NAHT
NAHT | |
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ジャンル |
オルタナティヴ・ロック インディー・ロック ポスト・ハードコア エモ |
活動期間 | 1995年 - 2009年 |
レーベル | 391Tones, Time Bomb, トイズファクトリー, Pizza of Death, Less Than TV, SECRETA TRADES |
共同作業者 | cowpers, bloodthirsty butchers, fOUL |
メンバー |
河合盛樹(v,g) 笠井隆洋(d) 羽田剛(b) |
旧メンバー | ワタゾウ(b), ウッチャン(g), 清水泰而(b), ヒサヤ(g), 谷本(g), 八木昌太郎(g),斉藤裕子(violin), Stanley“George”Bodman(g) |
NAHT(ナート)[1]は、日本のオルタナティヴ・ロックバンドである。
概要
[編集]東京のハードコアバンドVolume Dealers, God's Gutsのメンバーにより1995年結成。1996年秋のfugazi来日でオープニングを勤めたのを皮切りにディスコード周辺のバンドとの共同リリースやツアーを活発に行い、2000年にはエモの代表作とされる作品[2]を多く手がけたJ. ロビンス(ex-Jawbox)のプロデュースによるセカンドアルバムをトイズファクトリーからリリースする。これはポストハードコアに関する関心が日本でもアンダーグラウンドの枠を超えて広がりはじめた時期に重なり、音楽ジャンルとしての「ポストハードコア」に言及する際にはNAHTの音楽性がしばしば参照された。
メンバーの入れ替わりが多いバンドであるが、ギター・ヴォーカルの河合とドラムの笠井(God's Guts, 自主レーベル・Less Than TV)が不動のメンバーである。河合は札幌の高校を卒業後上京して音楽活動を目指すが、同郷の友人関係で東京のハードコアシーンに飛び込み[3]、さまざまなバンドで活動した[4]。1993年暮れにはVolume Dealersに加入し鵜沢幸之介(Manwoman)の後任としてベースを担当するが、ギターからの切り替えがうまく行かず1年あまりで脱退[5]、後任のワタゾウが同じく半年ほどで脱退した後に二人で組んだバンドのひとつがNAHTである[6]。God's Gutsの笠井は、Volume Dealersとのアメリカツアー以来河合と親しく、NAHTへの参加を快諾した。
吉村秀樹(bloodthirsty butchers)プロデュースの5曲入りデモカセットが好評で、大阪タイムボムが1996年のfugazi来日公演のオープニングに起用、吉村の個人レーベル391toneからの7曲入りマキシを皮切りに、2002年まで継続的に音源をリリースする。1998年2月から2003年3月まで下北沢シェルターで自主企画Learn it from Loneを17回開催、このうち7回は札幌のcowpersがゲスト出演した。国内ではcowpersのほかfOULとのツアーが多い。ディスコード関連のバンドとのツアーは、1998年のKerosene 454, Bluetip(元 Swiz), Sweetbelly Freakdown との「春宵爆団祭」, 1999年のBurning Airlines, 2000年のBluetip, 2001年のBurning AirlinesとJets To Brazil, 2003年のQ and not Uとコンスタントで、ディスコード以外でも1999年のRocket from the Cryptなどアメリカ・サンディエゴのバンドとの共演がある。2000年にはワシントンでセカンドアルバムをレコーディング、さらに2001年10月にはBurning Airlinesのアメリカ東海岸ツアーに参加する。アメリカ同時多発テロ事件の直後という悪条件下ながら、Hey Mercedes, 後にメジャー契約して2008年にはビルボード1位を記録するDeath Cab for Cutieといった人気バンドとの共演となった。このツアーを前に、アメリカDeep Elmレーベルのシリーズ物のコンピレーションとして知られるEmo Diaries で海外向け音源をリリースしている。
日本のメディアでのいわゆるポストハードコアの紹介は1999年頃から加速する。河合自身が、ディスコードに関する情報を積極的に紹介していたこともあり、NAHTやディスコードのバンドに共通の不協和音や複雑なリズム構成もしばしばこの音楽的類型の特徴として取り上げられた。八木の脱退でツインギターによる曲構成が維持できなくなったのを機に、2000年にバイオリンを導入するが、ワシントンでチェロのAmy Dominguesがさまざまなバンドに参加し始めた時期にあたり[7]、この後アメリカ各地のインディーロックに広がっていく弦楽器の導入に先鞭をつけた試みであるといえる。しかし、2001年には再びツインギターに戻り、5人編成のバンドとして日本語詞の導入を含めた新たな方向を模索するものの、突破口のないまま2003年に一旦活動を中止した。2005年1月からスリーピースバンドとして活動を再開し、2007年のアルバムではシンセサイザーを導入するなどまた新たなサウンド作りを志向している[8]。2009年10月23日に解散を発表した[9][10]。
メンバー
[編集]- 河合盛樹(かわいせいき、SEIKIとクレジット)ボーカル・ギター
- 笠井隆洋(かさいたかひろ、TAKAHIRO)ドラム
- 羽田剛(はだつよし、TSUYOSHI)ベース 元Nine Days Wonder
在籍メンバー
[編集]- ワタゾウ(b、WTZ) Side Order, Volume Dealers, Jet Linerz, Evil School
- ウッチャン(g、WUTCAN) Massive Craft
