GROUSE ARROW
GROUSE ARROW | |
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基本情報 | |
船種 | ばら積み貨物船 |
船籍 | バハマ |
所有者 | La Tour Blance Shipping Corpolation.[1] |
建造所 | 三井造船玉野造船所 |
航行区域 | 遠洋区域 |
船級 | DnV |
IMO番号 | 8918215 |
MMSI番号 | 308077000 |
経歴 | |
竣工 | 1991年7月[1] |
現況 | 現役 |
要目 | |
総トン数 | 44,398トン[1] |
載貨重量 | 42,276トン[1] |
全長 | 185.2m[1] |
垂線間長 | 175m[1] |
幅 | 30m[1] |
深さ | 18.2m[1] |
喫水 | 12.2m(夏季満載喫水)[1] |
主機関 | 三井B&W 5 S60MC型 1基[1] |
最大速力 | 17.45ノット(試運転時)[1] |
乗組員 | 30名[1] |
GROUSE ARROW(グラウス アロー)は、1991年に竣工したばら積み貨物船である。新聞巻取紙など濡損を嫌う貨物を考慮し、ホールド(貨物艙)上部の全面を鋼構造の屋根で覆った、世界初の全天候型ばら積み貨物船として建造された。
構造
[編集]「トータリーエンクローズドタイプ・バルクキャリア」と称する、全天候型荷役可能な構造を持つ船舶である[2]。上甲板全面は全長150m、幅30m、高さ13mの鋼構造の屋根で覆われ、内部には横隔壁のない大スパンの構造になっている[1]。屋根の構造は燃費やコストを考慮すると薄い方がいいが、荷役用クレーンを安定して稼働させるためには十分な強度が求められ、材質の選択や強度の計算が要求された[3]。ホールドは第1~第6まであり、そのうち第2~第5艙は左右舷に分かれている。各艙は内部が平滑な箱型の形状を持つ[1]。ハッチはなく、そのためハッチコーミングより上部まで貨物を積みつけることが可能である。反面、ハッチがないことから区画ごとの湿度管理ができないため、全区画の湿度を制御する除湿装置や、機関室内の暖気の利用などの工夫が行われている[4]。天井に設置された2基のクレーンはいずれも第1~第6まで全艙の荷役が可能で、船外への積み下ろしは第2・第5艙の左舷に設けたサイドポートから行う。雨天時には扉の裏側に格納された防水カーテンで、積み荷を濡らさず荷役することが可能である[5]。荷役は船内のクレーンでしか行えず、船外への積み下ろしはサイドポートを介してしか行うことができないため、クレーンには高い信頼性と迅速性が求められた[1]。荷役効率を高めるため、クレーンには半自動運転システムが搭載されている[4]。機関部は後部にあり、居住区の一部はホールド中央の上部に配置される[1]。
本船は岡山県玉野市の三井造船玉野造船所で1991年(平成3年)に竣工し、ノルウェーの船会社に引き渡された[3]。1992年3月に竣工し、La Tour Rouge Shipping Corpolationに引き渡された同型の2番船「MOZU ARROW」とともに、日本を含む東アジアとカナダ西海岸の間でペーパーロールやパルプベール、アルミニウムインゴット[1]、鉄鋼コイル[4]などを輸送する。
本船の独創的な構造は、船主からの提案に基づく。本船と「MOZU ARROW」を含め、同型船は3隻建造されたが、それ以降は建造されることはなかったようである[3]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 三井造船船舶海洋基本設計部「世界初の全天候型撤積運搬船“GROUSE ARROW”&“MOZU ARROW”の概要」(PDF)『船の科学』第15巻第1号、船舶技術協会、1992年5月10日、38-43頁、2020年9月12日閲覧。
- 三井造船「世界初の全天候型パラ積運搬船"グラウスアロー号"」『Techno marine 日本造船学会誌』第751巻、日本造船学会、1992年、63頁、ISSN 0916-8699、NAID 110003869089、2020年9月13日閲覧。
- 吉識 恒夫『造船技術の進展―世界を制した専用船―』成山堂書店、2007年10月8日。ISBN 978-4-425-30321-2。