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GLM (企業)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
GLM株式会社
GLM.Co.,LTD.
本社
本社
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
612-8418
京都府京都市伏見区竹田向代町74-3
北緯34度58分1.5秒 東経135度45分22.2秒 / 北緯34.967083度 東経135.756167度 / 34.967083; 135.756167座標: 北緯34度58分1.5秒 東経135度45分22.2秒 / 北緯34.967083度 東経135.756167度 / 34.967083; 135.756167
設立 2010年4月
業種 輸送用機器
法人番号 1130001045121 ウィキデータを編集
事業内容 環境対応自動車の開発・販売、それに付随するサービスの開発
代表者 宮下祐一
資本金 1億円
売上高 1066万3000円
(2021年3月期)[1]
営業利益 △5億5102万7000円
(2021年3月期)[1]
経常利益 △5870万円
(2021年3月期)[1]
純利益 △5億9,306万9,000円
(2024年3月期)[2]
総資産 8億2,746万5,000円
(2024年3月期)[2]
従業員数 27人
外部リンク glm.jp
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GLM株式会社GLM.Co.,LTD.)は、京都府京都市伏見区に本社を置く企業である。主な事業として電気自動車(EV)の開発、販売等を行っている。

概要

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2006年京都大学VBL(ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー)で発足した「京都電気自動車プロジェクト」を、2010年4月に事業化してグリーンロードモータース株式会社を設立[3]。2014年4月にGLM株式会社に社名を変更した[4]。2018年に京都市伏見区に4階建ての本社機能を備えたテクニカルセンターを竣工した。[5]

自社ブランドによる完成車事業と他社への技術協力や共同・受託開発などを行うプラットフォーム事業を展開。これまでに旭化成帝人東洋ゴム工業などと共同開発を発表している[6]。2016年9月には安川電機がGLMとの資本提携を発表[7]。2017年7月に香港のメーンボード上場のオーラックスHD(2018年に WE Solutions Limited へ社名変更)と資本提携した[8]

トミーカイラZZ(Tommykaira ZZ)

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Tommykaira ZZ

GLM初の車両がスポーツカータイプの電気自動車「トミーカイラZZ(ジージー)」である。国産のEVとしても初となるスポーツカーの量産モデル[9]自衛隊水陸両用車なども手掛ける京都府舞鶴市の小阪金属工業の専用ファクトリーで2015年10月から本格的な量産を開始している[10]。販売価格は税抜800万円で、99台限定で販売中。

シャシーに高剛性アルミニウムを、外装フレームに繊維強化プラスチック(FRP)を採用し、普通乗用車規格のEVでありながら車重は1tを切る軽量化に成功。「公道を走るレーシングカー」をコンセプトに、パワステブレーキブースタートラクションコントロールシステムに至るまでを排除、自らが主体的に操縦する楽しさを重視して設計されている。最大出力225kW (305PS)の高出力モーターを装備し、0-100km/hまでの加速は3.9秒を達成している。2人乗りのオープンカータイプで、最高速度は180km/h。1回の充電による航続距離は120km。オプションでソフトトップが装備可能[11]

京都のトミタ夢工場が生産していた「トミーカイラZZ」(1997年 - 2001年にかけ世界で206台を販売)のコンセプトや車名、ロゴマークを継承している[12]。海外の高級スポーツカーと同じハンドメードによる生産を行っており、外装カラーなどオーナーの希望に合わせて納車することも可能。モーターバッテリーなど内部構造はもちろん、外観や車体、部品やパーツに至るまで全てをGLMが単独、もしくはパートナー企業と共同で新しく開発している。

開発にはトヨタ自動車レクサスの車体設計を指揮した技術本部長の藤墳裕次や、ガソリン車のZZの開発を行っていた元トミタ夢工場のエンジニアらが携わっている。2011年10月の新車開発スタートから専用ファクトリーでの本格量産まで4年を要して完成した[13]

2015年にはイギリスの世界的なモータースポーツイベント「Goodwood Festival of Speed」に出展を果たした[14]

プラットフォーム事業

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同社が展開するEVに特化した自動車エンジニアリングサービスとノウハウを提供する事業。主に国内外自動車メーカーへの研究開発支援や量産支援、部品・素材・化学・ITメーカー等の自動車関連事業の技術・開発支援を行なっている。

