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LS-Aロケット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
LS-Bロケットから転送)

LS-Aロケットとは科学技術庁研究調整局航空宇宙課宇宙開発室(後の科学技術庁宇宙開発推進本部、宇宙開発事業団宇宙航空研究開発機構)が開発した技術試験用の2段式ロケットである。本項では発展型であるLS-Bロケットについても記述する。

概要

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1961年に高度100kmに到達可能な液体燃料観測ロケットとして委託試作が開始された。当時既にカッパロケットが既に運用されており、この用途に液体ロケットを用いるのはオーバースペックだという意見もあったが、将来の実用衛星打ち上げロケットに使う液体ロケットエンジンの先行研究という目的もあり、この方式をとることとなった。射場としては防衛庁新島試験場が用いられた。当初は防衛庁の施設を借用することに対して強い反対意見もあったが、最終的には「国民の税金によって作られた施設を利用するのは当然」という意見が大勢を占め、現地視察の後、新島試験場の使用が決定された[1]

LSは第2段が液体(英語: Liquid)ロケット、第1段が固体(英語: Solid)ロケットであることを意味する[1]

構成・諸元

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第1段に固体ロケット、第2段には酸化剤として硝酸を用い、燃料としてケロシンを用いる液体ロケットを使用した2段式の構成をもつ。第1段は東京大学生産技術研究所SR班の固体燃料ロケットで実績のあるプリンス自動車、第2段は秋水や防衛庁の液体ロケット研究で実績のある三菱造船が製造を担当した[1]

当初第1段は東大で開発済みのロケットモータを使用する計画であったが、その交渉に手間取ったため1機目の飛翔実験に間に合わず、推進剤を減らした上段(サステーナ)のみを単段式ロケットとして実験を行った[1]

主要諸元一覧[1][2]
諸元
全長 7.553m
全備質量 765kg
ペイロード 40kg
段数 第1段 第2段
各段全長 3.008m 4.545m
直径 350mm 300mm
各段点火時質量 765kg 290kg
推進薬 過安系コンポジット 硝酸/ケロシン
推進薬質量 300kg 140kg
平均推力 6tf 1tf
比推力 217s 195s
燃焼時間 10s 25s
燃焼圧 45kg/cm2 20kg/cm2
質量比 1.65 1.93

飛翔実績

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号番 飛翔日時(JST) 場所 目的 成否 備考
LS-Aサステーナ 1963年 8月10日 12:17 新島試験場 液体ロケットエンジンの性能確認、ノーズコーンの分離機構確認及び回収、搭載機器作動状況確認、飛しょう性能確認 失敗 点火数秒後に突風に煽られ点検用開口部のクラックが急速に成長し空中分解
LS-A1号機 1964年 7月22日 11:50 新島試験場 液体ロケットエンジンの性能確認 成功
LS-A2号機 1964年 7月22日 17:55 新島試験場 液体ロケットエンジンの性能確認 成功
LS-A3号機 1965年 11月22日 15:35 新島試験場 液体ロケットエンジンの飛翔性能試験 成功

LS-Bロケット

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LS-Aロケットの大型化を目的として1962年から開発されたもの。第2段液体燃料ロケットのみが試作され、1964年にエンジン組み合わせ燃焼試験が行われた。この地上燃焼試験をもってLS-Bロケットの開発は終了した[1]。後にLS-Cロケットの2段目として流用されたと推定される。[3]

主要諸元一覧[2]
  • 全長 : 7.6m
  • 直径 : 520 mm
  • 全備質量 : 1,434 kg
  • 平均推力 : 3.5tf
  • 燃焼時間 : 50 s

出典・脚注

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  1. ^ a b c d e f 新版 日本ロケット物語 - 大澤弘之 監修 / 2003年9月 ISBN 4-416-20305-5 p.122-125
  2. ^ a b 我が国の宇宙開発のあゆみ - 科学技術庁 編 / 1978年8月31日 p.15
  3. ^ 日本宇宙開発史(その2) ~ LSロケット ~

関連項目

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外部リンク

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