F-89 (航空機)
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(F-89 スコーピオンから転送)
F-89 スコーピオン
F-89 スコーピオン(Northrop F-89 Scorpion )は、ノースロップが開発し、アメリカ空軍が運用した戦闘機。
愛称の「スコーピオン(Scorpion)」はさそりの意。全天候戦闘機や要撃機として運用された。
概要
[編集]P-61の後継のジェット夜間戦闘機として、1945年12月より開発が開始され、1950年から実戦配備が行われた。
機体はレーダー手を乗せるためにタンデム複座となっており、機首にレーダーを搭載している。エンジンは胴体下部に並列に装備しており、ノズルは胴体後部、主翼直後にある。尾翼は細いテールの先に設置されており、主翼は中翼配置の直線翼である。
主翼端には増槽を装備できるが、後期型では増槽と武器庫が兼用となった大型ポッドとなった。この大型の増槽のおかげで航続距離は長く、広大な北極海をパトロールする必要があるアラスカの部隊において好評であった。そのため超音速戦闘機が実用化・配備されていき、同時期の単座亜音速全天候戦闘機であるF-86D/Lが退役する一方で、本機は非常に長く使われ、最後の空軍州兵の機体が退役したのは1968年である(航空自衛隊において「アメリカ空軍で余剰になった旧式機」として供与されたF-86Dが退役するのと、同年である)。
各型
[編集]- XF-89
- 試作機。レーダー・FCSが間に合わず、空力的な試験のみを行った。J35-A-9エンジン装備。20mm機関砲4門。1機のみ製造。
- YF-89
- 増加試作機。J35-A-21エンジン装備。主翼端の増槽を固定装備。M24 20mm機関砲6門。
- F-89A
- 初期量産型。空力的な不具合があり11機のみ製造。AN/APG-33レーダー搭載。
- F-89B
- 電子機器・エンジンの換装。37機製造。
- F-89C
- 各所を改良。167機製造。
- YF-89D
- F-89Bを改造。F-89Dのための試作機。1951年10月初飛行。
- F-89D
- 機銃を降ろし、燃料容量を増加させている。さらに主翼端の増槽を大型化、武器庫と兼用になり、ポッドの前部にMk4 FFAR 70mmロケット弾52発(2基計104発)を搭載。
- 682機製造。内77機はAIM-4 ファルコン空対空ミサイル3発と70mmロケット弾21発のポッドを搭載。AN/APG-40レーダー。
- YF-89E
- J71エンジン搭載。試作1機のみ。
- F-89F
- J47エンジン搭載。計画のみ。
- F-89H
- D型よりFCSを改良。156機製造。
- F-89J
- F-89Dより改造。ジニーミサイルを装備可能。350機改造。
要目(F-89D)
[編集]- 全長:16.40m
- 全幅:18.41m
- 全高:5.33m
- 自重:11t
- エンジン:J-35-A-33ターボジェット(推力 2.4t)2基
- 乗員:2名
- 最大速度:1,020km/h
- 武装:Mk4 FFAR 70mmマイティ・マウス空対空ロケット弾52発計104連装2基、127㎜空対空16連装、爆弾1,500kg相当、AIM-4 ファルコン空対空ミサイル3発、AIR-2ジニー空対空核ロケット2発
- アビオニクス:AN/APG-40レーダー
参考文献
[編集]- ミリタリーエアクラフト 1994年1月号 「アメリカ空軍戦闘機 1945-1993」 P.68 デルタ出版
- 航空ファン別冊 No.32 アメリカ軍用機1945~1986 空軍編 文林堂 雑誌コード 03344-8 1986年