- 清水泰而(b,SHIMI) 怒髪天
- ヒサヤ(g、HISAYA)
- 谷本(g、TANIMOTO) Nails of Hawaiian
- 八木昌太郎(g、YAGI) Sigh
- 斉藤裕子(violin、YASUKO) 準レギュラー
- Stanley“George”Bodman(g) Blue Beard
ディスコグラフィー
[編集]シングル・アルバム
[編集]発売日 | タイトル | 規格品番 | 収録曲 | 備考 |
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1996年11月25日 | downt | Y-3911 |
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河合、笠井、ワタゾウ、ウッチャン 391tone |
EP 1997年10月 CD 1998年02月28日 |
SLAKE | PNK0705-096 |
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河合、笠井、清水、ヒサヤ Time Bomb |
1998年9月23日 | JOHN"speedo"REIS TRIBUTE plus... | MKCZ-1014 |
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(不明) Music Mine ZK. COWPERSとのスプリットアルバム |
1999年6月3日 | couple days | SUR-43 |
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河合、笠井、谷本 Straight Up ジェイソン・ファレル(Bluetip)プロデュースの1998年の録音。 |
1999年7月30日 | narrow ways | BOMBCD-90 |
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河合、笠井、羽田、八木 Time Bomb. ファーストアルバム |
2000年10月21日 | spelling of my solution | TFCC-88159 |
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河合、笠井、羽田、斉藤 Toys Factory セカンドアルバム |
2000年11月22日 | either way you want | TFCC-87064 |
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河合、笠井、羽田、斉藤 Toys Factory |
2002年11月7日 | A Strange Stroke of Fate | PZCA-12 |
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河合、笠井、羽田、斉藤、ジョージ PiZZA OF DEATH. MOGA THE \5とのスプリットアルバム |
2006年3月24日 | Articuration | PNK0608-210 |
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河合、笠井、羽田 LESS THAN TV |
2007年6月22日 | In the Beta City | STD-1 |
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河合、笠井、羽田 Secreta Trades サードアルバム |
2007年06月30日 | Narrow Ways "Turned Pages" | BOMBC-90 |
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Time Bomb |
参加作品
[編集]発売日 | タイトル | 規格品番 | 収録曲 | 備考 |
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1997年 | サンタ v.a. | ch-20 | 河合、笠井、ワタゾウ LESS THAN TV | |
1996年4月23日 | シンデレラ v.a. | KICS-535 |
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河合、笠井、ワタゾウ キングレコード |
1998年 | TOURING JAPAN | PNK0705-097 |
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河合、笠井、清水、ヒサヤ Time Bomb. Bluetip, Keosene454, Sweetbelly Freakdownとのコンピ |
1999年1月10日 | WHAT'S YA FAVORITE BISCUIT | CH-30 |
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河合、笠井、谷本、八木 LESS THAN TV |
1999年6月18日 | We love butchers | ZIKS-095 |
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(不明) LESS THAN TV |
2000年7月16日 | 極東最前線 | SAKASHO-16 |
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河合、笠井、羽田、斉藤 坂本商店 |
2000年7月20日 | Tribute to the Pixies | PF-1005 |
