mP6
生産時期 | 1998から1999まで |
---|---|
販売者 | Rise Technology |
設計者 | Rise Technology |
生産者 | TSMC[1] |
CPU周波数 | 166 MHz から 250 MHz |
FSB周波数 | 83 MHz から 100 MHz |
プロセスルール | 0.18 µm から 0.25 µm |
アーキテクチャ | x86-16, IA-32 |
マイクロアーキテクチャ | 8段 (整数)/4段 (浮動小数点)、3命令同時発行 |
コア数 | 1 |
ソケット | Super Socket 7 |
パッケージ |
PPGA-296 |
コードネーム |
Kirin Lynx |
L1キャッシュ | 16 KiB |
L2キャッシュ | マザーボード依存 |
L3キャッシュ | なし |
Rise mP6はRise TechnologyによりIntel Pentiumと対抗するべく設計されたスーパーパイプラインでスーパースカラー[2]のマイクロプロセッサである。
歴史
[編集]Rise Technologyはx86互換マイクロプロセッサの開発に5年を費やし[3]、1998年11月にSuper Socket 7プラットフォーム向けの低コスト、低消費電力の製品として投入した。
設計
[編集]mP6はMMX命令セットを採用し、3つのMMXパイプラインを有することで、最大3つのMMX命令を1サイクルで実行することを可能にした。3つの整数ユニットにより3つの整数命令を1サイクルで実行することも可能になっており、完全にパイプライン化された浮動小数点ユニットにより2つの浮動小数点命令を1サイクルで実行することが可能であった。性能をさらに向上させるため、コアには分岐予測が搭載され、データ従属性による競合を解消するための手法がいくつも用いられた[2]。 同周波数でmP6はIntel Pentium IIとほぼ同等の性能を有するとRiseは主張した[4]。
性能
[編集]先進的な特徴にもかかわらず、mP6の実使用での性能は期待外れであることが明らかになった。これは主にL1キャッシュの容量が少ないことに由来した[4]。もう1つの理由としては、主な競争相手がIntel Celeron 266やIDT WinChip 2-266、そしてAMD K6-2 266であったにもかかわらず、Rise mP6のPR 266レーティングが旧世代の製品であるIntel Pentium MMXに基づいていることがあった[4]。競争相手はいずれもほとんどのベンチマークやアプリケーションにおいてより高い性能を発揮した[4]。Intel CeleronやAMD K6-2は実際に266MHzで動作しており、IDT WinChip 2のPRレーティングはAMDの製品に基づいていた[4]。
採用
[編集]1998年の製品発表後、mP6が幅広く採用されることはなく、Riseは翌年の12月に市場から静かに撤退した。
競争相手であったCyrixやIDTと同様、RiseはIntel及びAMDに立ち向かうことはできないことを認識した。
遺産
[編集]Silicon Integrated Systems (SiS) がmP6の技術のライセンスを受け、SiS 550に使用した。SiS 550はmP6 CPU、チップセット(ノースブリッジ及びサウスブリッジ)、サウンド、ビデオを統合したSystem-on-a-chip (SoC)であった。SiS 550はいくつかのコンパクトPCやDVDプレイヤーのような民生機器に採用された。SiS 551チップはDM&PからVortex86 (M6127D) として販売された。
後にDM&PはmP6の設計をSiSから引き継ぎ、Vortex86 SoC製品ラインの下で開発を続けている。
DM&Pは後にXcoreがVortex86をXcore86としてリブランドすることを許可する契約を行った[5]。
ラインナップ
[編集]モデルナンバー | 周波数 (MHz) |
L1キャッシュ (KB) |
FSB (MHz) |
倍率 | 電圧 (V) |
TDP (W) |
CPUソケット | 発表日 | 部品番号 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PR 166 | 166 | 8 (データ) + 8 (命令) |
83 | 2x | 2.75–2.85 | 7.28 | Super Socket 7 BGA 387 PPGA 296 |
1998年10月13日 | MP6441RPFE4-Q | $50 |
PR 233 | 190 | 8 (データ) + 8 (命令) |
95 | 2x | 2.75–2.85 | 8.11 | Super Socket 7 BGA 387 PPGA 296 |
1998年10月13日 | ||
PR 266 | 200 | 8 (データ) + 8 (命令) |
100 | 2x | 2.75–2.85 | 8.54 | Super Socket 7 BGA 387 PPGA 296 |
1998年10月13日 | MP6441DPFH4-Q MP6441RPFH4-Q |
$70 |
PR 333 | 240 | 8 (データ) + 8 (命令) |
95 | 2.5x | 2 | 10.18 | Super Socket 7 BGA 387 PPGA 296 |
1999年5月26日 サンプルのみ |
MP65RPAPG5-ES | |
PR 366[6] | 250 | 8 (データ) + 8 (命令) |
100 | 2.5x | 2 | 10.72 | Super Socket 7 BGA 387 PPGA 296 |
1999年5月26日 サンプルのみ |
MP65RPAPH5-DS |
脚注
[編集]- ^ “32 BITS: SUPERSCALAR: 4.26. Rise iDragon mP6”. 2017年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月31日閲覧。
- ^ a b c Shvets, Gennadiy (2011年10月8日). “Rise Technology MP6 family”. CPU World. 2024年12月31日閲覧。
- ^ “Rise mP6”. CPU-collection.de. 2024年12月31日閲覧。
- ^ a b c d e f Gravrichenkov, Ilya (1999年5月15日). “Rise mP6 266 Review”. X-bit Laboratories. 2009年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月31日閲覧。
- ^ “Xcore Corporation Ltd. has entered into an agreement with DMP Electronics Inc.”. ロイター通信 (2009年1月6日). 2009年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月31日閲覧。
- ^ Shvets, Gennadiy (2011年10月8日). “Rise Technology MP6 PR 366”. CPU World. 2024年12月31日閲覧。