M-1989 (対空自走砲)
基礎データ | |
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重量 | 7t[1] |
乗員数 | 4名[1] |
装甲・武装 | |
装甲 | 車体前面上部 15mm(原型のGM-575の場合)[2] |
主武装 | AK-230 30mm連装機関砲[3] |
機動力 |
M-1989は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)によって開発された30mm対空自走砲である[3]。また、改良型としてM-1992が存在するほか[3]、搭載砲を23mm機関砲と判断してSPAG-23-2と表記する資料もある[1]。
なお、「M-1989」「M-1992」はアメリカ合衆国国防総省が識別のため付与した名称であり、北朝鮮の制式名ではない[3]。
概要
[編集]北朝鮮は、1980年代の初めごろからレーダーを搭載した対空自走砲の開発を開始したとみられており、1983年末にはアメリカの中央情報局が試作車両の存在を確認している[3]。開発のベースとなったのはソ連製のZSU-23-4対空自走砲とみられ、これは1970年代初頭にソ連から少数を入手したものだと考えられている[3]。
搭載する機関砲は、ZSU-23-4が「AZP-23M」23mm4連装機関砲を搭載したのに対し[2]、「AK-230」30mm連装機関砲を搭載しているとみられる[3](ただし、30mmではなく23mm機関砲を装備しているとする資料も多い[1][4][5])。AK-230は1960年代にソ連で開発された艦載機関砲で、北朝鮮海軍でも使用されている[3]。艦載型は水冷式砲身を持つリボルバーカノンであり、1門あたり毎分1000発の射撃速度と3-4kmの有効射程で、30×210mm砲弾を発射できる[3][6]。これはZSU-23-4の機関砲よりも有効射程が長く、威力の高い砲弾を使用しているため、特に遠距離目標への射撃でZSU-23-4よりも高い能力を持つとみられる[3]。
搭載するレーダーは、外観はZSU-23-4の「RPK-2」に似ているが、こちらも艦載用の「MR-104 ルス(NATOコード:ドラム・ティルト)」に近いとされる[3]。原型のMR-104はAK-230と連携可能な砲管制レーダーで、C/Xバンドで動作する[6]。北朝鮮では国産化が試みられ、他の対空兵器とも組み合わされている[3]。
車体は、ZSU-23-4の「GM-575」車体をベースにしている。原型のGM-575は車体前面上部で15mm(55度)の装甲があり小火器や砲弾片に抗堪できるほか、NBC防護能力を持つが、水陸両用能力はない[2]。
国際戦略研究所の「The Military Balance 2023」では、2023年時点の保有装備としてM-1992が記載されている[5]。
脚注
[編集]- ^ a b c d 金 元奉、光藤 修 編『最新朝鮮半島軍事情報の全貌』講談社、2000年7月25日、60,66,67頁。ISBN 4-06-210279-X。
- ^ a b c 『週刊ワールド・ウェポン 世界の兵器 完全データ・ファイル No7』デアゴスティーニ・ジャパン、2002年11月7日、9-12頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l ステイン・ミッツァー、ヨースト・オリマンス『朝鮮民主主義人民共和国の陸海空軍』大日本絵画、2021年9月30日、78,79,140,161頁。ISBN 978-4-499-23327-9。
- ^ “北朝鮮の軍事力 写真特集”. jiji.com (2012年4月15日). 2024年11月15日閲覧。
- ^ a b The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 263. ISBN 978-1-032-50895-5
- ^ a b 『世界の艦船増刊 第811集 世界の艦載兵器』海人社、2014年12月17日、116,164,165頁。