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河合、笠井、羽田、斉藤 ROCK record |
2001年7月24日 | EMO DIARIES No. 6 The Silence In My Heart |
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河合、笠井、羽田、斉藤 Deep Elm | |
2002年4月24日 | スペースシャワー列伝~宴~ | SPMD-5001 |
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河合、笠井、羽田、斉藤、ジョージ スピードスター |
2002年5月24日 | WE HAD BEEN THERE A Tribute to Beyonds | UKLB-021 |
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河合、笠井、羽田、斉藤、ジョージ UK プロジェクト |
2003年02月19日 | HUNGRY FOR CARNAGE | TFCC-86123 |
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Toy's Factory |
2003年6月18日 | A CASE OF RFTC JUNKIES. TRIBUTE TO ROCKET FROM THE CRYPT |
TVCA-1001 |
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河合、笠井、羽田、斉藤、ジョージ バウンディ |
2006年9月6日 | The Very Best of PIZZA OF DEATH | PZCA-30 |
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河合、笠井、羽田 PiZZA OF DEATH |
2007年3月28日 | POWER STOCK | RLBA-1002 |
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REAL LIFE RECORDINGS |
2008年06月18日 | PIZZA OF DEATH Records Music Video Anthology | PZBA-3 | PIZZA OF DEATH |
ミュージックビデオ
[編集]監督 | 曲名 |
UGICHIN | 「Feelings can change the same view」 |
Jun | 「either way you want」 |
Jun Kawaguchi | 「irritating」 |
不明 | 「Galvanize Me!」「Parallel Lines」「Skyline of the Beta City」「erase the period」「inertia」 |
主なライブ
[編集]- 2001年04月06日 - スペースシャワー列伝 第1巻 ~桜の宴~
- 2002年06月22日 - スペースシャワー列伝 特別編 ~大宴会~
- 2007年07月14日 - New Audiogram ver. 1.2
- 2007年10月05日 - OGRE YOU ASSHOLE SPLIT TOUR 2007 ~Massacred Kiki~
脚注
[編集]- ^ デモカセットの小文字のロゴが初期作品で用いられているが、1998年以降クレジットはすべて大文字。バンド名はドイツ語の「縫合」から。
- ^ Texas is the Reason, Promise Ring, Jets To Brazil, Braid, Dismemberment Planなど。ロビンスは元Government Issue, Jawbox, Burning Airlines. 2004年からChannels。
- ^ 渡邊龍一(DMBQ)が札幌時代からの知人。この時期に相次いで上京した小松正宏(bloodthirsty butchers)や笠井は、河合の双子の兄(札幌Spiritual Lounge代表)と札幌時代にバンドを組んでいた。(『Indies Magazine』 vol43. 2001.1)
- ^ 谷口順(God's Guts)主宰の自主レーベル・レスザンTVのサンプラー(1992)にはビッチ・レイド・ドライブとして参加している。ほかに、ノイズコアを目指したサンダーボルトなど。
- ^ Volume Dealersではファーストアルバムやアメリカ・ツアーに参加。後に「ポストハードコア」の典型的スタイルとして言及されるNAHTの「変拍子を多用のリズムにメロディーが乗っかる構造」は、河合によればこのバンドから学んだもの。(『爆音侍激情無宿編』p137)
- ^ ほかにFuck In Lifeも同時期に開始。98年にレスザンTVから同名アルバムをリリース。
- ^ ディスコードのFaraquetやFugazi, Ted Leo, Jets to Brazil, Bob Mouldなど。なお、盟友cowpersは1998年リリースのアルバム「ロスト・デイズ」でバイオリンをフィーチャーしている。
- ^ 河合は「音楽性や活動の内容に凄く戸惑いのあった」2002年のスプリットの中で、もっとも「しっくりきた」のがELOのカヴァー("YOURS TRULY, 2095")だったとする。(Rooftop2007年8号)
- ^ ハロー・オール・フォークス!Naht解散について。 10/23/2009
- ^ ナタリー 2009年10月23日付記事
参考文献
[編集]- 「特集:ナート徹底研究」『Indies Magazine』vol. 43. 2001.1.
- シンコーミュージックムック『爆音侍激情無宿編』2001