EVプラットフォーム

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第1世代プラットフォーム

車台(フレーム・シャシー・ステアリングサスペンション等)とパワートレイン(モーター・バッテリー・車両制御ユニット等)で構成する車体。走行に必要な部品を全て備え、それ自体で走行可能な強度・剛性を併せ持つ設計になっている。プラットフォーム事業の中核を成す技術で、この車両をベースに研究開発を行うことで、開発にかかるコストや時間を大幅に短縮することが可能。特徴は各部分をモジュール化している点で、パワートレインや足回りなどを部分的に他社に提供することもできる。

第1世代プラットフォーム
トミーカイラZZに使われているプラットフォーム。人が乗る中央部分(バスタブ部分)は強度を高めた高剛性アルミ合金を使用し、前方から後方まで曲げ加工による一体成形を施している。これによりコーナリング時にも非常に高い捻り剛性を可能にし、高度な運動性能を実現している[15]。構造を支えるメーンフレームは特許を取得。モジュール化したパワートレイン部分は旭化成のコンセプトカー「AKXY」にも使用されている。[16]
第2世代プラットフォーム
現在開発中のもので、第1世代と比べて多車種の自動車に応用・展開できるフレキシブルさを持つ。2018年3月にGLMは「当面、開発リソースをプラットフォーム事業へ注力する」とした経営方針を発表し、その中核を担う次世代型プラットフォーム(第2世代)の開発を行うことを同時に宣言した。中でも、主要基盤となる「EVシステム(モーター・インバーター・バッテリー・制御システム等)」を開発の中心に据えており、車両の各種電子部品やシステムを協調制御する高機能な製品を目指すとしている。また先進運転支援システム(ADAS)や、車載ソフトウェアの無線アップデート(OTA)などIT分野の市場ニーズにも順応できるように準備を進めている。[17]同社は自社ブランド完成車への搭載も想定しており、企画が見直しとなった後述のGLM G4はこのプラットフォームを使った新たな完成車として市場への投入が検討されている。

事業例

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AKXY(アクシー)

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2017年5月に旭化成が発表したSUVのコンセプトカー「AKXY」はGLMが車両のデザイン、車台およびパワートレインの設計を担当した[18]。車内外には旭化成が持つ27の部材やシステムが使用されている。パワートレインにはトミーカイラZZに使用している第1世代プラットフォームのものが搭載されているため、コンセプトカーでありながら走行可能である。

名前の由来は「Asahi Kasei ×(かける)You(顧客)」[19]。人とくるまのテクノロジー展2017にも出展している[20]

完成車事業

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Tommykaira ZZ

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2015年に国産初のスポーツカータイプの電気自動車「トミーカイラZZ」の量産を開始。詳細は上記参照。

GLM G4

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2016年のパリモーターショーにおいてEVスーパーカー「GLM G4」のコンセプトカーを発表した[21]

G4は、GLMが2016年に株式の一部を取得して資本・業務提携したオランダの自動車メーカーのサヴェージ・リヴァーレ社が販売しているロードヨットGTSの電気自動車版となる。2017年4月のジャパンプレミアでは想定価格4000万円で1000台の販売を計画していることを発表した。

しかし、2018年3月にプラットフォーム事業へ注力するとした経営方針を打ち出し「第2世代プラットフォーム」の開発に専念すると公表。それに伴いG4は販売地域、販売価格、スペックなどすべての企画を見直すこととなったが、同社はこの第2世代プラットフォームを搭載した新たな車両として発表するとしている。

MiMoS(ミモス)

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2023年8月17日、取り扱い開始[22]中華人民共和国の嘉远汽车(JIAYUAN)製のマイクロカー「KOMI」を日本市場向けに改良したモデルで、軽自動車規格のEVとなる。シェアリングサービスを検討している行政機関や企業向けに販売およびリースを予定している[23]

経営方針

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水平分業モデル

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同社は水平分業モデルでの事業を展開している。従来の自動車産業のようにサプライヤーに対する一方的な作業指示ではなく、EV開発コンセプト、開発状況、必要な部品内容、部品の形状理由や仕様理由などをある程度公開し、双方向の情報開示をベースに部品の共同開発を行っている。そのため協力企業は自社の最先端技術を早期活用し、そして情報共有化を通じた新たなノウハウを獲得できる[24]

