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LPDDR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
LPDDR5から転送)
LPDDR:Samsung K4X2G323PD-8GD8

Low-Power Double Data RateLPDDR)は、省電力に特化したSDRAMの派生規格のメモリである。LPDDR SDRAM、また初期のものはモバイルDDR(mDDR)とも呼ばれる。

特徴

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消費電力が少ないため、主にノートパソコンや携帯電話などのデバイスを対象として使用されている。

最新のLPDDRは、モバイルアプリケーションにより適合した技術が用いられており、DDR SDRAMとは数多くの違いがある[1]。また、LPDDRのテクノロジ標準は本家のDDRとは独立して開発されており、LPDDR5においてはDDR5 SDRAMより以前に実装された。

バス幅

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さまざまなLPDDR世代のプロパティ
LPDDR 1 1E 2 2E 3 3E 4 4X 5 5X
最大密度 32ビット 64ビット 64ビット 32ビット 32ビット
メモリクロック(MHz) 200 266.7 200 266.7 200 266.7 200 266.7 400 533
プリフェッチサイズ 2 n 4 n 8 n 16 n
メモリ密度 64Mb

8Gb

1Gb

32Gb

4ギガバイト

32Gb

4ギガバイト

32Gb

I/Oバスクロック周波数(MHz) 200 266.7 400 533.3 800 1067 1600 2133 3200 4267
データ転送速度(DDR)(MT/s)[注釈 1] 400 533.3 800 1067 1600 2133 3200 4267 6400 8533
供給電圧 1.8 V 1.2、1.8 V 1.2、1.8 V 1.1、1.8 V 0.6、1.1、1.8 V 0.5、1.05、1.8 V 0.5、1.05、1.8 V
コマンド/アドレスバス 19ビット、SDR 10ビット、DDR 6ビット、SDR 7ビット、DDR

ステーショナリデバイスやラップトップで使用され、64ビット幅のメモリバスで接続される標準のSDRAMとは対照的に、LPDDRは16ビットまたは32ビット幅のチャネルも利用できる[2]

「E」バージョンは、仕様の拡張バージョンを示す。これらは、33%のパフォーマンス向上のために、最大266.7MHzのメモリアレイのオーバークロックを型式化した。これらのより高い周波数を実装するメモリモジュールは、 Apple MacBookやゲーミングノートパソコンで使用されている。

標準のSDRAMと同様に、ほとんどの世代は内部フェッチサイズと外部転送速度を2倍にする(DDR4とLPDDR5は例外)に、LPDDRは16ビットまたは32ビット幅のチャネルも利用できる[2]

世代

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LPDDR(1)

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オリジナルの低消費電力DDR(LPDDR1と呼ばれることもあります。)は、2006年にリリースされ、DDR SDRAMをわずかに改良した形態であり、全体的な消費電力を抑えるためにいくつかの変更が加えられています。

最も重要な変更点は、供給電圧が2.5Vから1.8Vに減少したことです。さらに、温度補償リフレッシュ(低温時にはDRAMのリフレッシュが少なくて済む)、部分アレイのセルフリフレッシュ、メモリの内容をすべて犠牲にする「ディープパワーダウン」モードなどによって、追加の省電力が実現されています。また、チップのサイズが小さくなり、非モバイル版と比べて基板スペースを節約しています。この技術は、サムスンマイクロンが主な提供者であり、iPhone 3GS、初代iPad、Samsung Galaxy Tab 7.0、Motorola Droid Xなどのタブレットやスマートフォンに使用されています。

LPDDR2

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LPDDR3

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LPDDR4

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LPDDR4X

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LPDDR5

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LPDDR5X

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2021年7月28日、JEDECはJESD209-5B、LPDDR5Xの規格を発表した[3]

  • 最大8533 Mbit/sまで向上した速度
  • tx/rxイコライゼーションによるシグナルインテグリティの改善
  • 新しいアダプティブリフレッシュ管理機能による信頼性の向上[4]
  • プリフェッチは16nでLPDDR5と同じ

