ほか全4件)である。NTTのドライカッパを利用した一般家庭向けの大規模な直収電話サービスとしては、最も初期に開始されたものの一つである。旧名称は平成電話(へいせいでんわ)。名前の由来は直収電話の別名、直加入電話(ちょっかにゅうでんわ)から。
沿革
[編集]- 2003年6月 - 平成電話の商標でサービス開始
- 2004年6月 - サービス名をCHOKKAに変更
- 2004年10月 - CHOKKAサービスの買収交渉で提示した技術資料を流用して直収サービスを開始しようとしたとして、平成電電が日本テレコム(後のソフトバンクテレコム、現・ソフトバンク)、ソフトバンク(現・ソフトバンクグループ)を提訴
- 2006年3月、平成電電側の敗訴に終わる
- CHOKKAユーザーのおとくライン(日本テレコムの直収電話サービス)への移行が進められる
- 2006年10月31日 - ソフトバンクテレコム、CHOKKAサービス廃止
概要と経緯
[編集]NTTを含む固定電話に対しては国内一律で、当時のNTTの市内通話料金を下回る料金でサービスを提供した。また、定額料支払いにより平成電話利用者間の通話が無料になるオプションも用意されていた。開始当初はIP電話との誤認を避けるため、平成電電のホームページには「平成電電はIP電話ではありません」と表記していた。
本サービスは日本国内での広範な直収電話サービスの嚆矢となるものであった。そのため、平成電電側・NTT側双方の対応に試行錯誤的な面があり(ドライカッパの項を参照)、料金の安さでユーザの注目を集めたものの、申し込みから利用開始までの期間の長さ・回線の品質・サポートの問題等はインターネット上でも広く論議された。また2004年10月には、電話番号の誤指定により総務省から行政指導を受ける[1]など、運営にも問題を抱えていた。
CHOKKAへの改名後、主に法人ユーザーに対して、CHOKKAへの切替で休止状態になった電話加入権の買取も行っていた。またこのころから高橋克典をイメージキャラクターに起用していた。
付加サービスとしては着信課金のフリーチョッカ、ナビダイヤル相当のナビチョッカがあった。番号はフリーチョッカが0120-997-xxx/0120-998-xxx/0800-170-xxxx、ナビチョッカが0570-300-xxxを割り当てられていた。ナビチョッカはCHOKKA加入者とNTTの固定電話以外からかける事はできなかった。また、「でんわ石火」の名称でADSLサービスも提供していた。
その後、2004年末から2005年の間に日本テレコム(おとくライン)・KDDI(メタルプラス)が直収電話に参入し、平成電電は先行参入者の利益を享受できないまま破綻に至ることになった。2005年10月の民事再生手続申請時点での契約回線数は約14.5万回線で、採算ラインの100万回線には遠く及ばなかった[2]。
意義
[編集]電気通信企業を名乗る会社が高利回りをうたい文句に投資家から資金を集めた末に破綻したという点で、平成電電は近未來通信やジャパンメディアネットワーク(JM-NET)、MTCIなどと対比される事がある(この問題については平成電電の項を参照のこと)。
ただ、近未來通信やJM-NETがほとんど通信企業としての活動を行っていなかったほか、MTCIが単なるインターネットサービスプロバイダに過ぎなかったのに対し、平成電電が(上記のように多々問題点が存在した状態ではあったものの)はじめて直収電話を全国的に展開したという点では日本の電気通信史に名を残したと言える。
平成電電の撤退により、特に影響が大きかったのは無料プロバイダ業界である。無料アクセス回線が使えなくなり、次々とサービス廃止を余儀なくされた。一部は日本テレコム(現・ソフトバンクテレコム)回線やKDDI回線に切り替えているが、携帯電話等で利用出来る無料プロバイダは著しく減少した。
脚注
[編集]- ^ “平成電電、電話番号の割り当てに誤り~総務省は行政指導”. INTERNET Watch. (2004年10月29日)
- ^ “CHOKKAはわずか14万5000開通、破綻した平成電電が会見で発表”. 日経コンピュータ. (2005年10月3日)