GLMは自動車関連企業・機関との協力関係を「GLMエコシステム」と呼んでいる。参画企業は増加の一途を辿り、同社EVの品質と開発スピードアップを支えている。現在はGSユアサニチコンBOSCHグループを始めとする200社以上にも及ぶ関係を築いており、自社の車両開発リソースだけでなくサプライヤーとの関係も用いた車両開発を行えるのが強みである[25]

製品

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脚注

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  1. ^ a b c GLM株式会社 第11期決算公告
  2. ^ a b GLM株式会社 第14期決算公告
  3. ^ “「GLM」京都発EVベンチャーが世界に挑む”. BUSINESS ECOSYSTEM【日本ユニシス】. (2017年3月31日). https://businessecosystem.unisys.co.jp/glm-electric-vehicles/ 2017年7月5日閲覧。 
  4. ^ 社名変更のお知らせ”. GLM. 2018年3月20日閲覧。
  5. ^ GLM、EV特化型の新社屋/研究開発拠点を京都市内に開設”. マイナビニュース (2018年11月8日). 2018年12月26日閲覧。
  6. ^ 「第2世代プラットフォーム」を開発”. GLM. 2018年3月20日閲覧。[リンク切れ]
  7. ^ EVベンチャー企業 GLM株式会社との資本提携について安川電機(2016年9月15日)2019年9月23日閲覧
  8. ^ GLM代表の小間裕康が 香港のオーラックスHD取締役に就任”. GLM. 2018年3月20日閲覧。[リンク切れ]
  9. ^ 「GLM」京都発EVベンチャーが世界に挑む”. 日本ユニシス. 2018年3月20日閲覧。
  10. ^ トミーカイラZZ の溶接・組立てが行われる舞鶴…軍艦からEV、北陸新幹線へ”. レスポンス. 2018年3月20日閲覧。
  11. ^ TommykairaZZ.com”. GLM. 2018 年3月20日閲覧。
  12. ^ HISTORY|TommykairaZZbyGLM”. GLM. 2018年3月20日閲覧。
  13. ^ 「トミーカイラZZ」EV版を作った男の真実”. アルファポリス. 2018年3月20日閲覧。
  14. ^ GLMのEVスポーツカー、グッドウッドを走る”. AUTOCAR JAPAN. 2018年3月20日閲覧。
  15. ^ トミーカイラZZオフィシャルサイト”. GLM. 2018年3月20日閲覧。
  16. ^ GLM×旭化成のコンセプトカー「AKXY」開発の経緯と狙い”. TOYOTA MOTOR CORPORATION. 2018年3月20日閲覧。
  17. ^ 第2世代プラットフォームを開発”. GLM. 2018年3月20日閲覧。[リンク切れ]
  18. ^ “【旭化成 GLM アクシー】産学連携で生まれたEVスポーツのプラットフォームを活かす”. Response. (2017年5月17日). https://response.jp/article/2017/05/17/294835.html 2017年7月5日閲覧。 
  19. ^ “旭化成×GLM、EVコンセプトカー「AKXY」発表”. マイナビ. (2017年5月17日). https://news.mynavi.jp/techplus/article/20170517-a279/ 2017年7月5日閲覧。 
  20. ^ “【人とくるまのテクノロジー2017】旭化成、コンセプトEV アクシー を展示…自動車関連ビジネスを3倍に”. Response. (2017年5月25日). https://response.jp/article/2017/05/25/295248.html 2017年7月5日閲覧。 
  21. ^ “【GLM G4】日本初のEVスーパーカー、2019年市販へ…想定価格4000万円”. Response. (2017年4月18日). https://response.jp/article/2017/04/18/293647.html 2017年7月5日閲覧。 
  22. ^ “電気自動車(EV)の開発を行うGLMが軽自動車規格の小型EVを日本市場へ導入開始”. GLM プレスリリース. (2023年8月17日). https://glm.jp/pressrelease/20230817 2024年2月6日閲覧。 
  23. ^ “日産サクラも戦々恐々!? コスパ最強!? GLMミモスが軽EV市場に殴り込む”. 現在ビジネス. (2023年9月9日). https://gendai.media/articles/-/115939?page=2 2024年2月6日閲覧。 
  24. ^ 京大発EVベンチャー 「隠し包丁」と「礼節」で世界を席巻”. 『事業構想』. 2018年3月20日閲覧。
  25. ^ “京を拓く/49 GLM ベンチャー、電気自動車を量産 /京都”. 毎日新聞. (2017年12月12日) 

外部リンク

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