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IAI アラバ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

IAI アラバ

IAI アラバ 201

IAI アラバ 201

IAI アラバ(ヘブライ語:עֲרָבָהヨルダン地溝帯アラバの谷から命名)は、イスラエルイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)が1960年代遅くに製造した小型STOL多用途輸送機である。

アラバはIAIが設計して量産に入った最初の主要な航空機であり、軍用と民間向け双方の市場を狙っていたが、比較的少数が生産されただけであった。顧客は主に第三世界の諸国で、スワジランドタイ王国といった国と共に特に中央アメリカ南アメリカの国々であった。

設計と開発

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アラバの設計作業は1965年に始まり、その設計の目的にはSTOL性能、不整地滑走路からの運用、20名の乗客や嵩張る積荷の搭載といったものが含まれていた[1]。これらを実現するために設計は比較的風変わりなものとなった。

貨物扉を開いた状態のアラバ

アラバの胴体は状の短いが幅の広いもので、胴体後部は蝶番により横開きすることで荷物の積み下ろしを容易にしていた。翼幅は長く、尾翼はエンジンナセルから延びる2本のブームに支えられていた。固定式の首車輪式降着装置は重量を低減するためで、双発の動力には出力715 eshp (533 kW)のプラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6A-27 ターボプロップエンジンが選定された[2]

試作初号機は1969年11月27日に初飛行を行い、試作2号機は1970年11月19日の試験飛行中に主翼の支柱がフラッターを起こして折損したために破壊された[3]。試作3号機は1971年5月8日に進空した[3][4]第四次中東戦争では3機が徴発されてイスラエル空軍第122飛行隊により使用された[5][6][7]が、戦争後に返還された。また、第103飛行隊でも民間型のアラバ101が徴発され、負傷者の輸送に使用された[8]

イスラエル空軍は当初アラバを制式採用しなかったが、1983年に9機を購入した[5]1988年の生産終了までに103機が作られ[5]、その内70機が軍用市場向けであった。2004年にイスラエル空軍はアラバを退役させることを決めた[5]が、数か国ではいまだに現役で使用され続けている。

派生型

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主翼を改良した長胴型のアラバ 202
IAI 101
民間輸送機型
IAI 102
標準仕様で20名まで、VIP仕様で12名までの乗客が搭乗可能な民間旅客機型
IAI 102B
民間輸送機型
IAI 201
軍用輸送機型
IAI 202
改良された主翼を持つ長胴の改造型

軍用版は対潜戦ガンシップといった役割に応じてさまざまな武装を装備することができた。この武装には胴体側面のガンパック(通常はブローニングM2重機関銃)、これに加えて後部胴体に3丁目の機関銃や胴体側面に備える2つの6 x 82 mmロケット弾ポッド、魚雷ソナー浮標といったものがあった。

もう一つのあまり知られていない軍用型は電子戦用の202Bである。この型は僅かな数が作られ、主胴体の前部と後部に大型のレドームを備えていることが特徴であった。このレドーム内には電子戦用機器が内蔵されていた。

運用

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IAI アラバの運用国
アルゼンチンの旗 アルゼンチン
  • Gobierno de Tierra Del Fuego - Dirección Provincial de Aeronáutica
ボリビアの旗 ボリビア
カメルーンの旗 カメルーン
 コロンビア
エクアドルの旗 エクアドル
エルサルバドルの旗 エルサルバドル
グアテマラの旗 グアテマラ
ハイチの旗 ハイチ
ホンジュラスの旗 ホンジュラス
イスラエルの旗 イスラエル
リベリアの旗 リベリア
メキシコの旗 メキシコ
ニカラグアの旗 ニカラグア
パプアニューギニアの旗 パプアニューギニア
エスワティニの旗 エスワティニ
タイ王国の旗 タイ
ベネズエラの旗 ベネズエラ

要目 (IAI 201)

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IAI Arava 201
納入前に1975年のパリ航空ショーに展示されるエルサルバドル空軍のアラバ 201

出典: Jane's All The World's Aircraft 1982-83.[17]

諸元

性能

  • 最大速度: 326 km/h (176 knots) 202 mph 高度3,050 m (10,000 ft)にて
  • 巡航速度: 319 km/h (172 knots) 198 mph 高度3,050 m (10,000 ft)にて
  • 失速速度: 115 km/h (62 knots) 71.5 mph(フラップ下げ状態で)
  • 航続距離: 1,056 km (570 nmi) 656 mi(燃料満載状態で)
  • 実用上昇限度: 7,620 m (25,000 ft)
  • 上昇率: 6.6 m/s (1,290 ft/min)


お知らせ。 使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

関連項目

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出典

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  1. ^ Cohen 1974, p. 57.
  2. ^ Cohen 1974, pp. 57, 59.
  3. ^ a b Cohen 1974, p. 59.
  4. ^ Air Progress: 22. (October 1971). 
  5. ^ a b c d John Pike. “IAI-201 Arava”. 6 February 2015閲覧。
  6. ^ 122 Squadron - The Dakota, Globalsecurity.org, http://www.globalsecurity.org/military/world/israel/122squadron.htm 
  7. ^ aeroflight.co.uk 122sqn
  8. ^ aeroflight.co.uk 103sqn
  9. ^ Siegrist 1987, p. 176.
  10. ^ Photos: Israel Aircraft Industries IAI-201 Arava Aircraft Pictures - Airliners.net”. 6 February 2015閲覧。
  11. ^ WebInfomil. “IAI ARAVA 201”. 6 February 2015閲覧。
  12. ^ a b Hoyle 2015, p. 37.
  13. ^ a b Hoyle 2015, p. 39.
  14. ^ Hoyle 2015, p. 45.
  15. ^ Hoyle 2015, p. 50.
  16. ^ Hoyle 2015, p. 53.
  17. ^ Taylor 1982, pp. 123–124.
  • Cohen, Irvine J. "Arava: Israel's first-born bids for world market". Air Enthusiast International, February 1974, Vol 6, No 2. pp. 55–61, 92–93.
  • Hoyle, Craig. "World Air Forces 2015". Flight International, 8–14 December 2015, Vol. 188, No. 5517. pp. 26–53. ISSN 0015-3710.
  • Siegrist, Martin. "Bolivian Air Power — Seventy Years On". Air International, Vol. 33, No. 4, October 1987. pp. 170–176, 194. ISSN 0306-5634.
  • Taylor, John W. R. Jane's All The World's Aircraft 1982-83. London:Jane's Yearbooks, 1982. ISBN 0-7106-0748-2.

外部リンク

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