club集合 (クラブしゅうごう) あるいは閉非有界集合は、極限順序数の部分集合のうち、順序位相の意味で閉であり、基準となっている極限順序数の中で非有界なものである。
club という名前は、closed (閉) と unbounded (非有界) の合成語である。
正式には、 を極限順序数として、 が の中で閉であるということは、任意の に対して、「 ならば 」となることである。従って、 の中の点列の極限が 未満であればそれは に属する。
を極限順序数として、 が の中で非有界であるということは、任意の に対して、 なる が存在するということである。
閉かつ非有界な集合をclub集合という。閉な真クラスも同様に定義される(全ての順序数による真クラスの中で、順序数の任意の真クラスは非有界である)。
例として、可算極限順序数全てによる集合は の中でclubである。しかし、それより大きい極限順序数の中ではclubではない。閉でないし非有界でもないからである。正則基数 に対して、 未満の極限順序数全てによる集合は 内でclubである。
を共終数 の極限順序数とする。ある に対して、列 が のclub集合の列であったとする。このとき、 もclubである。これを見るために、閉集合たちの共通部分は閉集合であるのは簡単なので、この集合が非有界であることを確かめる。
を任意にとる。ある に対して が存在するとき、 から となるように、 をとる。これは各 が非有界だから可能。そして、これらによる集合は順序数 未満の長さであり、この集合の上限は 未満である。そこで、これを と定める。この方法により、可算列 を得る。
この列の極限は の極限でもある。そして各 は閉で が非可算なので、この極限は各 の元であるべきで、これは より真に大きい の元である。これで が非有界であることが示された。このことから、 が正則基数であるとき は非自明な 上の -完備フィルターである。これをclubフィルターといい、 と表す。clubフィルターは対角線共通部分 (diagonal intersection) について閉じている。
これがフィルターであることを見る。
まず、 である( 自身は のclub集合である)。 ならば、 を部分集合としてもつ の部分集合はやはり の元である。
-完備であることは上で証明してあった。よって、これでフィルター性は確認された。
が対角線共通部分について閉じていることを確認する。 をclub集合の列とする。 をその対角線共通部分すなわち とする。 が閉であることを示す。 かつ かつ とする。このとき、 とすると、各 に対して、 である。各 について、 である。従って、 である。よって、閉集合であることは示された。 が非有界であることを示す。 として、可算列 を以下のように定義する: とし、 を、 なるうちでの の最小要素とする。そのような要素は、多くないclub集合の共通部分がclubなので存在する。そして かつ である。それは、全ての について、その要素が の元だからである。よって、 は非有界である。
が正則基数なら、club集合の族の対角線共通部分はclub集合である。さらに言えば、 が正則で を 上のフィルターで対角線共通部分について閉じていて (ただし )の形の集合を全て要素に持つとすると は全てのclub集合を要素に持つ。