2021年11月9日、サムスン電子は業界初のLPDDR5X DRAMを開発したと発表した[4]。サムスンの実装には、14nmプロセスノードで16ギガビット(2GB)ダイが製造され、1つのパッケージに最大32ダイ(64GB)のモジュールが可能である[4]。同社によれば、新しいモジュールはLPDDR5よりも20%省電力となった。

2021年11月19日、マイクロンは、MediaTekがマイクロンのLPDDR5X DRAMのDimensity 9000 5Gへの検証を完了したと発表した[5]

2024年4月、マイロンは9.6Gbps LPDDR5X DRAMをサンプル出荷している[6]。一方、サムスンは10.7Gbps製品を2024年後半に出荷開始すると発表した[7]

LPDDR5T
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2023年1月25日、SKハイニックスは業界初の「LPDDR5T (Low Power Double Data Rate 5 Turbo)」を開発したと発表した。最大9.6Gbpsまで速度が向上している。製造は第4世代の10nmプロセスにあたる“1anm”で、16GBが製品として提供される[8]

2023年10月25日、SKハイニックスはQualcomm TechnologiesのSoC, Snapdragon 8 Gen 3 Mobile Platformとの互換性検証を完了したと発表した[9]

2023年11月6日、MediaTekはSoC, Dimensity 9300にLPDDR5Tを採用と発表した[10]

CAMM2(Compression Attached Memory Module)は、DellのエンジニアTom SchnellによってIntelと共同で、開発された交換可能なLPDDR5/5Xモジュール規格である。2023年初旬にJEDECが標準化を目指していることが明らかとなった[11]

2023年12月5日、JEDECが標準化を発表した[12]

脚注

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注釈

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  1. ^ Equivalently, Mbit/s/pin.

出典

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  1. ^ Marc Greenberg (2014年1月10日). “When is LPDDR3 not LPDDR3? When it's DDR3L…”. Committed to Memory blog. 16 July 2021閲覧。
  2. ^ a b LPDDR”. Texas Instruments wiki. 2015年3月10日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ 新規格「LPDDR5X」メモリが発表!最大8,533Mbpsのデータ転送速度、「Mi 12」にて初搭載か|SIM太郎”. simtaro.com. 2023年2月25日閲覧。
  4. ^ a b c 株式会社インプレス (2021年11月11日). “Samsung、業界初を謳うLPDDR5X DRAMを開発。1.3倍高速化しつつ省電力化”. PC Watch. 2023年2月25日閲覧。
  5. ^ マイクロンとメディアテックがLPDDR5Xの検証を初めて完了”. Micron. 2023年2月25日閲覧。
  6. ^ マイクロンの高性能な低消費電力モバイルDRAMがAIエクスペリエンスの電力効率の向上を実現”. jp.micron.com. 2024年11月5日閲覧。
  7. ^ Shilov, Anton. “Samsung Unveils 10.7Gbps LPDDR5X Memory - The Fastest Yet”. www.anandtech.com. 2024年11月5日閲覧。
  8. ^ 株式会社インプレス (2023年1月26日). “SK hynix、世界最速のモバイル用DRAM「LPDDR5 “Turbo”」”. PC Watch. 2024年1月3日閲覧。
  9. ^ SK hynixの高速モバイルDRAM「LPDDR5T」、QualcommのSoCとの互換性検証を完了”. TECH+(テックプラス) (2023年10月31日). 2024年1月3日閲覧。
  10. ^ 株式会社インプレス (2023年11月7日). “MediaTek、AI性能大幅強化の最上位SoC「Dimensity 9300」”. PC Watch. 2024年1月3日閲覧。
  11. ^ 株式会社インプレス (2023年1月18日). “【やじうまPC Watch】 SO-DIMMに代わる次世代ノートPC向けメモリ規格。2023年後半にも策定へ”. PC Watch. 2024年1月3日閲覧。
  12. ^ 株式会社インプレス (2023年12月12日). “JEDEC、メモリモジュールの新規格「CAMM2」を発表”. PC Watch. 2024年1月3日閲覧。

外部リンク

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